「ボルボ チームラボ かみさまがすまう森」なるアート展が、九州・佐賀の武雄温泉にある御船山楽園(みふねやまらくえん)で、2022年7月15日から11月6日まで開催されている。「ボルボC40リチャージ」のインスタレーションも、なかなか見応えのある内容だ。
50万平米に及ぶ御船山楽園は、森あり巨石あり池あり洞窟あり。さらに地形は起伏に富んでいる。ホテルが隣接し、さらに、クリエイティブな料理と居心地のよい雰囲気を持つイタリア料理レストランも敷地内に。楽しめる場所だ。加えてこのアート展は、御船山楽園に、もうひとつの魅力を加えているといえる。
「自然のありのままの姿をデジタルテクノロジーによってアートにすることで、長い時間の連続性を表現」しようとしたと、ボルボカージャパンでは、プレス用資料でコンセプトを紹介。
チームラボといえば、デジタル技術を駆使して立体的なアート空間を作ることで知られている。日本各地でアート展が開かれているので、読者のなかにも、一回は体験ずみ、なんてかたが少なくないのではないだろうか。
---fadeinPager---
非物質的であるデジタルテクノロジーによって「自然が自然のままアートになる(Digitized Nature)」というプロジェクトと、チームラボは、御船山楽園の「かみさまがすまう森」を定義。
「チームラボ かみさまがすまう森」は、今年で8回目を数える。ボルボが協賛するのは、21年に続き2年目。最初の年は、日本でも売れ行き絶好調のSUV「XC40」で、22年はさきに触れたとおりピュアEV「C40リチャージ」をモチーフにした作品が展示されている。
「生命は結晶化したうごめく光」と題された作品は「環境現象」とチームラボが呼ぶもの。「作品は作品自体で存在せず、環境がつくる特異な現象が作品の存在」と説明される。
---fadeinPager---
なにやらむずかしげに聞こえるけれど、具体的には、水たまりに結晶模様が映り、近くでひとが動くのがセンシングされると模様も動く。水たまりの中に足を踏み入れても同様。
作品に触れると、見えている部分は、何の変哲もない水の一部だと気が付く。「作品は作品自体で存在せず」というコンセプトなのだそうだ。
ボルボC40リチャージも、水たまりの上に置かれていた。クルマに近寄っていくと、たしかに、結晶模様が変化していく。おおがかりな仕掛けではないけれど、なんだか地味におもしろい。模様の変化から目が離せなくなる。
「時代を超えて変わらないものを大切にしつつ、未来のために変わることをいとわない、そんなイノベーションの表現の場」と、今回のアート展を評価するボルボカージャパン。自然、環境、技術、アートは、ボルボのプロダクトのイメージとも、なるほど、合っているように感じられる。
---fadeinPager---
「かみさまの御前なる岩に憑依する滝」という作品は、巨石(高さ約3メートル、幅約4.5メートル)を仮想の三次元空間に立体的に再現し、そこに水を落下させ、巨石の形による水の動きをシミュレーションし滝を描いた、と説明される。
「小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」と題されたインタレーションは、御船山楽園の池とプロジェクションを組み合わせたもの。夜、池のほとりにいると、小舟が現れ、それをきっかけに魚のプロジェクションが始まる。最後は魚の軌跡がさまざまな色の光の帯となる。
---fadeinPager---
「廃墟の湯屋にあるメガリス」は、もともとホテルが使っていた浴場が舞台。時空の塊と定義されるメガリス(巨石)を作り、そこに、花と人、それに水の流れが映される。
夜、暗めの廊下から展示スペースに入り、1フロア下の展示スペースを見下ろすと、あふれるようなイメージには息をのむばかり。「時間が止まった」廃墟の空間と組み合わされた、花の映像は、花が生まれ散り枯れる1年間を1時間で表現。
---fadeinPager---
水の流れが映し出されるメガリスに鑑賞者が近づくと、流れが変わり、それが隣接するメガリスにある花を押し流すこともある。これも、環境と、相互作用を意識したコンセプトだ。
ボルボC40リチャージは、「持続可能な未来へ向けてなすべき選択」として提案されているピュアEV。日本ではいま、前後にモーターを搭載した「ツインモーター」というグレードが導入されていて、このさき「シングルモーター」も入ってくる予定だ。
---fadeinPager---
485キロの航続可能距離をもついっぽう、静止から時速100キロまで4.7秒で加速。これは速い。私はC40リチャージで、今回、福岡空港から御船山楽園までの約70キロを走った。
ルーフラインはなだらかな弧を描いていて、クーペ的なのだけれど、外寸は全長4440ミリと全高1595ミリ。そんなに大きくないけれど、それでもセダンやハッチバックと並んで駐車場に置いてあると、存在感はけっこう大きい。
---fadeinPager---
ホイールベースは2700ミリあって、パッケージングは室内を広くしている。そこで前席はもとより、後席も、足元も頭上もけっこう広々感がある。ゆったりと乗っていられる。
上記のとおり加速は速く、高速道路では軽くアクセルペダルを踏んでいるだけで、予想以上のスピードが出てしまうことも。エンジンルームからも音が聞こえてこないし、排気音もない。キャビンまわりの風切り音もタイヤハウスからのノイズも、よく抑えこんでいるので、室内は静粛。そのため、独特の速度感に慣れる必要がある。
---fadeinPager---
ハンドリングはよい。大きめのバッテリーを床下に搭載しているため、いわゆる重心高が低く、結果、カーブを曲がるときや、高速道路で車線変更するときの安定感はかなり高い。
基本的に同じシャシーを共用するボルボXC40シリーズも、見かけによらず、箱根の山道などをくいくいと走ってしまうクルマだ。C40リチャージも、基本骨格のよさとでもいおうか、走行安定性が高い。これも大きな魅力。
その気になると、高速道路でも、周囲のクルマに後塵を浴びせかけることもできる。でもそれじゃ、大人げない。ポルシェのスポーツカーに追いすがれるほどの加速性のためというより、洗練されたドライブフィールの環境適合車という側面を、大事にしたいではないか。
---fadeinPager---
ダッシュボードまわりの造型は、XC40に準じている。ダッシュボード中央に9インチのTFT液晶モニターがそなわる。
コネクティビティといってWiFiによる通信技術が確立されているため、グーグルマップ、グーグルアシスタント、グーグルプレイが使える。音声コマンドも可能だし、インフォテイメントシステムは自動アップデートされる。まるでよく出来たスマートフォンのようだ。
荷室はリアが413リッター。エンジンがなく小型モーターのため、フロントボンネット下にも荷物入れスペースが設けてある。この点でも遠乗りができる機能が追求されているのだ。
---fadeinPager---
「自社の電気自動車による二酸化炭素排出の影響について、透明性を確保していく必要がある」とするボルボでは、このクルマのライフサイクル分析(LCA)を行い、一般に公開している。これも興味ぶかい点。
「サプライヤーの企業活動、製造、物流など、車両生産に関連するすべての過程で発生する二酸化炭素も含め、車両を走行距離20万kmまで使用した場合の二酸化炭素の総排出量(中略)は、充電する電力の発電に使用される資源の構成比によらず、ガソリン車のボルボXC40よりも小さいことを示しています」という。
ただし、「排出される二酸化炭素量が、充電時に使用する電力の発電方法に強く依存するのは明白です」とボルボ。そこで、「電気自動車を充電する際は、可能な限り再生可能な資源によって発電された電力を選ぶことをお勧めします」としている。こういうところもなんだか北欧っぽいではないかと私は思う。
Specifications
Volvo C40 Recharge Ultimate Twin Motor
全長×全幅×全高 4440x1875x1595mm
モーター×2 全輪駆動
最高出力 150kW+150kW
最大トルク 330Nm+330Nm
バッテリー容量 78kWh
航続距離 485㎞(国土交通省審査値)
価格 699万円