アニメ・実写・音楽、あらゆるクリエティブが集結した「ほろよい」CMに注目【動画】

  • 文:泊貴洋

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ヘッドフォンを着けた女性が、列車で一人旅をしている。緑輝く草原、紅葉の山間部、白壁が映える海沿いの街。車窓からの風景を、アルコール飲料を片手に心地良く味わう……。サントリー・ほろよいの「ちょうどよい、ここちよい、ほろよい 車窓篇」だ。

「ほろよい」は、2009年に発売された度数3%の低アルコール飲料。発売当時はチャットで繋がりながら“家飲み”する若者像を描き、その後、沢尻エリカを起用したInstagram連動CM(15年)や、佐藤二朗と黒木華による「ほろよい部」(19年)などを展開してきた。そして22年にターゲットに据えたのが、コロナ禍を生きる現代の若年層。「ほろよい飲んでなにしよう?」をコピーに、“おうち時間”で映画を見たり、ゲームをしたりと、“ながら飲み”を楽しむ女性像を描いた。

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実写版とアニメ版、マッシュアップ楽曲でフック

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2月から放送された第1弾で驚かされたのは、古川琴音を起用した実写版と、カラフルなアニメ版が存在したことだ。さらに小沢健二 Featuring スチャダラパ-の『今夜はブギー・バック nice vocal』と、tofubeats『水星』を組み合わせたマッシュアップ楽曲が幅広い年齢層に刺さり、Twitterトレンド入り。約半年で1700万回に迫る再生数を記録し、第59回ギャラクシー賞ではCM部門大賞を受賞した。

4月にNetflixとコラボしたアニメCMを展開した後、10月からオンエアされた第3弾が、冒頭の「車窓篇」だ。これまで同様、商品フレーバーを表現したカラフルな世界が、目を見張る美しさ。人気アニメの劇中曲『Yuri on ICE』を絡ませたマッシュアップ楽曲でも酔わせる。

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制作陣には、多彩なヒットメイカーが集結

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クリエイティブディレクターは、3人の鬼才。1人目は、サントリー宣伝部の菅野紘樹氏。TCCグランプリや朝日広告賞最高賞(「広告主参加の部」)などを受賞して22年を代表する広告となったサントリーの企業CM「人生には、飲食店がいる。」を手掛けた人物だ。2人目の電通の奥野圭亮氏は、岩井勇気と伊藤沙莉が夫婦を演じた「ボス カフェベース」や、高畑充希の「三菱地所」などの話題作を連発中。そして3人目、同じく電通の小野総一氏は、小日向文世と板垣李光人を起用した住友林業や、松坂桃李の「リクルートダイレクトスカウト」などを担当している。

監督は、近年のポカリスエットCMやトヨタカローラ「メタバース」篇などを手掛ける柳沢翔氏。アニメ版のイラストは、住野よるの書籍カバーで注目されたHAI氏によるもの。音楽プロデューサーは冨永恵介氏。ハーゲンダッツや資生堂などのCM音楽で知られ、マッシュアップ楽曲『ばらの花 × ネイティブダンサー』も話題化させた。ほろよいCMでは、第1弾で池田智子や佐藤千亜妃、第2弾で(sic)boy、第3弾で美波と大橋ちっぽけを起用してマッシュアップ楽曲を制作。サブスクでも人気となった。

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「おうち」から外に踏み出した年を表現

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メイキング映像より

第3弾放送後のSNSを見ると、「流れたら手を止めて見てしまう」「好きなので、飛ばさずに眺めてる」「一生見ていられる」といった声が多い。その世界観の心地よさは、コロナ禍のBGVとしてヒットした、ローファイ・ヒップホップの動画『Study to』などを想起させる。また、「ユーリオンアイス使った人、天才でしょ」など音楽に関するコメントも熱く、アニメとネットの親和性の高さも感じさせた。

上半期は“おうち時間”を描き、下半期は“旅”をテーマに。行動制限が解除され、人々の意識が “内向き”から“外向き”に変化した、22年を象徴するCMだ。

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サントリー・ほろよい「ちょうどよい、ここちよい、ほろよい 車窓篇」mix ver.(第3弾/30秒)

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「ほろよい飲んでなにしよう?」登場篇(第1弾実写版/30秒)

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「ほろよい飲んでなにしよう?」登場篇(第1弾アニメ版/30秒)

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