長いこと憧れてた人についにお会いできました!
大御所彫刻家の、舟越 桂(ふなこし・かつら)さんです!!
思い越せばウン10年前、ファッションブランドのコムデギャルソンが若かりし舟越さんの作品を店内展示した話を雑誌で目にして以来、ず〜っと舟越さんの胸像彫刻が心に居続けてました。
画家モディリアーニの人物画のように首が細く物憂げな顔つきで、でもモディリアーニの悲しさや寂しさとも印象が違う、架空の物語の登場人物のような。
芯の強さを秘めつつも、物事にニュートラルに対応する柔軟な人物像と思えて。
ただ正直……わたしには舟越作品を皆さんに「なるほどね」と納得していただけるように言語化する能力がありません!
いまだに上手く分析できないんですよねー、この強烈な魅力の奥になにがあるのか。
アート上の文脈や他の作家との比較などは、評論家でも学者でもないわたしにはどうでもいいこと。
でもいつか、納得する答えを導き出したいと思ってます。
ただ「キーワードかな」とひとつ思うのは、舟越作品の中心がアジア人顔なこと。
骨格の細い体と顔つきが日本で生まれ育った人の心象風景とリンクして、この人物と自分とが関わる物語を思い描いてしまうのではないかと。
わたしたちのために存在する彫刻、そんな印象を抱いておりますよ。
さて今回舟越さんにお会いできたのは(写真は記事の最後に)、東京・丸の内の並木道に設置されている屋外彫刻「丸の内ストリートギャラリー」の、2022年6月28日に開催されたお披露目イベントにて。
いまをときめく名和晃平さんらの5作品が新作に加わり、その発表メディアツアーで“ご本人登場”な嬉しい出来事に巡り合ったのです。
まさかこの大御所さんがマイク片手に作品解説してくださるとは!
(めちゃ暑い屋外で)
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キャリア初の、ブロンズ像への彩色作品。
木彫り人物には彩色なさいますが、ブロンズでは初めてだそう。
質問させていただきました。
「これまでブロンズ像を彩色しなかった理由はなんですか?」
先生のお答え。
「追求するほどの興味が湧かなかったからです。でもこのたび作品を屋外展示することになり、やってみようと思いたちました。せっかくなので挑戦しようと。この場所での展示には合うと思いましたから」
御年71歳にしての初チャレンジ。
素敵すぎます。
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舟越作品は両目が少し離れ、どこを見ているか焦点がぼやけているのが特徴のひとつ。
顔をじっと見つめても、見る人の心に作品が攻め込まず素直に向き合えます。
左右のどこから見ても目線が合う名画モナリザとは逆の方向性ですね。
この作品「わたしは街を飛ぶ」はメイクアップされてますが、左側全体がブルーにシャドウ処理されています。
このやり方については、
「この場所は右上から光が差し込みます。ここでの設置を前提にしてあらかじめ彫刻に影を入れることにしました」
彫刻が設置されるのは約3年間。
トロンプルイユの影は、ここから移動したら本来の意味を失います。
丸の内ストリートギャラリーのためにつくられた特別作品なのです。
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頭に乗る建物はキリスト教会。
舟越さんは幼い頃キリスト教の洗礼を受けたそう。
キリスト教徒ではないそうですが、パーソナルな世界が胸像と一体化されてます。
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台座左側に設置された黒い棒は、先端が夜間照明。
丸の内ストリートギャラリーは夜にライトアップされます。
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パワフルに活動する舟越 桂さん。
作品を巡るツアーでバタバタのなか、唐突なお願いで撮らさせていただき恐縮です、ホントに……。
この記事で舟越作品に興味を持つ方が増えていただくことを願いつつ。
丸の内アートストリートの新作では、彫刻家の中谷ミチコさんの作品も、まー素敵でした。
ご本人とも軽くお話させていただいたその様子は、次回以降のこのブログPen Online「コラムニスト」にて。
作品の構造が複雑すぎて説明がなかなかたいへんなもので、別記事とさせていただきますっ。
All Photos:KAZUSHI
KAZUSHI instagram
www.instagram.com/kazushikazu/?hl=ja
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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