“にっこり笑う太陽”、NASAの観測衛星が捉える 一見フレンドリーだが……

  • 文:青葉やまと
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真っ赤に燃え盛る太陽も、意外な一面を見せることがあるようだ。NASAの太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー」が、微笑むような太陽の画像を捉えた。

NASAがTwitterで公開した観測画像は、つぶらな瞳と口角の上がったスマイル、そしてふくよかな頬を持った顔のように見える。まるで無邪気な子供が地球に向かって笑っているかのようだ。

10月27日にNASAの太陽チームは、「はい、チーズ! NASAのソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーは本日、太陽が『微笑んでいる』のを捉えました」とツイートしている。

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映画キャラクター? ぽっちゃり顔にネットで反響

この「顔」は肉眼で見えるものではないが、紫外線による観測結果としてくっきりと浮かび上がった。

ユーモラスな表情は、ネット上にひとときの笑いをもたらしたようだ。ぽっちゃり気味の顔立ちを受け、あるTwitterユーザーはふわふわで有名な映画キャラクターを引き合いに出し、「ゴーストバスターズのマシュマロマンの顔かな?」とツイートしている。

口の部分を三角形の鼻に見立て、ライオンと解釈したユーザーもいたようだ。彼女がTwitterに手描きのイラストを加えて投稿したところ、多数の「いいね」が寄せられた。

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フレンドリーな顔が放つ凶悪な粒子

一見フレンドリーな顔だが、目や口のように見える黒い箇所は、有害な太陽風を地球に向かって噴出している。NASAはツイートを通じ、次のように補足した。

「(画像は)紫外線の観測によるもので、太陽の暗い部分はコロナホールと呼ばれています。この領域では、高速の太陽風を宇宙空間へと放出しています」

画像の目と口にあたる3つの穴は、灼熱の太陽表面において比較的低温の部分だ。ここから陽子や電子などを含む太陽風が噴き出し、地球方面を含む宇宙に向かって嵐を送り出している。

カリフォルニア大学のブライアン・キーティング教授(物理学)は米ワシントン・ポスト紙に対し、「その瞳は笑顔というよりはまばゆいレーザービームのようなもので、地球上の環境に深刻な混乱をもたらしかねない粒子を放っています」と説明している。

地球に到達した太陽風は、地球の磁場に影響を与える。通信障害の原因となるほか、最悪の場合には電力網にダメージを与え、停電を引き起こすおそれがある。一方、北極や南極付近に到達した太陽風により、美しいオーロラがさらに際立つこともある。

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12年間運用中の観測衛星

英ガーディアン紙によると、本画像を捉えたソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーは、太陽の活動が宇宙の「天気」に与える影響を調査している。

2010年に打ち上げられ地球周回軌道へ投入されて以来、搭載の観測機器を通じ、太陽の内部、大気、磁場、エネルギー放出量などの継続的な測定をおこなっている。

当初予定の5年の設計寿命を大きく超えて稼働しており、これによって今回の興味深いスマイルの撮影が可能となった。

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【画像】“にっこり笑う太陽”、NASAの観測衛星が捉える 一見フレンドリーだが……

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