東京から京都を訪れるとき、ここだけは行くと決めている場所が撮影禁止でも知られる「石塀小路(いしべこうじ)」です。
狭く静かなこの裏路地を歩くために京都に行く、といえるほど好きです。
そんな者にもうひとつ、この地でのマストスポットが加わりました。
世界遺産・二条城近くの住宅地にある駐車場奥でひっそりと営むコーヒー店、「二条小屋(にじょうこや)」です。
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空間の魅力にすっかりヤラれてしまい、慌てて撮影させていただきました。
「なんだこの店は!?」と、ドアを開けた瞬間に心を持っていかれて。
ファンタジーの世界です。
映画のなかに入り込んだかのよう。
聞けば、内装をインテリア・設計事務所勤務の経験がある店主の西来昭洋(にしき・あきひろ)さんが自ら行ったというじゃないですか。
オリジナリティ溢れる空間なのも納得。
狭いのに解放感があり、ボロボロだけどめちゃお洒落で、BGMは1950〜60年代のモダンジャズレコード。
すでにフワフワしている心が、着いた席の目の前で淹れられたハンドドリップコーヒーを口に含んだ瞬間、完全にノックアウトされました。
「うま!酸味と爽やかさがありつつ、コクと甘みもあってまろやか!」
この空間にしてこの味、日頃の喧騒はどこかへ吹っ飛んだ体験です。
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これ以上店の魅力を文章で語ると長くなりそうなので、箇条書きで以下に整理してみました。
心惹かれた理由
1. 異世界トリップの無国籍空間。
2. 豆が中煎りで、深煎りの京都の伝統ともリンクする味。
3. 日本のコーヒー店の集大成(喫茶店の風格、ジャズ喫茶のカルチャー、サードウェーブ以降のシングルオリジン、コーヒースタンド併設)
4. 住宅街にあり、人の家を訪問した感覚。
5. 一杯飲み屋のように軽く立ち寄って帰る大人ムード。
6. 店主の気遣い。
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ひとりで店に立つのが店主の西来さん。
内装についてもジャズレコードについても、「こういうの好きですから」くらいの気取らない説明。
コーヒー店でモダンジャズを聞くのが懐かしく、エリック・ドルフィーやチャールズ・ミンガスらのわたしが好きな60年代黒人プレイヤーをお伝えしつつ、
「店内ではゴリゴリのブラックサウンドでなく、さらりとした白人系の演奏を静かな音量で流してますね」
と言うと、
「これでも音量が大きいかなあ、と思ってるんですよ。お客さんは音楽を聞きにくるのではないから、気にならないくらいがいいと思うんです。でも自分がジャズ好きなものだから、つい大きめにしてしまいます」
とのこと。
いえいえ、めちゃ穏やかですよ。
大きなスピーカーでレコードを掛ける店と思えないほどに。
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コーヒーの淹れ方にしても、カップにジャストで注ぐ分量にしても、客の様子を眺めつつの繊細な気遣い。
シンプルなブルーストライプのわたしのカップは(ネイビー革のコースターとの色合わせもバッチリ)、「この客にはこれが合う」と考えて選んでいただいた気がします。
(違ってたらすみません!)
20歳前後の若い頃にときどき行った東京・御茶ノ水のクラシックな喫茶店では、バリスタ(当時はこんな言葉なかった)が客をチラ見して、ずらりと並んだカップから選んでいました。
スターバックス→サードウェーブのカジュアルな姿勢も素敵ですけど、喫茶文化も捨てがたいものです。
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わたしがオーダーした一杯は、メニュー最上段のタンザニア。
「オレンジ系の酸味好き」とお伝えして西来さんにお薦めされたもの。
ふだん浅煎り派の人は、これにしてOKだと思います。
十分に深みがありましたから。
ひょっとすると3年後の契約更新のさい、取り壊しになる可能性もある二条小屋。
東京のコーヒー関係者は悔しいでしょうね、こんな場所と建物はまず見つからないでしょうから。
たとえ見つかったとしても、西来さんのセンスによる絶妙な外装と内装があればこその二条小屋。
お洒落して行きたい。
周りの人がどう思うかでなく、ただ単に自分自身の楽しみのために。
そんな思いに駆られた店なんて、ひょっとすると人生初かもです。
All photos&text©KAZUSHI
KAZUSHI instagram
www.instagram.com/kazushikazu/?hl=ja
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【画像】こんな隠れ家コーヒー店があるとは!京都「二条小屋」で幻想のコーヒータイムを
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ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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