ゴキブリを見つけて自動駆除...AI搭載のレーザー砲を開発

  • 文:青葉やまと

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台所に現れる「黒い悪魔」は、見ただけでも身震いしてしまうものだ。そんな厄介な害虫を自動で退治してくれる頼もしい装置が、イギリスで登場した。

装置はカメラを搭載し、AIでゴキブリを認識してレーザーを照射する。そのエネルギーで相手を仕留めるというしくみだ。ゴキブリが動いて逃げても、自動で追尾を続ける。

ゴキブリはカサコソと動き回る様子が気味悪いだけでなく、雑菌を媒介するため放置すれば衛生面でも問題となりやすい。イギリスを含む世界の比較的温暖な地域に分布し、野外に生息するものを含めると、その種類は4000種に及ぶといわれている。

日本でも暖房の普及に伴って分布域を広げており、かつてめずらしかった北海道でも見られるようになった。試作品とはいえ、新たな対処法が開発されたことは朗報となりそうだ。

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英紙「家庭の害虫は過去のものに」

装置を開発したのは、スコットランドのヘリオット・ワット大学に博士課程の学生として通う、イルダー・ラクマートゥリン氏だ。

英デイリー・スター紙は氏の取り組みを称え、「AI駆動のレーザー兵器の登場で、家庭内の害虫は過去のものとなるかもしれない」と報じている。

英メトロ紙もこの装置を取り上げ、「ゴキブリがAI仕込みのレーザー砲で仕留められる……これは21世紀の害虫駆除だ」と報じた。

メトロ紙が取り上げた動画では、実際にレーザーが放たれる様子を確認できる。動画では透明なケースのなかに実験用のゴキブリが入れられ、その動きをカメラが捉えている。カメラの映像はリアルタイムでAIが処理し、ターゲットの位置を認識している。

位置情報はレーザーを動かす動力装置へと引き継がれ、レーザー砲がゴキブリに向けて照射されるしくみだ。ゴキブリはレーザーを逃れようと動き回るが、装置は遅延なく正確にそれを追尾し、常にレーザーを向けつづける。しばらく照射を受けたゴキブリは、やがて力尽きてケースの底へと落下している。

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以前から試作重ねる

ラクマートゥリン氏は、以前からこの問題に取り組んでいたようだ。氏が昨年公開した動画では、前身となった試作4号機を確認できる。ゴキブリに低出力のレーザーを照射するものだ。

ターゲットを検出する原理は今回のものと基本的に同じで、カメラからの映像を画像解析AIで分析している。検出された位置へ向けて自動でレーザーが放たれると、ゴキブリはそれを避けようとケース内を動き回る。

動画では1秒間に約4回の頻度でゴキブリの位置を更新しているが、のちに秒間20回の速度で解析を繰り返すよう改善を行ったという。

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近づきたくない害虫はおまかせ?

現状、家庭でゴキブリを見つけてしまった場合、スプレーを噴射するなどで対応するのが一般的だ。だが、相手の動きが素早く仕留め損ねることがあるほか、不意に飛ぶこともあるため油断ならない。

そのため、できれば近づきたくないというのが本音だろう。不意の接触を考えると、接近戦は必ずしも衛生的ではない。

今回登場した装置は1.2m以内に接近した害虫を認識し、レーザーで自動的に処分してくれる。有効範囲が限定されるものの、近づいたタイミングで静かに抹殺してくれる罠として期待できそうだ。

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安全性の課題が残る

このように非常に頼もしい装置だが、残念ながら現段階では実験的な性格が強いのだという。ラクマートゥリン氏は、目へのダメージを考えると一般家庭での使用には適さないと説明している。

ただし、将来的にはそのほかの害虫も含め、駆除にも役立つ可能性があるという。AIに変更を加えることで、認識対象となる害虫を設定しなおすことができる。屋外の農作物を害虫から守ったりする用途が想定されているようだ。

氏は装置の製作手法をコード共有サイトの「GitHub」上で公開しており、これを利用して実際にスズメバチの駆除装置を自作したユーザーも登場している。

なお、ラクマートゥリン氏装置の部品に特別なものは使用しておらず、市販の安価な部品を組み合わせることで実現したという。誰もが悩んでいた身近な不便を創意工夫で克服する姿勢に感服するばかりだ。

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