ピコ太郎と「9歳のNFTアーティスト」の母が語る、“英語教育のあるべき姿”と“NFTの可能性”

  • 写真:齋藤誠一 文:今泉愛子 

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YouTubeに投稿した動画「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」で世界を席巻したピコ太郎と、9歳のNFTアーティストとして注目される「Zombie Zoo Keeper」のクリエイティブプロジェクト「PikoZoo」が進行中だ。制作したMVは、NFTマーケット「OP3N」で全世界先行リリースされている。ピコ太郎のプロデューサーである古坂大魔王と、Zombie Zoo Keeperの母親でヴォーカリストの草野絵美が、新時代のビジネスとして注目されるNFTマーケットの魅力と可能性について語った。

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作品を世界に届けるために

――コラボのきっかけを教えてください。

草野絵美(以下草野):Zombie Zoo Keeperの作品を、米国の音楽プロデューサー、スティーヴ・アオキさんが購入してくれて、価格が一気に高騰したんです。

――いわゆるバズった状態ですね?

草野:うれしい反面、不安になりました。NFTは価格が乱高下しますから、それによって息子を傷つけることになったらどうしようと。その不安をTwitterでつぶやいたところ、友人が海外でビジネスの経験がある古坂さんを紹介してくれたんです。

古坂大魔王(以下古坂):すぐにZOOMで話をしましたよね。お互い幼い子どもがいるので、「子どもが寝てからね」と。

草野:第一声は「やっと寝た〜」。

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古坂大魔王●お笑い芸人。音楽プロデューサー。自身がプロデュースしたピコ太郎は2016年8月にYouTubeで公開された『PPAP』で大ブレイク。日本人としては26年ぶりに、アメリカビルボードHot100チャートに入った。楽曲は世界134カ国で配信されている。

古坂:世界でビジネスを進めるには契約が大事という話をしていたのに、気がついたら「曲をつくりましょう!」と言っていました。

草野:古坂さんからすぐに曲が届いて。

古坂:いま、音楽は音だけでは話にならないんです。だけど、既にKeeperくんの絵があるわけですから。あの絵にこの音を付けて、と草野さんとLINEでやり取りをしてレコーディングまであっという間でした。

――最初からNFTでの流通を想定していたんですか?

草野:日本のプラットフォームだけでは、世界に届けることが難しい。それではもったいないと思いました。

古坂:僕もピコ太郎を連れて世界を周ってから、「日本って世界なんだ」と気がついたんです。

――垣根はないと。

古坂:はい。だからZombie Zoo Keeperのテーマソングを作ってPVにすれば十分世界で広まるだろうと思いました。

――スタッフもワールドワイドです。

草野:ミュージックビデオは、オーストラリア出身でYouTubeチャンネル登録者数300万人超のWengieが制作を担当。Twitterのスペース(ユーザーと音声を通して交流ができる機能)で意気投合したハリウッドの大物プロデューサーJaeson Maさんが設立した、Web3.0企業のOP3N(オープン)のプラットフォームを使用しています。

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「間違っても英語でどんどん話す」という教育が必要

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草野絵美●1990年東京都生まれ。株式会社Fictionera代表。2022年には自身のコレクション「Shinsei Galverse」を開始し、世界最大のNFTマーケットプレイスOpenseaの24時間売上ランキングで世界1位を記録。アーティスト、東京藝術大学非常勤講師、歌謡エレクトロユニット「Satellite Young」歌唱、執筆家など、多彩な顔をもつ。

――やり取りは英語で?

草野:そうです。Zombie Zoo KeeperのTwitterもすべて英語ですし、私のTwitterも英語のみで発信するようになってフォロワーが1万7千人から3万2千人に増えました。

古坂:ピコ太郎の英語は片言ですが、海外でよく言われたのは「これで十分なのに、なぜ日本人は喋ろうとしないんだ」ということ。正しい英語を教えるより、間違ってもどんどん英語で話していこうという教育をしたほうがいいんです。I have an apple.じゃなくて I have apple.でも通じますから。世界で色々な人とやり取りをしましたが、ネイティブでなくてもなんとかなっています。もちろんビジネス上の契約に関するやり取りは別ですが。

草野:日本人もTwitterで誤字脱字が多いのは気にしませんよね。

古坂:そう、それと同じ。僕も翻訳ツールを使いながらやり取りしています。

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トップワンよりファーストワンを目指す

――古坂さんはNFTをご存知でしたか?

古坂:正直なところよくわかっていませんでした。だけど何か心に引っかかるものがあったんです。僕が15年前にYouTubeを始めた時もそうでした。

――まだテレビが優位な時代でした。

古坂:誰かがやっていないことをやろうとすると、最初は誰も欲しがらない。それでもやったから、ピコ太郎は海外でバズった最初のYouTubeでのシンガーになりました。つまりファーストワン。再生数や登録者数は追い抜かれてトップワンは入れ替わりますが、ファーストワンはいまもピコ太郎なんです。だからいまもことあるごとに名前を出してもらえます。本当にありがたいです。

草野:NFTはまだ利用者がそれほど多くないのですが、そういう意味ではやるなら早いほうがいい!とは思います。

――ファーストワンになれる可能性がありますね。

古坂:あとNFTがいいのは、クリエイターにきちんとお金が回る仕組みだということです。最初から全員に気に入られる必要はなくて、少数の「おっ!」と思ってくれた人から中間層に伝わっていきます。

草野:いまのNFTには新しい物好きの人たちが集まっています。だからコミュニティとしてすごく面白いんです。デジタル作品に値段がついて、所有者はそれを自分のアイコンにしたり、グッズにしたり、イベントにもそのアイコンのお面をかぶって登壇したりしています。そういう熱狂もやってみるとわかります。

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【動画】「PikoZoo」のミュージックビデオ

「Zombie Zoo to PIKOTARO DESU / Zombie Zoo family × PIKOTARO」
ピコ太郎 OFFICIAL YouTubeより

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世界が一瞬にしてつながるメタバース

古坂:国内市場はこれからどんどん小さくなっていきますから、海外に向けて発信することがすごく大事になってきます。いきなりニューヨークに行かなくても、日本でできることからやっていくといいですよね。

草野:ナイキがメタバースで使うスニーカーをつくっているNFTブランド「RTFKT」とのコラボでスニーカーを販売しましたし、アディダスもメタバースでの展開を始めています。 

――どんどん新しい動きが加速していますね。

草野:グローバルなビジネスでは世界が一瞬にしてつながります。

古坂:プロデュースも子育ても要はシステムづくりなんです。それが将来への貯金になります。草野さんはビジネスも子どものことも道をつくるのが上手。

――その過程は、著書の『親子の知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』にも書かれています。

草野:本人は、もともと自分は絵が得意ではないと思っていました。クラスで絵の上手な子のことを「いいなあ」って。だけど小さい頃にアイロンビーズがすごく好きでやっていたので、そこからドット絵にたどり着きました。

古坂:これまでドット絵職人は、本物にいかに近づけるかで腕を競ったんですが、Keeperくんはそれをしない。モノマネをしないモノマネ芸人みたいなもので、そこが新しいんです。

草野:彼の世界観を、ピコ太郎さんをはじめたくさんのクリエイターさんの力を借りながら拡張していけたら。いまは東映アニメからアニメ化プロジェクトも始動していて、プロモーションビデオも公開されました。

古坂:僕は、Keeperくんに自分と同じへそ曲がりの血を感じるんです。これからもどんどん枠からはみ出てほしいですね。

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Zombie Zoo Keeper

東京都出身のNFTアーティスト。8歳の時に夏休みの自由研究で「ゾンビ×動物」をコンセプトにした「Zombie Zoo」NFTを制作。米国の音楽プロデューサー、スティーヴ・アオキに購入されたことから世界的に話題となり、多くのクリエイターがNFTに進出するきっかけとなった。日本初のNFTアニメ化、ピコ太郎氏とのコラボMV、Web3ゲーム世界的大手Sandboxとの協業などを実現。

※NFT(Non Fungible Token)とは、直訳すると「非代替性トークン」で、ブロックチェーン技術を利用した暗号資産のこと。NFTを使うと、これまでコピーが自由にできたデジタル作品の所有者を明確にできることからクリエイターの間で注目され、デジタルアートやゲームアイテム、音楽作品などに活用されている。

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親子の知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』 草野絵美 著 CCCメディアハウス ¥1,540

NFTアーティストであるZombie Zoo Keeperの母親である著者は、いかにして子どもの才能を発掘し、伸ばしたのか。自分自身を常にアップデートしながら子どもに伴走する、新時代の子育て論を展開する。

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