お金がなかなか増えない人の「3つの特徴」

  • 文:川畑明美
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お金を増やすのに必要なスキルは収入を増やす能力だけではない。お金が増えない人の3つの特徴について解説しよう。MicroStockHub-istock

お金を増やすことができない方には共通の特徴がある。筆者がいままで3000人以上もの方の家計を見てきて感じたことだ。そのひとつに「考えて行動しない」という特徴がある。特に多いのは友人が買って、増えたという金融商品を欲しがる人だ。友達が購入して「○○円増えたのよ~」という投資信託に飛びついてしまうのだ。


お友達が増えたのは、たまたま安かった時に金融機関の人に勧められて購入したからだろう。増えた時に購入したら、高掴みになっていると気付いていない。人気ランキングで上位だったからという理由で金融商品(特に投資信託が多い)を購入してしまう方も同じだ。


周りの行動が気になって、主体的な行動ができなくなっている。資産運用をするのならば、単純なリターンの高さだけを見てはいけない。そのリターンを得るのに、どのくらいのリスクがあるのかも考慮しなければならないからだ。取っても良いリスクは、万人に共通しているのではない。今おかれている状況は人それぞれで異なるからだ。

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退職金では大きなリスクを取ることはできない

年齢の若い方が老後資金をつくるために「しっかり増やしたい」のか、それとも既に退職していて、退職金などのまとまったお金を「減らさずに増やしたい」のかでは、選ぶ金融商品は、まったく違ってくる。


退職後は働く予定がないのに大きなリスクを取って大事な退職金を減らしてしまっては、リタイヤするどころか、また朝から晩まで必死になって働かなければならなくなる。働ければまだ良いが、高齢になると病気を発症して働けなくなることも考えられる。そうなってしまうと失うものも多くなる。老後の生活苦でマイホームを失うこともあり得るのだ。


退職金は、減らさない運用が大事だが、減らさないということは、逆にいうとあまり増えないということだ。なので安全性を高めた運用をご提案をするとガッカリする方もいらっしゃる。減らさないということは、理解できるようなのだが、恐らく一生でたった一度、大きな金額を手にして、これを運用したら大きく増えるに違いないと思っているのだろう。投資をしたことがない初心者ほどリスクに鈍感なのだ。


投資に絶対はないのだからリスクを取ってお金を失ってからでは、取り返しがつかない。むしろ大金ならば少ないリターンでも受け取れる金額も大きくなる。投資を魔法の杖のように考えては、大やけどしてしまう。お金が増えない人の3つの特徴をご紹介しよう。

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お金が増えない人の特徴その1
→特徴のある投資信託に飛びつく

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魅力的なキャッチフレーズや専門家と思われる人が強く勧めていると必ず値上がりするように錯覚してしまう。tdub303-istock

特徴のある投資信託に飛びついてしまう方はお金を増やすことができない傾向にある。「次は○○がくる! 」と、特定のテーマ・業種、地域に偏った投資信託の商品ばかり購入している方だ。そのようなテーマ型といわれる投資信託は、極めてコスト効率が悪いのだ。その業界が伸びている時ならばリターンも享受できるが、一旦その業界が不振になれば、大きく資産を減らしてしまう。他の業界や業種が入っていないのだから当然といえば、当然だ。


ITバブルは、良い例だった。IT関連というだけで株価がうなぎ登りに上昇した。ところがバブルがはじけた後は、半額以下になってしまったのだ。資産運用においてランキングなどの指標は意味がないことを肝に銘じて欲しい。肝心なのは、商品選びと組み合わせだ。

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お金が増えない人の特徴その2 
→元手・時間・知識がないと言い訳ばかり

お金が増えない人の言い訳に多いのは、「元手がない、時間がない、知識がない」の3つだ。元手がないというのは、収入をすべて使い切っているからだ。資産運用する前に、節約して無駄な支出を減らすことは、とても重要だ。


買い物をする時に「これは自分にとって必要なものかどうか」をよく見極めることだ。なんとなくコンビニに入って、なんとなくお菓子やコーヒーなどを購入するのと、気分転換に必要と感じてコーヒーを飲むのとでは、お金を使った価値が違う。


まずは、投資に回す資金を作ることだ。人間は、将来のお金よりも、目先の利益を優先してしまいがちなのだ。アメリカの有名な実験で、4歳の子どもがマシュマロをいますぐ食べるか、我慢できるかを調べた実験がある。この実験のルールは、たった15分間だけ食べるのを我慢すればマシュマロがもう1つ手に入って得をするというものだった。


たった15分の我慢だが、それができた子どもは全体の30%しかいなかったのだ。人間は目先の利益を優先してしまうことの実証実験だったのだが、それを優先していてはお金は増やせない。

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言い訳するのは面倒だから

時間がないと言い訳する方も目先の利益を優先していることが多い。「今10万円をもらうのと、1年後に10万1000円をもらうのと、どっちがいいですか? 」と聞かれたら、多くの方が今の10万円を選ぶ傾向にある。


1年という時間をかけたら、1%お金が増えるのに時間をかけることを嫌ってしまうのだ。現在の金利では10万円預金しても1%の利息はつかない。時間がないという方は、今の快楽を優先してしまうのだ。


また「知識がない」という言い訳は、ただ単純に、あなたがブレーキをかけているだけだったりする。知識がないので、やらなくて済むかもしれないが、それでは現状から抜け出すことはできない。「知識がない」という言い訳は面倒くさいことは嫌だから、やりたくないといっているのに過ぎない。そういう言い訳をする方は、いつまで経ってもお金を増やすことができない。

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お金が増えない人の特徴その3 
→社会保障について勘違いしている

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社会保険制度をよく知っていれば、入るべき保険もわかるし老後のお金や病気やケガの備えもわかるのに、ちゃんと理解している人は少ない。Yusuke Ide-istock

「老後のお金が心配」と、言う方ほどご自身が受け取れる公的年金の金額や、万が一のときに国から受け取れる保障を把握していないことが多い。国が運営する社会保障制度は、あなたが納めた保険料と税金で賄われている。


あなたがお金を支払っているいるのにもかかわらず保険料や税金について知らないのはかなり損しているということだ。社会保険とは、病気やケガ、老後の年金、失業などの万が一のリスクに備える公的保険制度のこと。社会保険には「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類がある。


自分がどのくらい納めていて、どのくらいの保障があるのか把握していない人が実に多い。知らないということは、いざというときに利用できない可能性もあり、大きな損をする可能性が高い。

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自分で支払っているのになぜ知らない

毎年1回誕生日に郵送で届く「ねんきん定期便」の内容を把握しているだろうか。これまでの「年金加入期間」と、加入実績に基づいた「老齢年金の見込額」がわかる。これは将来、年金がいくらもらえるかを知るだけでなく、障害年金や遺族年金の支払い要件や金額にも関係している。


民間の保険に入る前に、公的な保障がどのくらいあるのか知らないと「保険の入り過ぎ」になる可能性が高いのだ。年金定期便が届いていないという方も少なからずいる。引越しをして、会社に転居届を出しても会社から必ずしも年金事務所に連絡がいくわけではない。


過去の相談者で何年も年金定期便が届いていなくて年金事務所に問い合わせをすると転居の連絡が会社からなかったというケースが多くあった。届いていない場合は、お勤めの会社が所属する年金事務所に問い合わせて欲しい。また、マイナンバーとひもづいている場合は会社を経由しなくても情報は共有されて便利だ。


他にも、医療保険や労災保険の内容も知らずに民間の医療保険に加入していると、保険の掛け過ぎになる。ご自身でお金を支払っているのだから税金や社会保険料についての知識はしっかり学ぶ必要がある。知らない・知ろうとしないのでは穴の開いた財布で生活しているようなものだ。老後のお金を心配するならば、まず「いくら貰えるのか」を調べるべきだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/