【フェアレディZ】友人にも自慢したいと日産の社長が語る新型が登場!

  • 文:小川フミオ
  • 写真提供:日産自動車

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スポーツカーはいつ見ても、心が躍るもの。やっぱり、運転が楽しいっていうのは、クルマにとって大きな価値なんだなあと思わせてくれるのが、2022年6月からデリバリーが開始された日産自動車の新型「フェアレディZ」だ。

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リアフェンダーが力強く張り出しているのも特徴のひとつ

スポーツカーとかスペシャルティーというのは、性能とスタイルが、うまくバランスされていないと魅力が感じられない。

新型「Z」では、スカイライン400Rから400馬力の3リッターV6エンジンをもってきて搭載。さらに6段マニュアルに加えて、新設計の9段オートマチックの変速機を組み合わせた。

重量を出来るだけ抑制するため、軽量化できるところはしっかり軽量化。同時に、各所にしっかり補強を入れるとともに、ディファレンシャルギアなどの性能を上げ、性能が作りこまれていることが強調される。

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バージョンSTと同Sが19インチタイヤ、あとは18インチタイヤを装着

「カッコいいと、一目見ただけで気分が昂揚することを目指しました。しかも今回は、新しい顧客というより、従来からのZのファンでいてくださった方がたのためにつくろうと思いました」

私にそう語ってくれたのは、新型「Z」のとりまとめを担当した日産自動車のブランドアンバサダーの田村宏志氏。となりでうなづいていたのが、デザインをとりまとめを担当した、プログラム・デザイン・ダイレクターの入江慎一郎氏だ。

今回で7代目になる「Z」。歴代のなかで、とりわけファンが愛してきたのは1969年の初代(S30)、それに89年登場の4代目(Z32)なんだそう。そこで日産のデザイン部は、この2台を特徴づけている要素を、新型にもしっかり採り入れたんだそう。

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運転席は写真でみるよりタイト感が強くスポーティな雰囲気

S30を思わせるのは、第一にフロントマスク。変型ヘッドランプに四角いグリルが目をひく。

ヘッドランプは、S30では合成樹脂製の透明のカバーに、内部の照明の光が反射して、独特の”表情”を作っていた。新型ZではLEDで最初からの”反射”を再現している。

もうひとつは、グリル。初代のイメージを援用して、輪郭は長方形にして、同時になるべく小さく仕上げたい、というのがデザイン部の考えだったと、前出の入江氏は教えてくれた。

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上下のポジションランプは初代S30のヘッドランプをモチーフとして採用したもの

ただし、新型Zは、いまのスポーツカーのデザイントレンドと違って、これみよがしの開口部をもたない。

ラジエターをはじめ、ブレーキを冷却したり、高速で車体が浮き上がらないよう、ダウンフォース(上から下にむかって押さえつける力)を生むため空気を採り入れたり、とさまざまな目的のために、スポーツカーは開口部が多い。

新型Zではそれを極力減らして、なめらかな面づくりに専心したもよう。おかげで私が見ても、エレガントだなあと感心する。これもまた、スポーツカーで重要視される要素なので、Zのデザイナー陣はよくやった、と褒めてあげたくなる。

S30を連想させるのは、もうひとつ、側面から見た際の輪郭だ。眺めのノーズからすっとなだらかなボンネット、それに小さめの2シーターのキャビン、最後はリアエンドに向かって落ちていくところまで、私たちがZに期待する審美的な仕上がりになっている。

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S30やZ32のイメージを援用したというリアコンビネーションランプ

リアエンドにまわると、ファストバックスタイルといって、下に向かってラインが下がっていくスタイルが継承されているのも、なかなかいいなあと私などはニヤついてしまった。

リアコンビネーションランプの造型は、2つの楕円をモチーフにしたもの。「S30とZ32の特徴的なランプを参考にして、LEDランプを使って現代的に解釈してデザインしました」(入江氏)と教えてもらった。

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3連サブメーターがZのひとつのアイデンティティだという

ドアを開けると、厚めのクッションのシートと、液晶を使ったメーターモニターと、もうひとつインフォテイメントシステム用の液晶モニターが目にとびこんでくる。

シートは薄い、いわゆるバケットタイプのものも検討されたという。しかし、衝突安全性を高めるため、側面衝突の際に乗員を保護するサイドエアバッグをシートに収める必要があったので、いまのようなタイプに落ち着いたと説明された。

内装にも、S30へのホメージ(オマージュ)が見つかる。ダッシュボード中央の3連メーター。Zのファンだったら、まっさきに目がいきそうだ。これら3つのサブメーターは、ターボチャージャーのブースト計と回転計、それに電圧計からなる。

「やっぱりZっていえば3連サブメーターでしょう、ってことで、つけています。とくに意識していただけたらと思うのは、この3連メーター、360度どこからでも、美しく見えることを意識してデザインした点です」(入江氏)

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ノーズの造型にも歴代Zのイメージが反映されているように思える

もちろん、というか、走りは期待を裏切らない。速い、そして安定している。ファンが多いというマニュアル変速機も、それ以上アクセルペダルを踏み込んではダメよというエンジンのレッドゾーンまで使える点では、スポーティで楽しい。

なにしろ今回のZは、スカイライン400Rの最大トルクが5200rpm で発生するのに対して、5600rpmに引き上げている。それによって、最後の最後まで楽しさがあるんです、とエンジン開発担当者が私に教えてくれた。じっさいにそのとおり。

いっぽう、9段オートマチック変速機もよく出来ている。ゆっくりでも速くでも、ドライバーの気分を察してくれるように、アクセルワークに対して俊敏に反応。たとえば、パッと踏めば、即座に最適なギアを選んでくれる。いってみれば、ドライバーといいコンビが組める変速機なのだ。

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6段MT(左)はグリップの握りやすさやゲート感を改良、9段MTはダイムラーの特許を使って「8割がた」日産で改良を施したといいう

「日産自動車は、ドライブトレインが電気だろうと、(Zのように)内燃機関だろうと、乗るひとをワクワクさせるクルマを出し続けたいと思っています」

試乗会場に姿を見せた、日産自動車の内田誠社長は、新型Zをどう位置づけていますか?という私の質問に対して、そう答えてくれた。自身もかつてZ32を中古で買って乗っていたというだけに、思い入れもひとしおなのかもしれない。

「どの製品に乗っても同じ、といったいわゆる金太郎飴のようなプロダクトは作りたくないです。市場の嗜好は多様化しているし、ほかがやらないことを日産がやっていきたいですね。妻や、クルマ好きの友人たちに、”ほらこんなクルマが出来たよ!”って、新型Zを自慢したいです」

冒頭で紹介した田村宏志氏は、現役時代は、ZとともにGT-Rの企画責任者も務めていたひと。今回の試乗会で新型Zについて「ダンスパートナー」と表現していた。いっぽう、GT-Rは「モビルスーツ」なんだそう。軽やかに気持よく操れるクルマがZって意味なんだろう。運転の楽しさを味わった私は、そう結論づけてみた。

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ハッチゲートをそなえており、乗車定員は2人


Specifications
Nissan Fairlady Z
全長×全幅×全高 4380x1845x1315mm
エンジン 2997ccV型6気筒ターボ 後輪駆動
最高出力 298kW@6400rpm
最大トルク 475Nm@1600〜5600rpm
価格 524万1500円〜