なかなかお金が貯まらない人の「思考パターン3選」

  • 文:川畑明美
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なかなかお金がたまらない人には共通した思考パターンがある。残念な思考パターンを捨てられれば面白いほど上手くいくこともある。MicroStockHub-istock

「これはお得だ」「あれは損だ」誰にでも損得勘定は、あることだろう。お金に縁のある人生を送るためには、お金に対して「シビアに接する」必要がある。しかしお金に対して「シビア」になるのを邪魔するのが「損得勘定」だ。少し前に『なかなかお金が貯まらない人の「3つの特徴」』をご紹介した。お金が貯まらない人の特徴は「レシートを見ない・もらわない」などだった。今回は思考パターンから解説しよう。


損をしたくないというのは、人として当たり前の感情だ。しかし損得勘定を出発点として考えると残念ながら正反対の結果になりかねない。つまり「損をしたくないけれど結果として損をしている」状態になってしまうのだ。例えば「40%OFF」とか「限定3個」についつい反応してしまうのも損得勘定なのだ。「今買わなければ損をする」と考え、いつ使うかわからないものをついつい購入してしまう。お金に「シビア」になるには、まず損得勘定で物事を考えてはいけない。

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お金を支払うのは人を喜ばせたことへの対価

人間の脳は「損」に対して過剰に反応してしまう。だから損得勘定で行動する方は、逆に損をすることも多いのだ。例えば自社の新製品を取引先に提案に行ったとしよう。新製品のメリットを一生懸命話す営業マンと、取引先の悩みを聞いてその悩みは新製品を購入することで解決すると提案した営業マンのどちらから新製品を購入したいと感じるだろうか? 恐らく後者の悩みを解決する提案をしてくれた営業マンから購入したいと考える方が多いだろう。


前者の営業マンは、顧客に売らないと損だと考えるあまりに、自社の製品のメリットを連呼してしまう。でもそれでは、お客様の心には響かない。後者の営業マンは、まずお客様の立場に立って得をしたと思ってもらえるように考えている、とも言える。そう考えると、お金は人を喜ばせたことへの対価で支払われるものといえるのだ。顧客の話を聴いて、悩みを解決することができることで、感謝の対価としてお金を支払ってくれるのだ。営業成績が非常に良い人は、このことに気付いている。

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お金が貯まらない人の思考パターンその1
→聞き上手でない

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営業マンを例に紹介したが、聞き上手になると人間関係が上手くいくことも多い。人に好かれる人は、お金にも好かれるのだ。SIphotography-istock

前者の新製品のメリットを一生懸命話す営業マンも真面目に仕事をしているのだと思うが、人を喜ばせるという視点が欠けているのだ。捉え方によっては取引先のことを親身に考えてないと思われてしまう。一方的に売り込みをしても、売上には繋がらない。


自分の話ばかり一方的に聞かされていると「売り込みをされた」と思われてしまい、顧客の心は動かないのだ。顧客とのコミュニケーションの中から相手の状況を的確に理解し、新製品が顧客の悩みを解決できると感じたところで新製品のメリットを話したら簡単に商品は売れるのだ。


顧客もまた「損」をしたくないと考えているのだから、自分の悩みを聞いてもらって解決してもらえることで「得した」と感じてもらえれば、自然と売上は上がるのだ。出世が早い人、仕事ができる人の多くは「聞き上手」だ。そしてそういう人ほど、収入が上がりお金も集まってくる。

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お金が貯まらない人の思考パターンその2
→最後まで確認をしない

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仕事が早い人ほど無駄が少ない。仕上げたあとで変更を要求されるのならば、変更がきく時点で確認をして時間を確保している。Aslan Alphan-istock

お金がたまらない人は、働く理由が消極的だ。仕事をしている理由を聞くと「仕方なく生活のために働いている」と答える人が多い。お金がもらえるから、仕事をするという「損得勘定」で仕事をしているのだ。逆に収入が上がりお金も集まってくる人は、「積極的に働き、主体的に仕事に取り組む」という特徴がある。


さらに稼げる人は「仕事が早い」という特徴もある。そして「仕事が早い」人はある程度形になったところで確認をすることが多い。8割方仕事が形になったところで依頼した人に確認をするのだ。依頼した内容との相違はないのか? さらに、追加したい内容はないのかを確認するのだ。こういう人は、仕事を頼まれやすい。いくら完璧でも依頼した人の「思っていること」と違うこともある。納期ギリギリに仕上げて変更がきかないのでは、満足してもらえない。


仕事には完璧を求められるが、自分の思っている完璧と相手が思っている完璧は、違う事もよくある。また、形になったところで、相手の要望を聞くので「気が利く」と思われる。そのことをよく分かっているのだ。完璧に仕上げているつもりでも、最後まで確認しないというのは、相手の印象が違ってくる。

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お金が貯まらない人の思考パターンその3
→ゴールからの段取りを考えていない

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お金が貯まらない人ほどゴールを設定していない。ゴールがわからないから、具体的な行動もとれないのだ。takasuu-istock

また、忙しい人や仕事が早い人ほどゴールまでの段取りができている。ゴールから考えて、ある程度形になったところで調整・修正していくのだ。これはお金を計画的に貯めることにも共通している。将来必要なお金を予測して、そのためのお金を貯めてゆき実際に必要になる前に、再度計算をし直す。教育費などは予定していた金額よりも実際には大きくなることもよくある。途中で修正を入れることも大事なことなのだ。


老後資金も同様だ。制度も変わるので、ひと昔前に試算した予算では、足りなくなることもある。だから、どのくらいの金額を目標にしたらいいのかも、わかりにくい。なので「老後資金は2000万円必要です!」なんていわれると慌ててしまう。自分に必要な老後資金は、今の支出から考えればゴールも見えてくる。


今の収入の内、いくら使っているのかがわかれば、現在使っている金額から年金の受給額を差し引いた金額と平均余命を掛ければゴールの金額は、わかるのだ。後はその金額を何年で準備したらいいのか段取りを考えればいい。もちろん人生の節目には再度計算をし直すことも大事だ。

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損をして得を取れ

すべての費用を1円単位まで把握しておく必要はない。お金にシビアに接するということは、自分の可処分所得はいくらなのか? 税金はどのくらい支払っているのか? 光熱費はどのくらいかかるのか? 保険はいくらかけているのか? と、質問された時に、おおよその数字ですぐに答えられることなのだ。おおまかな支出と収入が頭に入っていなければ何に無駄遣いしているのか、すぐに自覚することができない。

赤字家計の方を見ているとその多くは2つのパターンになることが多い。住宅費が収入に対して大きい方と保険に多く掛け過ぎている方だ。マイホームを購入している場合、そもそも収入に見合わないケースは売却する必要があるので、なかなか決断ができない。保険の場合も、解約すると元本割れしてしまうので、こちらもなかなか決断ができない。しかし、これを思い切ってコストダウンしなければ、大きな改善は望めないのだ。損して得取れということだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/