日常的に聞こえてくる「太ってきたから痩せないと！」という言葉。テレビや雑誌で「ダイエット特集」が組まれることも多く、ドラマや映画のヒロインは大抵スリムだ。多様性に富んだ社会がますます叫ばれる昨今、見た目の「美しさ」の価値観はどれほどアップデートされてきたのだろうか。
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ファッションショーのランウェイにみるボディサイズ
「痩せているほうが美しい」という価値観は、世界的なファッションショーのランウェイにおいても実際に見られる。ブランドを代表してランウェイを歩くモデルの大多数は痩せ型だ。
この数年、多くのブランドがさまざまな体型のモデルを広告に起用するなど、サイズの包括性は着実に高まってきているものの、この変化は、新型コロナウイルスのパンデミックで関心が高まった自己愛やセルフケア、ウェルビーイングの波に乗った一過性の取り組みに過ぎないのではないか、という懸念も拭えない。
というのも、記憶に新しい2023年春夏コレクションのグローバルファッションショー（ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミラノ）のランウェイを歩いたプラスサイズモデルは少数。ニューヨークでは4400人中49人、ロンドンでは4000人中45人、ミラノでは2400人中15人、パリでは3200人中33人だった。
「InStyle」のサイズ展開の調べによると、327ブランドのうち、20号サイズ以上の服を展開しているのは、全体の9％となる30ブランド。さらにその多くは、ルームウェアやパーカーなど一部の服にしか対応していない。70%のブランドが12号サイズまでの展開で、平均サイズが16号〜18号のアメリカ人女性にとっては厳しい現実だろう。
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ファッション業界におけるボディサイズの行方は？
カナダのプラスサイズ小売店、アディソン・エルは2020年に閉店。2021年8月にティーン向けブランド、オールドネイビーがはじめたプラスサイズ・セクションを改革する取り組み「BODEQUALITY」キャンペーンも始まってから1年もたたないうちに縮小の計画を発表した。
一方で、韓国の人気アイドルグループの影響もあり、2000年代に流行したミニスカートやタイトジーンズの代名詞、Y2Kファッションの再ブームが到来している。実際、サイズ展開を広げることによる追加のコストや、新しい顧客層を獲得するための労力を考えると、ブランドが大きく舵を切れないことも理解に容易い。
このような状況を打開する策として、プラスサイズ・コンサルタントのニコレット・メイソンはこう述べている。
「もしあなたがプラスサイズの服を着ないとしても、意図的に大きなサイズ展開を持つブランドで服を購入することが、そのブランドが大きなサイズを生産し続ける重要な要素になります。そのブランドを友人と共有したり、SNSに投稿したり、メールマガジンに登録したりすることも重要です。企業にとってこれらの行動は、規模拡大、資金調達の能力に影響を与えるのです」（VOGUE 2022年10月10日掲載）
体型にかかわらず、一人一人の消費行動がブランドに与える影響は大きい。
ファッションショーのランウェイにおけるボディサイズの多様性の真の実現はこれからかもしれないが、ここ数年の社会の動きによって、第三者の目線を気にせず「ありのままでいること」の重要性にはフォーカスがあたってきた。社会の写し鏡とも言えるファッション業界の動向は、今後も注目だ。
【出典】
https://www.bustle.com/style/plus-size-looks-fashion-month
https://www.glamourmagazine.co.uk/article/fashion-month-plus-size-models-2022
https://www.instyle.com/fashion-week-size-report-spring-summer-2023-6746532
https://www.vogue.com/article/size-inclusivity-fashion-week-is-my-body-about-to-go-out-of-style
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