流行デザインのアパレルが格安で手に入る、中国通販ブランドのSHEIN（シーイン）。11月には世界初となる常設店を日本の原宿に構えるなど、勢いが止まらない。
急成長の陰で指摘されるのが、数々の問題行為だ。著名デザイナーからはデザイン盗用の指摘が相次いでいるほか、工場では非人道的な待遇で労働者が働かされているとして社会的に非難が寄せられている。
光と影の面を併せ持つSHEINだが、同社をさらに利用した悪質な企業が登場した。廉価で販売されているSHEINの商品を再加工し、高級手作りブランドとして売り出したのだ。
悪事はたちまち発覚し、消費者たちから批判にさらされている。
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高級路線のスイムウェア・ブランド
非難を受けているブランドは、オーストラリア西部ゴールドコーストに拠点を構えるボディ・ジュース社だ。ファッション性の高いビキニをネット販売している。
同社ウェブサイトには、「あなたにぴったりの組み合わせを見つけましょう」「どのトップスとボトムスでも99豪ドル（約8800円）」などの文字が躍る。トップスまたはボトムス単体では59豪ドル（約5200円）となり、少なくとも廉価とは言えない価格設定だ。
誇らしげに同ブランドのウェアを着用したモデルの写真が無数に並んでおり、会社紹介のページには「オーダーメイドでカスタマイズできる高級スイムウェア」「太陽、砂、海での冒険を愛するすべてのドリーマーたちに」と記すなど、高級路線をイメージさせる内容となっている。
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取り忘れたタグに「SHEIN」の表記が
ところが、実際に水着を購入した人々は、これとまったく違う実態に気づいてしまった。
ある女性が同社商品をネットモール経由で購入したところ、トップスにはSHEINのプライスタグが付いており、確かに同ブランドの商品であった。しかし、女性は商品内側に縫い込まれた、もうひとつのタグを見つけてしまう。
こちらには「SHEIN／XS／レーヨン100%」と印字されており、明らかにSHEINブランドの製品であることを物語っている。つまり、ボディ・ジュース社はSHEINの格安製品を仕入れ、自社のプライスタグだけを付け直し、利益を上乗せして転売していたようだ。
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「美しいゴールドコーストで手作り」のはずが……
事件を報じる豪ニュースサイトのnews.com.auは、ファストファッションを高級ブランドと偽って販売したことで非難を浴びていると指摘している。
同社ウェブサイトは「オーダーメイドで注文された商品は、美しいオーストラリア・ゴールドコーストのボディ・ジュース本社で、1点ずつ手作業で裁断・縫製しています」と謳っている。
ボディ・ジュース創業者はnews.com.auに対し、「誤ったラベル」が添付されたと説明している。また、自宅で水着を手作業で生産している一方、インドネシアやAliExpressから仕入れた商品でラインナップを補完していることも認めた。
廉価かつ高いデザイン性のSHEIN製品をオンラインで仕入れ、高級ブランドを扱う自社の製品に見せかけ再販売していたようだ。
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製造元のSHEINにも二面性
今回「盗用」された側のSHEINに関しても、急成長の一方で批判が絶えない。ファッション業界サイトのドレーパーズによると、SHEINは世界のブランド検索数でZARAを抜き、1位に躍り出た。
カタールのアルジャジーラは、世界56ヶ国のApp StoreでSHEINの通販アプリがダウンロード数1位となり、Amazonを抜いたと報じている。
今年4月時点の評価額は1000億ドルとなり、ZARAとH&Mを合わせた企業価値を超えた。
しかし、米NBC系列のWOOD-TVによると、労働者は劣悪な環境に置かれている。1着を仕上げても収入は4セント（約5円）にしかならず、ノルマは毎日500着以上にのぼるという。
気鋭の若手デザイナーたちからデザインを盗んでいるほか、意匠の盗用でリーバイスやドクターマーチンからの訴訟にも直面している。
今回の一件は、渦中のSHEIN製品をさらに別のブランドが利用するという、めずらしい事件となった。
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【写真】渦中の中国ECブランドSHEIN、それをさらに利用した偽商品が登場
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