通勤に、普段用に愛用していたトートバッグを“買い物”という視点で考えてみた

  • 写真&文:小暮昌弘
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2020年7月に実施された「買い物袋有料化」に伴い、スーパーに行くのにも、コンビニに行くのにも、「エコバッグ」持参が常識となりつつある。もちろん地球環境、エコを考えれば、これは重要なことに違いない。クルマのトランクにもエコバッグをいくつか常備するように、出先で食料品などを買ってしまった時のために仕事用の鞄にも携帯用のエコバッグを入れておくようになった。しかし携帯用の折り畳み式のエコバッグは、プラスチックの袋をそのまま別素材に置き換えたものがほとんど。これだとマチがなく収納能力も高くはない。

だいこん、にんじん、じゃがいも……。そんな野菜ならばだいたい用は足りる。だがお寿司、お弁当、お惣菜などのプラスチックのトレイ等に乗せて販売されている食材だと、底がないエコバッグでは収まりが悪い。安定しない。やわらかい食パン、ケーキなどを買ってしまったら、もう大変。薄マチのエコバッグではどうにもこうにもうまく収まらない。これに大きなペットボトルなどが加わると状況はさらに悪くなる。パンやケーキがペットボトルに押されて潰れてしまわないか、平らなトレイが斜めや逆さまになり、食材が寄ってしまわないか、小心者の私はストレスを感じてしまう。

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1937年、アメリカのノースカロライナ州で創業されたドーナッツ・ブランド。2006年に日本に1号店がオープンしたときには話題を集め、何時間も並んでドーナッツを購入した。これは20年から販売をスタートした「オリジナル リユーザブルバッグ」。W35×H30×D20cm。単品だと¥380、ドーナッツを12個以上一緒に購入すると割り引いてくれる。まだ販売しているかは不明。今年の春、ドーナッツを買いに行って発見した「エコバッグ」。軽量で安定感抜群。しかも折り畳めるので鞄に忍ばせて持ち歩くのに最適。使い出したら、やめられなくなった。

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ハンドルにブランド名が入っていて、持ち手も太いので持ちやすい。半透明の素材はポリプロピレン。バッグ上部に、小さなベルクロテープが付き、閉じることができる。

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そんな時に出合ったのが、クリスピー・クリーム・ドーナッツから販売されているエコバッグ(同ブランドではリユーザブルバッグと呼んでいる)だ。ドーナッツ6個が入るハーフボックスが最大4個積めるサイズ。素材は半透明のポリプロピレン製。ロゴマーク付きの赤のハンドルが付き、こういうのをデザインさせると、アメリカブランドは洒落たものに仕上げてくれる。それでいて価格はワンコインでお釣りがくるくらい。サイズは幅35×高さ30×奥行き20cm。この20cmの奥行きがポイントで、この奥行きならば、お寿司のパックも、お弁当も、ケーキを箱に詰めてもらっても、安定して携帯ができる。もちろん超軽量で、折り畳めば鞄の片隅に。持っていると「それ、いい」と褒められ、何人かにプレゼントしたこともある。

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パタゴニアの「ブラックホール・トート 25L」というモデル。本体の素材は消費者から回収されたリサイクル・ポリエステル。ハンドルの素材はリサイクル・ナイロン。W41×H28×D21cm。重さは360g。¥7,700とコストパフォーマンスも抜群。

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バッグ上部にフックがあり、留めることも可能。内部にジッパー付きの小型ポケットがあり、財布やスマフォンなどを収納できる。

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「エコバッグ」ほど簡便で安価なモデルではないが、パタゴニアの「ブラックホール・トート」も買い物に適したモデルだ。素材に採用されているのは、リサイクル・ポリエステルで、容量は25リットルだから小さなリュックサックくらいの収納力はある。横幅41×高さ28×奥行き21cm。前述のクリスピー・クリーム・ドーナッツのトートとほぼ同じ奥行きをもち、横幅や高さはさらに大きい。「ブラックホール」シリーズはトロリーやバックパックなどを愛用してきたが、見た目にはそれほど耐久性を感じないが、どうしてどうしてかなり丈夫。このトートは長めのハンドルなので肩にも掛けられるし、ハンドルが丸い管状なので、日本人の小さな手にも馴染みやすい。内側に小型ポケットがひとつ、小さなフックで上部を留めることができる。ポケッタブルではないが、普段の買い物用にいいかもしれないと思い購入してみた。多めの資料や撮影用の小物等の運搬する場合でも安定感は抜群。最近、仕事用にも使うことが多く、とても調子がいい。

昔、会社勤めをしていた頃はトートバッグをよく使っていた。いちばん愛用したのは、L.L.ビーンのミディアムサイズの「ボート&トートバッグ」。そもそも氷を運ぶために考案された鞄だから、とにかく屈強で、丈夫。しかし重さはミディアムで500gを超えてしまうし、24オンスのコットンキャンバスは自立するぐらい硬く、もちろんパッカブルにはならない。クルマなら大丈夫だろうが、予備の携帯用として使えない。それもあって最近、クルマのトランクには同ブランドの「グローサリー・トート」と呼ばれるモデルを入れてある。素材は10オンスのキャンバス。サイズは横幅45×高さ37cmとたっぷり目だが、奥行きは17cmと私が理想とする横幅にはほんの少しだけ足りない。残念! しかし24オンスキャンバスの定番トートよりこちらの方が、素材がやわらかい分、カタチがどうにでもなるので、フラットで大きいもの、あるいはスクエアなものでも入れやすい。トランクに入れたままにしても邪魔にならない。

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リップストップナイロン素材を使ったトートバッグ。スクエアなデザインが特徴で、底もフラット。両サイドに長めのポケットがあり、折り畳み傘やペットボトルの飲料などが入るので便利。「Lightweightなんとか」というシリーズのトートバッグだと記憶している。同じ素材と軽さで、ブリーフケースも購入した覚えがあるが、現在は行方不明。W35×H35×D18cm(私の計測)。

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オービスのキャンバス素材のトートバッグ。確か「Battenkill」と呼ばれる同ブランドを代表するトートバッグだったと思うが、現在はラインアップからはドロップしている。これも両サイドにポケットがあり、片方はジッパー付きで、レザーのプルトップ付き。レザーハンドルも丸く、使いやすい。W33×H33×D18cm(私の計測)。

底がフラットで、安定して持てる鞄という点では、昔アメリカで購入したオービスの鞄も優れている。オービス、日本では釣り竿やリールぐらいしか販売されていないが、アメリカで1856年にバーモント州で創業されたアウトドアの名門。オリジナルデザインの服や道具、バブアーの品揃えも豊富で、ショップを見つけると、つい寄ってしまう。私が持っているトートはふたつ。日々の買い物に向いているのはナイロン素材を使ったトートで、とにかく軽量で、奥行きもあり、持ち運びも楽。底板がなく畳むこともできるので、国内外の旅行で、よく予備用として荷造りの最後に入れておくことが多い。もうひとつはL.L.ビーンと同じく、キャンバス素材で、底やハンドルにレザーを使ったトート。奥行きがあり、底が平らなので安定感はいい。しかも両サイドにポケットがあり、携帯電話や小物入れに使いやすい。どちらも購入は15〜20年前。ニューヨークで見つけた鞄だ。本国のホームページをチェックしてみたら、既に販売は終了したらしく、現在あるのはもっとスポーティなデザイン。こんなシンプルなトートはもうつくっていなかった。

このように我が家ではさまざまな大きさ、サイズ、素材のトートバッグが増え続けている。が、これも“モノ”好き、“買い物”好きの宿命。思い描いた理想のトートバッグを求めて、鞄探しの旅はまだまだ続く。

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。

小暮昌弘

ファッション編集者

法政大学卒業。1982年から婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に勤務。『25ans』を経て『MEN’S CLUB』に。おもにファッションを担当する。2005年から07年まで『MEN’S CLUB』編集長。09年よりフリーランスとして活動。