「洞窟の暗闇の中に、うずくまって弱りきったものが…」失踪した14歳の老犬、2カ月後に奇跡の救出劇

  • 文:宮田華子
Share:
TOP.jpg
@ap – Youtubeチャンネルのキャプチャ画像

今年6月初旬、ミズーリ州ペリービル郊外に暮らすジェフ・ボーナートさんは、打ちひしがれていた。可愛がっていた愛犬(ハウンドとプードルのミックス犬、メス)がいなくなってしまったからだ。

6月9日、ボーナートさんが飼っている2匹の犬、サマーとアビーがどこかに行ってしまった。しかしそれは以前にもあったことだったので、ジェフさんは「そのうち戻ってくるだろう」と気にしていなかった。

翌朝、ボーナートさんが目を覚ますと、サマーは家に戻っていた。しかしアビーの姿が見えない。この段階で、ジェフさんは事の深刻さに気が付いた。

「(アビーとサマーの)2匹は、決して離れることはなかったんです」とボーナートさんはAP通信の取材で語っている。「アビーに何か悪いことが起こったんだと思いました。アビーは(数カ月後には14歳になる)老犬です。暑さにやられてしまったのかもと思いました」。

---fadeinPager---

ボーナートさんと.jpgアビーとボーナートさん。@Wqadnews8 – Youtubeチャンネルのキャプチャ画像

ボーナートさんは自身のSNSにアビーが行方不明になったことを投稿。近所の人に尋ねたり、警察にも報告する等あらゆる方法でアビーを探したが、手掛かりは何も出てこなかった。

ボーナートさんは「アビーはもう帰ってこないかも…」とあきらめかけていた。

---fadeinPager---

洞窟の中に「何かがいる!」

それから約2カ月がたった8月6日のこと。この日、ケリー・キーンさんたち10人(大人5人、子供5人)のグループは、ベロメ・ムーア洞窟で探検をしていた。

CBC Radio-Canadaの報道によると、洞窟の中に入って約150mの地点に来たとき、子供たちが「お父さん、ここに犬がいるよ!」と騒ぎはじめたという。大人たちは「(洞窟の中に)犬なんているわけない」と答えたものの、実際に一匹の犬がうずくまっていた。

洞窟の中の気温は約14度。かなり寒く、辺りは濡れている。光の入らない真っ暗闇の中に犬がいるなんて、誰も予想していなかった。

「犬は頭をあげて私たちの方を見ましたが、かなり弱っていると感じました」とキーンさん。

何とかこの犬を助けなければと思った一行だったが、細く歩きづらい洞窟の中を、弱り切ったこの犬が自力で歩くのは無理そうだった。キーンさんは助けが必要だと判断。再び洞窟の外に出て、偶然遭遇した洞窟探検家のリック・ヘイリーさんに事の次第を話し協力を求めた。加え近隣の人に「洞窟の中に犬がいる」「誰の犬か分かりますか?」と声を掛けた。


幸運にも、ヘイリーさんは洞窟内の救助訓練を受けた人物だった。

犬は見知らぬ人を警戒する生き物だ。呼びかけると立ち上がったものの、さらに洞窟の奥に行きたがるそぶりを見せた。何とかこの犬を抱きかかえる方法を考えないと救助できない。そこでヘイリーさんは自身のトラックにあったダッフルバックの中に毛布を敷き詰め地面に置くアイデアを思い付いた。それが大成功。寒さに震えていた犬は、泥だらけのまますぐに毛布の中に入っていった。

---fadeinPager---

バッグ.jpg
ヘイリーさんとダッフルバッグに入った犬。@ rick.haley.733 – Facebookのキャプチャ画像

ヘイリーさんとキーンさん一行は、犬が入ったダッフルバックを抱えて入口に向けて移動。1時間半かけて、やっとの思いで洞窟の中から救出した。

---fadeinPager---

洞窟の中.jpg
真っ暗かつ細い洞窟の中で袋に入った犬を移動(写真に写っているのはキーンさん)。@ rick.haley.733 – Facebookのキャプチャ画像

洞窟から出たその犬に救助隊員の一人が少しだけ牛肉を与えたところ、「犬はもう少しで隊員の指を食いちぎるほど」喜んで食べたとキーンさんはAP通信への取材で語っている。

---fadeinPager---

アビーが生きていた!

「洞窟の中に犬がいる」という情報は、近くに住むボーナートさんの耳にも入った。「もしかしてアビーかもしれない。でもいなくなったのはもう2カ月も前…」

期待と不安の気持ちで洞窟に駆けつけたボーナートさんだったが、そこにいたのはすっかり痩せていたものの、まぎれもなく愛犬のアビーだった!

---fadeinPager---


キーンさんとヘイリーさんが持つバッグの中にいるアビー。救出直後の写真。元気なときのアビーの体重は23キロだが、救出時は約半分にまで減っていた。

---fadeinPager---

どうしてアビーが洞窟の中に入ってしまったのか、本当のところは不明だ。ボーナートさんは洞窟に繋がる穴に落ちてしまったか、人知れず存在する入口に迷い込んでしまったのだと考えている。ヘイリーさんによると、アビーが発見された場所にはたくさんの肉球の後があったという。アビーも何とか脱出しよう試みたものの外に出らなかったのだろう。しかしじっとうずくまることで体力を温存し、2カ月生き延びることが出来たようだ。

この「2カ月後の救出劇」はアメリカで大きく報じられた。犬の生命力、そして皆が一丸となって「この犬を助けよう」とした優しさと熱い気持ちが、多くの人に感動を与えた。

---fadeinPager---

複数のニュース番組や媒体で、アビーの救出が報じられた。

飼い主ボーナートさんと穏やかな生活を取り戻したアビー。今ではすっかり元気になり、以前と同じように尻尾を振って喜ぶようになったそう。アビー、良かったね。もう洞窟に迷い込んじゃダメだよ。

---fadeinPager---

【動画あり】アビーの救出劇の全容はこちらから

ヘイリーさんが撮影した写真と、救出後のボーナートさんのインタビューが見られる動画。

---fadeinPager---


ヘイリーさんが撮影し、自身のFacebookに投稿した写真と動画。

---fadeinPager---

【画像】「洞窟の暗闇の中に、うずくまって弱りきったものが…!」失踪した14歳の老犬、2カ月後に奇跡の救出劇

TOP.jpg
@ap – Youtubeチャンネルのキャプチャ画像

---fadeinPager---

ボーナートさんと.jpgアビーとボーナートさん。@Wqadnews8 – Youtubeチャンネルのキャプチャ画像

---fadeinPager---

バッグ.jpg
ヘイリーさんとダッフルバッグに入った犬。@ rick.haley.733 – Facebookのキャプチャ画像

---fadeinPager---

洞窟の中.jpg
真っ暗かつ細い洞窟の中で袋に入った犬を移動(写真に写っているのはキーンさん)。@ rick.haley.733 – Facebookのキャプチャ画像

---fadeinPager---


キーンさんとヘイリーさんが持つバッグの中にいるアビー。救出直後の写真。元気なときのアビーの体重は23キロだが、救出時は約半分にまで減っていた。

---fadeinPager---

複数のニュース番組や媒体で、アビーの救出が報じられた。

---fadeinPager---

【動画あり】アビーの救出劇の全容はこちらから

ヘイリーさんが撮影した写真と、救出後のボーナートさんのインタビューが見られる動画。

---fadeinPager---


ヘイリーさんが撮影し、自身のFacebookに投稿した写真と動画。