飲まないけど楽しい!『ノルディックウォーキング』が同窓会に最適なワケ。

  • 文・写真:馬場未織
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心地よい風を感じながら、気の置けない友らと隅田川沿いを歩く『ノルディックウォーキング×同窓会』

コロナ禍でずっと会えなかった友らと、ようやく会えるようになった昨今。
久々に集まりたい、でもみんなで深夜まで飲んで喋るシーンを想像すると、反射的に「なんかキツいな」と思ってしまう自分がいます。この2年間でライフスタイルがリセットされたことで、以前の状態に戻るのではなくて、自分が好ましいと思う状態を“選び直す”ようになっているのかもしれません。

先日、幼馴染8人で集まることになったんですけどね。

わたしたちが選択したのは、この集まりを『ノルディックウォーキング×同窓会』にしよう!というものでした。

『ノルディックウォーキング』とは、専用のポールを持って野外を歩くエクササイズです。

そもそもはクロスカントリーの夏季トレーニングだったそうです。とはいえウォーキングなので、ゴルフやテニスなどのようにスキルの差を気にする必要がありません。野外だから密とは無縁だし、身体を動かしながら口も動かせるなら一石二鳥、という発想です。

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フィンランドを発祥地として世界40か国以上に広がり、年齢や性別など関係なくみんなで一緒にできるスポーツとして近年注目されています。

当日は、仕事に子育てに忙しい40代女子たちが万難を排して9時半集合。

暑くならない午前中に隅田川沿いを歩き、お昼は築地の海鮮丼ランチを楽しみ、場外で買い物をして午後イチには解散、というスケジュールです。4時間1本勝負。
18時から22時までの飲み会とまあ同じようなボリュームだと言えます。

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『IHANAノルディックウォーキング』のプログラムに参加。屋外はコロナのリスクが軽減され、何より気持ちがいいです。ポールはレンタルできます。

会えばすぐ時間が巻き戻っていくらでも喋ることがある幼馴染との時間ですが、口だけでなく、正しくしっかりと身体を動かすのも大事なミッション。交代でコーチに歩き方をチェックしてもらいます。

「肩が上がると腕の可動域が狭まります。耳と肩を離すように」

「お尻の穴をキュッと締めて」

「腕の力は抜いて、ポールは後ろに軽くプッシュするかんじ」


ノルディックウォーキングは腕や肩の筋肉をしっかり使うので、一般のウォーキングよりも上半身の筋肉を使い、全身運動となるのが特徴です。いちど正しい姿勢が定着すると、歩くのが俄然楽しくなります。ポールの力を利用してぐいぐい前に進む感覚がたまりません。

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腰が反るクセのあるわたしは、「恥骨を上げるのを意識するといい」とアドバイスされて非常に納得。以来、今でも歩くときは常に意識しています。

40代も後半になると、四十肩、老眼、更年期障害、ナゾの不調などに出くわすようになります。
これまで忙しさにかまけて身体の声をまともに聞かずに酷使し続け、とうとう自分の身体から「もう無理無理無理無理!」と突き上げを食らってしまう。そんな体裁です。

こっちとしてはビックリなわけです。
昨日の続きが今日で、今日の続きが明日かと思えば、ある時から突然ガタンガタンと身体がベツモノに変化していくんだから。

ということをだいたい同じタイミングで思い知る友らと一緒に身体を動かしていると、不思議なことに自分の状態を隠しだてなく打ち明けたくなります。
しんどいこと、実は不安なこと、いろいろ分かってきたこと……
社会的な立場などはすべて関係なく、ただみんな平等に歳を重ねている身体について確認をし、発見を共有し、話題は未来の生き方にも及びます。


身体は等しく歳を重ねる。

それは、とても優しい、心強い事実です。

身体を意識しない年齢のときには、こんな心強さは感じなかったな、と振り返ります。

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「ノルディックウォーキングは、あれやこれやココロとカラダの変化を感じる年頃の女性の味方なのかもしれません」と、IHANAノルディックウォーキング代表の黒木公美さん。

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災難を除き波を乗り切る「波除神社」にも立ち寄ります。お祈りしたいことはいろいろあります。


ポールを持ってのびやかに歩いていると、どこまでも歩き続けられるような気持ちになるんですが、「いいペースだから早めにランチ会場につくかも」と言われれば急に脳内は海鮮丼のことでいっぱいになる現金さ。

たくさん動いて食べる、という流れが精神衛生にいいですね。

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築地の食を楽しみ、場外での買い物へ。突然それぞれが真剣に物色しはじめる。保冷バッグも持参していますから。

解散後、それぞれの持ち場に散りながら「歳を重ねるっていいもんだな」と思いました。

違う苦労、違う痛みを抱えつつそれぞれ頑張って生きてきたわたしたちが、また「一緒に前を向いて一生懸命歩く」時間を持てるのだから。

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来年も、ともに歩く予定です。


飲まなくても充分楽しい時間が過ごせると知ってしまった2022年。
これからどんどん楽しみ方の選択肢を広げていけるはずです。

IHANAノルディックウォーキング
https://www.ihana-nordicwalking.com

馬場未織

建築ライター、NPO法人南房総リパブリック理事長、neighbor運営、関東学院大学非常勤講師

1973年東京都生まれ。日本女子大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2007年より「平日東京/週末南房総」という二拠点生活を家族で実践。2012年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市職員らとNPO法人南房総リパブリックを設立。里山学校、空き家・空き公共施設活用事業、食の二地域交流事業、農業ボランティア事業などを手がける。2023年よりケアのプラットフォームneighbor運営。著書に『週末は田舎暮らし」、『建築女子が聞く住まいの金融と税制』など。

Twitter / Official Site

馬場未織

建築ライター、NPO法人南房総リパブリック理事長、neighbor運営、関東学院大学非常勤講師

1973年東京都生まれ。日本女子大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2007年より「平日東京/週末南房総」という二拠点生活を家族で実践。2012年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市職員らとNPO法人南房総リパブリックを設立。里山学校、空き家・空き公共施設活用事業、食の二地域交流事業、農業ボランティア事業などを手がける。2023年よりケアのプラットフォームneighbor運営。著書に『週末は田舎暮らし」、『建築女子が聞く住まいの金融と税制』など。

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