「画像生成AI」でウクライナ支援へ、侵略戦争がテーマのアート作品販売 一方で悪用の可能性も…

  • 文:大津陽子
Share:

テキストを入力することで、写真や絵画、イラストを創り上げる画像生成AIが話題だ。

リアルな写真風の画像から、より抽象的な言葉を元にした美しいイラストまで、幅広い作品を高速で生成することが可能なAIは、社会から好奇心と期待を持って迎え入れられているだけでなく、これまで経理・会計や運転といった他の分野でAIがそうであったように、映像やイラスト、写真を生業とする人々にとって、仕事を奪う「脅威」とも受け取られている。

AIによってテキストから高品質の画像を生成できるツールとしては、OpenAIの「DALL・E2」、Googleの「Imagen」、Microsoftと北京大学の研究チームが開発した「NUWA-Infinity」などがこれまで生み出されている。単にインターネット上にすでにある画像から合成された写真や絵ではなく、複雑なAIプロセスによって作られた完全に新しい作品を生成できることが特徴だ。

---fadeinPager---

このような画像生成AIは、小説や雑誌、パンフレットの挿入イラストや挿入写真などへの活用が期待されている。

それ以外にも、ウクライナのテックスタートアップ「ZibraAI」は、画像生成AIを駆使し、ロシアによる侵略戦争の被災者をサポートするチャリティーの立ち上げを行なって話題を呼んだ。

このAIは、侵略戦争をテーマにした油絵風のアート作品を生成することが可能で、同社はこのアートを販売することで、戦争の被害者支援を行うための資金集めと、自国への侵略戦争に対する世界の関心の低下に対してアプローチすることを目指している。

ai_1.jpg
「ZibraAI」が運営する「sirens gallery」(スクリーンショット)

---fadeinPager---

様々な分野での活用が期待されている画像生成AIだが、一方で、プロパガンダやディープフェイク、ポルノへの悪用を危惧する声も上がっている。特に本物と見紛うようなフェイク写真の生成は、これまでも問題になってきた。

2020年にはすでに、AIによるフェイク顔画像によって信憑性を高めた架空のジャーナリストや評論家が、特定の国に有利な論説を様々なメディアに掲載するために使われていたことが、米国のニュースサイト「The Daily Beast」による調査で判明し報道されている。

主に保守系の出版物に、AIが生成した架空の顔写真を使用した「実在しない」執筆者が少なくとも19人、原稿を投稿し、世論を誘導しようとしていたのだ。同様の偽プロフィールは、世界最大のビジネスSNS「LinkedIn」においても確認されている。

このAIによる偽写真が大きな社会問題となり得るのは、これまでのインターネットからの拾い画像を流用したものと異なり、対象の画像に対して画像検索を使用しても、ソースを突き止めて偽物であることを容易に確認できないことだ。

また、AIによって生成された性的あるいは暴力的な写真、イラストがインターネットで拡散することも危ぶまれており、前述の「DALL・E2」は、そのような画像を生成する可能性がある単語は、テキストとして入力できないように開発サイドが独自に制限を設けている。

今後は、開発者やテック企業による自主的な制限だけでなく、政策策定サイドによる規制も検討すべき時期が到来すると考えられている。

米スタンフォード大学の研究所が米国議会向けに「AIブートキャンプ」を開催するなど、昨今の急速なテクノロジーの進化に、議員や政府の担当者といった政策策定者の理解を深めようという取り組みも行われるようになっている。

---fadeinPager---

ai_4.jpg
「sirens gallery」のNFTアート(スクリーンショット)

---fadeinPager---

ai_5.jpg
「sirens gallery」のNFTアート(スクリーンショット)

---fadeinPager---

ai_2.jpg
「sirens gallery」のNFTアート(スクリーンショット)

---fadeinPager---

ai_6.jpg
「sirens gallery」のNFTアート(スクリーンショット)

---fadeinPager---

ai_3.jpg
「sirens gallery」のNFTアート(スクリーンショット)

---fadeinPager---