今月開催された「第80回ゴールデングローブ賞」の受賞者で、一人のアジア人女性にスポットライトが当たった。
コメディ-ドラマ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で中国系移民を演じ、コメディー/ミュージカル女優賞(Best Comedy/Musical Actress=主演女優賞)を獲得したミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)氏だ。
ゴールデングローブでのアジア系俳優の受賞は、『フェアウェル』(2020年)のオークワフィナに続き、2人目となった。
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中国系マレーシア人のヨー氏は、20歳のときにミス・マレーシアに選ばれ、ミス・ワールド世界大会に進出した経歴を持つ。俳優のキャリアは1984年、香港でスタートした。サモ・ハン・キンポーによるアクションコメディ映画『デブゴンの快盗紳士録』(The Owl vs. Bombo)でデビューし、キャリアの途中でアメリカ進出を果たし、苦節39年でこの受賞までたどり着いた。
「40年の歳月がかかりました。ありがとう」。受賞スピーチでこのように謝辞を述べたヨー氏。「素晴らしい道のりだった。そして信じられないほどの葛藤もあった。でも価値のある経験だったと思う」。彼女の英語にはアジア独特の訛りが残るが、堂々としたスピーチだ。
「夢が叶い、米ハリウッドに進出したときのことを今でも覚えている」と振り返る。時は1997年。ハリウッドデビューを果たした映画『トゥモロー・ネバー・ダイ』の頃だ。当時のハリウッドと言えばブルース・リーやジャッキー・チェン、タムリン・トミタなど一部の有名人を除いて、アジア系が活躍する場はそれほどなかった。「あなたはマイノリティですね」。ヨー氏はハリウッドに到着し、このように言われたと言う。
「それで『英語を話します?』と言われたので『はい。(アジアからハリウッドへの)フライトが13時間もかかったのでそこで覚えた』と答えたの」と冗談を言い、会場の笑いを誘った。
「時は過ぎ、昨年私は60歳を迎えました」と言い、会場では大歓声が沸く。「女性ならわかると思いますが、年齢の数字が大きくなればなるほど、機会に恵まれることは少なくなる」。当時のハリウッドで体験した人種差別、そして年をとった女優の機会の減少について、ヨー氏はこのように述べた。
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還暦を迎えたとは思えない若さ
「でも私はこう思ったの。『ここまで良い調子で頑張ってきたよね。スティーブン・スピルバーグ、ジム・キャメロン、ダニー・ボイルなど最高の人たちと仕事してきたじゃない。それで手に入れた最高のギフト、それが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でした」。
受賞スピーチの終了を告げるピアノ演奏が始まった。そうするとヨー氏は「お黙り!」と一喝。「私はあなたをぶっ飛ばすことができるんだからね。真剣よ」。これは自身が演じた役にかけたジョーク混じりのスピーチで、会場がドッと沸いた。
“Shut up please.” Golden Globe WINNER Michelle Yeoh 🏆 pic.twitter.com/VwoicHTonj
— A24 (@A24) January 11, 2023
「お黙り!」と一喝するヨー氏。
NBCニュースは、「この『お黙り』はアジア人女性にとって感慨深かった」と報じた。「一般的にアジア人女性は小柄な見た目で控え目な性格とされているため、ゴールデングローブのような大舞台で、そのようなステレオタイプな捉え方への反撃とも取れる発言を目の当たりにし感慨深かった」とする、作家キャサリン・セニーザ・チョイ氏によるコメントを掲載した。
そして、リー氏はこのようにスピーチを締めた。
「この受賞は、私と共に立ち上がっているすべての人、私の先輩方、私のように見えるすべての人(=アジア人)、そして私と一緒にこの旅をしているすべての人のもの」
日本では、Travis Japan(トラビス・ジャパン)の世界進出が報じられたばかりだ。ほかにも、エンタメ界では有名人から無名なパフォーマーまで、さまざまな人がアメリカンドリームを夢見て次々に渡米している。アメリカや世界で一旗揚げたい彼らにとって、外国生まれのヨー氏の受賞は、夢と勇気を与えるものになっただろう。
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“Shut up please.” Golden Globe WINNER Michelle Yeoh 🏆 pic.twitter.com/VwoicHTonj
— A24 (@A24) January 11, 2023
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【画像】ゴールデングローブ賞授賞式を彩った、ベストドレッサーは誰?
日本時間1月11日に米ビバリーヒルズで開催された、第80回ゴールデン・グローブ賞授賞式。去年は人種差別問題や選考方法の不正疑惑などでバッシングされ中継されず、大御所たちにボイコットされて存続が危ぶまれていたけれど、今年は記念すべき80回ということもあり、再び華やかに開催。授賞式のレッドカーペットにブラッド・ピットやリアーナなど、大物スターたちが顔を揃えた。その中でも目立っていた、ベストドレッサーの着こなしをピックアップしたい。
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ジェナ・オルテガはグッチの透けるガウン
プレゼンターを務めたジェナ・オルテガは、主演ドラマ『ウェンズデー』のTVミュージカル・コメディ部門の最優秀主演女優賞でノミネート。グッチのトランスペアレントなガウンは、デコルテが大胆に開いたデザイン。ウエスト部分にカットアウトが入った露出の多い装いは、黒髪おさげでゴスロリがトレードマークだったウェンズデー役のイメージとは大きく異なるもの。一気に大人っぽく変身したジェナに、ネットでは「可愛い」という声が集まった。惜しくも受賞は逃したものの、同作品はNetflixで史上第2位の視聴者数を叩き出し、シーズン2の制作が発表されたばかり。
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バービー人形を彷彿とさせるマーゴット・ロビー
『バビロン』でミュージカル/コメディ部門の主演女優賞にノミネートされたマーゴット・ロビーが着用したシャネルのペールピンクのドレスは、何と制作に750時間も要したもの。シルクとレースにフェザーやスパンコール、ビーズなど300個を使って刺繍を施している。別の主演映画『バービー』で演じたバービー人形を彷彿とさせるピンクのフェミニンな着こなしがお似合い。
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ベアトップドレスを堂々着こなすミシェル・ヨー
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で、60歳にして初のゴールデン・グローブ賞を獲得した中国系マレーシア人女優のミシェル・ヨー。アクション映画で鍛えた若々しい肉体で、アルマーニ・プリヴェのミッドナイト・ブルーのベアトップドレスを堂々と着こなしていた。受賞スピーチの時に退場を促すピアノが鳴り出すと、「お黙り! 私はあなたを蹴飛ばすことだってできるんだからね」とピアニストを一蹴。そのユーモアと迫力に会場が沸いた場面も。
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アニメ映画賞にノミネートされた『長ぐつをはいたネコと9つの命』で声優を務めたサルマ・ハエックは、グッチのシルバーのドレスで登場。トレンドのシースルーと胸元が開いたデザインで、グラマラスなボディを強調。
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毎回ジェンダーレスな装いで話題をさらうビリー・ポーターは、クリスチャン・シリアーノのベルべット素材のタキシードガウンを纏って。ドラマティックなシルエットが美しい。
アカデミー賞の前哨戦とも呼ばれるゴールデン・グローブは、毎年、アカデミー賞よりも比較的自由で大胆なドレスアップを楽しむセレブたちを見られるのも特徴のひとつ。3月に開催されるアカデミー賞のレッドカーペットでの着こなしと見比べてみるのも面白いかもしれない。
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【画像・動画】第80回ゴールデン・グローブ賞授賞式を彩った、ベストドレッサーは?
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ジェナ・オルテガはグッチの透けるガウン
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バービー人形を彷彿とさせるマーゴット・ロビー
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ベアトップドレスを堂々着こなすミシェル・ヨー
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2022年のセレブのファッショントレンドが“シースルードレス”だった理由
文:さかいもゆる
2022年のハリウッドセレブのファッショントレンドといえば、シースルードレス。職業柄肌を見せることにあまり抵抗がないベラ・ハディッドやエムラタことエミリー・ラタコウスキーのようなモデルたちだけでなく、女優たちも果敢にシースルードレスを着ていたのが印象的だ。
Netflixのドラマ『ウェンズデー』でアダムス・ファミリーの長女、ウェンズデーを演じてブレイクしたジェナ・オルテガ(20歳)も、11月に開催された放送映画批評家協会主催の「ラテン映画&TV祭り」のレッドカーペットでワンショルダーのシースルードレスを着用。彼女はパリコレで「ヴァレンティノ」のショーを鑑賞した際にも、同ブランドの黒の総レースのスリップドレスを纏っていた。ドラマではゴスロリ・ファッションがウェンズデーのトレードマーク。そのイメージを裏切らないブラックの着こなしは、透ける素材を用いることでスタイリッシュなムードを高めることに成功している。
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ボディ・ポジティブやフェミニズムのメッセージ
ジェナが参加した「ヴァレンティノ」のショーには女優のフローレンス・ピューもバストトップが透けて見える、スパンコール付きのシースルーセットアップを着て登場。バスト下までしかないトップスで、ウエストも大胆に披露している。
フローレンスは7月の「ヴァレンティノ」のオートクチュールのショーでもピンクのシースルードレスを着ていたが、このときの写真をインスタグラムに投稿したことでフォロワーたちから「胸が小さくてがっかり」などと批判のコメントを寄せられていた。その際、「おっぱいの何を恐れているの?」と反論し、「#fuckingfreethefuckingfreethenipple(ファッキンフリーザファッキンフリーザニップル)」と、乳首を解放しようというハッシュタグをつけたコメントを投稿。今回のシースルー着用にも、人に体型を批判されたとしても、気にせず自由に乳首を解放しようという意図が込められているようだ。
下着やバストトップを露出するシースルーアイテムがなぜここまで支持されているのか。それは、ひとつには来年の春夏のトレンドがシアー素材だということもあるけれど、前述のフローレンスのように、ボディ・ポジティブやフェミニズムのメッセージとして、体型を隠さずに見せるのが女性の強さや権利を主張することに繋がる、というムーブメントがあるから。
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「女性は好きな服を自由に着て然るべき」
フェミニストで知られるエムラタがシースルーアイテムで頻繁に肌を見せているのも、何もスタイルがいいから見せびらかしたいというだけではなく(恐らくそれもあるだろうけれど)、彼女の「女性は好きな服を自由に着て然るべき」という信念からのこと。彼女は以前インタビューでこう語っている。「ブルカであろうがTバックであろうが、女性は着たいものを着て、好きなように自分を表現していいと思うし、そうあるべき」。
セレブたちが肌を露出する服を身に纏うとき。そこには男性の目を楽しませるためではなく、自分たちの尊厳を守ろうとしている意味があると知ったら、彼女たちを見る目が変わるだろうか。
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【画像】2022年のセレブのファッショントレンドが“シースルードレス”だった理由
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ボディ・ポジティブやフェミニズムのメッセージ
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【画像】2023年春夏コレクション、最新トレンドはまるで“全身タイツ”なシースルー
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懐かしの2000年代初頭…腰骨まで見せる“超ローライズボトム”がトレンドの兆し
文:さかいもゆる
figure>「LACMA アート&フィルム・ガラ」でのケンダル・ジェンナー。(c)ZUMAPRESS/amanaimages
かがむとTバックショーツが見えてしまうローライズデニムが流行ったのは、Y2K、2000年代初期のこと。そして令和の今、腰骨よりさらに下まで見えそうな、超・ローライズボトムがセレブたちの間で再びブームになりつつある。
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エミリー・ラタコウスキーはGストリング見せ
ブラピとのデート報道で注目される、女優でモデルのエミラタことエミリー・ラタコウスキーは、スカートでもパンツでも、ローライズでおへそを見せるスタイルにハマっている様子。2年前に出産したばかりとは思えない、贅肉ひとつないフラットなウエストでローライズボトムを着こなしている。エミリーのように、ボトムからGストリングと呼ばれる紐パンをチラ見せする着こなしも人気だ。
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スーパー・ローライズのケンダル・ジェンナー
カーダシアン姉妹の一員、モデルのケンダル・ジェンナーは先日開催された「LACMA アート&フィルム・ガラ」に、シアーなボディスーツにシルバーのローライズ・スカートという出立ちで登場。ちょっと動いたら床に落ちてしまうのではないかと、見ているこちらがハラハラしてしまうくらいのスーパー・ローライズぶり。
今年1月にカニエ・ウェストと交際しスピード破局した女優のジュリア・フォックスも、ローライズアイテムを好んで着用している。
ジュリア・フォックス
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73歳のヴェラ・ウォンも…
若いモデルの間でだけのトレンドかと思いきや、そうでもない。セレブ御用達のウエディングドレス・デザイナーで73歳のヴェラ・ウォンも、この通り。ローライズ・デニムにブラトップのみの大胆な着こなしのセルフィーをインスタグラムにシェア。これは今年の夏、ハンプトンでバカンスを過ごしたときの写真だという。70代どころか50代にも見えないこのスレンダーな体型、こうやって見せびらかしたくなるのはわかる気がする。
履いているセレブはみんな恋の噂が絶えない肉食系女子、というのが共通点のような。ウエストのくびれをアピールするのにもってこいなこの超ローライズボトム、日本でも流行る日は来るのだろうか。
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【画像】「懐かしの2000年代初頭…」腰骨まで見せる“超ローライズボトム”がトレンドの兆し
エミリー・ラタコウスキーはGストリング見せ
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スーパー・ローライズのケンダル・ジェンナー
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73歳のヴェラ・ウォンも…
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