デビュー50周年。ユーミンの軌跡を知る『YUMING MUSEUM』を見逃すな

  • 文・写真:はろるど

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「Welcome to YUMING MUSEUM」展示風景。ユーミン本人が展示をナビゲートし、秘蔵音源も収録された音声ガイド(スマートフォンを持参すると無料)がおすすめだ。ラジオパーソナリティとしても活躍するユーミンが、裏話や思い出話などを楽しく話しかけてくれる。

2022年にデビュー50周年を迎えたシンガー・ソングライターの松任谷由実(ユーミン)。デビューシングル「返事はいらない」(1972年)以来、400を超える楽曲を手がけると、39枚のオリジナルアルバムをリリースし、高度経済成長からバブル景気、その後の時代への日本のミュージックシーンを牽引してきた。コンサートの公演数は2000以上、さらに作品の総売上数は3000万枚を超え、何度もムーブメントを起こすなど、幅広い世代に愛され続けている。また大晦日の第73回NHK紅白歌合戦では、AI荒井由実とコラボレーションするという「松任谷由実 with 荒井由実」での出場も決まった。

現在、東京シティビューでは、ユーミンの魅力を体感できる過去最大スケールの展覧会、『YUMING MUSEUM(ユーミン・ミュージアム)』が開かれている。まず東京の街を一望する空間にて出迎えてくれるのが、これまでに作られた曲の譜面やメモの複製とピアノを用いたインスタレーション「Welcome to YUMING MUSEUM」だ。それに続いてリリースされたアルバムをはじめ、子どもの頃から荒井由実時代にかけての写真なども展示され、ユーミンの歩みを目の当たりにすることができる。生まれ育った東京・八王子の実家で撮影された、大学卒業を間近にしていた時期の貴重な写真も見どころだ。

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「はじまりの部屋」展示風景。子どもの頃に習っていた三味線や作曲に使っていたグランドピアノ、また学生時代に読んだ本や描いた絵画などが展示されている。

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今回の展覧会を準備する中で発見された、1980〜90年代にかけての手書きの歌詞が展示されている。

小学生の時から三味線やクラシックピアノを習ったユーミンは、高校になると通学の傍で推理小説や怪奇小説といった読書にも没頭。卒業後は多摩美術大学で日本画を学びつつも、在学中にデビューを果たし、本格的なステージ活動をはじめていく。そうした若い頃のエピソードも初公開を含む資料などで紹介されていて、ユーミンの創作の原点を知ることができる。またファーストアルバム「ひこうき雲」につながる楽曲を構想していた頃のクロッキー帳や、「翳りゆく部屋」の歌詞のメモなど、手書きで丁寧に書かれた歌詞や譜面などの貴重な資料も公開されている。そこからは「風景が浮かぶ」と称されるユーミンの言葉への強いこだわりが感じられる。

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コンサートのポスターとともに、事務所に保管されていたスクラップから、ユーミンに関する記事などが紹介されている。

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ユーミンのコンサートの衣装。1978年の夏から葉山で3回、その後逗子マリーナに移って2004年まで計17回のコンサートを開催した「SURF&SNOW」。冬は「夏もあるなら冬も」と苗場を舞台に1981年にスタートし、2023年には43回目を迎える。

リゾート地を舞台に毎年コンサートを行う「SURF&SNOW」やデビュー45周年を記念して開かれた「TIME MACHINE」(2018~2019年)など、ユーミンのコンサートを追体験できるのも大きな魅力だ。ここでは豪華な衣装29点をはじめ、当時の迫力あるステージの様子を映像にて紹介。「OLIVE」(1979年)ツアーで登場した本物の象をモチーフに、「TIME MACHINE」においてユーミンが乗った巨大な象ロボットまでが展示されている。そして映像では「BLIZZARD」や「リフレインが叫んでる」などをステージで熱唱するユーミンのすがたも見られ、思わず一緒に口ずさんでしまい、テンションもマックスに達していく。

『YUMING MUSEUM(ユーミン・ミュージアム)』
開催期間:2022年12月8日(木)〜2023年2月26日(日)
開催場所:東京シティビュー
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
TEL:03-6406-6652
開館時間:10時~22時 ※最終入館は21時まで
会期中無休
入場料:一般¥2,500
https://yumingmuseum.jp