長いパンデミックの期間を経て、これまで旅行できなかった鬱憤を晴らすかのように「リベンジ旅行」を楽しむ人々が増えている。
そんな中、アメリカの夏休みシーズンにあたる6月、飛行機利用客から膨大な数の苦情が寄せられた。その数はコロナ前の270%。アメリカの航空業界で何が起きているのだろうか。
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22年上半期の苦情は2万8550件
アメリカ運輸省が発表したデータによると、6月に運輸省が受けた苦情のうち、航空会社のサービスに関する内容が5862件。5月の4344件から34.9%も増加し、コロナ前にあたる2019年6月の1586件に比べると269.6%も増加していることが分かった。2022年1月から6月までの上半期に寄せられた苦情件数は2万8550件と、膨大な数にのぼっているのだ。
8月初旬、運輸省のピート・バティギーグ長官は「容認できないレベルの混乱が起きている」とし、各航空会社に書簡を送ったばかりのことだった。
人手不足にあえぐ航空業界
これだけ苦情が増えている最大の理由は、アメリカで頻発している欠航と遅延だ。
ロイターによると、2022年1月から7月までにアメリカで欠航となったフライトは、合計12万8934便。2019年の同時期に比べて11%も増加している。さらに遅延も相次ぎ、2022年だけで100万便近くが遅延しているという。これだけの数になると、ほぼ毎日のように欠航・遅延が起きていることになる。ある週末の日曜日だけで、300便以上が欠航となり、遅延は5500便以上だったそうだ。
欠航数が最も多いのがアメリカン航空で、1万9000便以上。次いで、1万7000便以上のサウスウエスト航空となっている。夏の運航本数を減らして対応した航空会社もあったが、欠航と遅延はアメリカの航空業界全体が抱える問題を浮き彫りにしている。
この欠航・遅延を引き起こしているのが、航空業界の人出不足だ。アメリカではパンデミック以来、人手不足に悩む業界が多く、航空業界がその一つにあたる。これに、旅行に行くことを渇望する人々の需要拡大が重なった。また、航空業界はもちろん、管制官の人員も足りていない。8月にはニューヨークの3つの空港で、管制官の人員不足のため、フライトの遅延が生じたという。
運輸省は現在、国内便の場合は3時間以上遅延した場合、航空会社にチケット払い戻しを義務づける規則の改正を提案しているという。
さらに、世界的な燃油価格の上昇にともない、各航空会社の燃油サーチャージもかつてないほど高騰している。コロナ禍で大きな影響を受けてきた航空業界にとって、まだ試練のときが続いているのかもしれない。
【出典】
https://www.cnn.com/travel/article/air-travel-complaints-dot/index.html
https://www.travelandleisure.com/travel-news/2022-flight-cancellations-pandemic-data
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