デザインエンジニア、吉本英樹さんと考える、新型レンジローバーの先進性とは?

  • 写真:谷井 功
  • 文:和田達彦
  • スタイリング:長山智美
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初めて渡英したとき、日本で見ていた同じ車種のクルマがイギリスの街なかで見ると印象が違うことに驚いたと言う吉本さん。左から、ソファ「スピカ」¥551,100(1P)〜 by interiors Tokyo TEL:03-6712-5830 www.interiors-inc.jp、ペンダントライト「ベルティゴ」¥253,000 CIBONE TEL:03-6712-5301 www.cibone.com(写真の車両は日本仕様とは異なります)

「シームレスで凹凸が少ないところは、皮膚っぽいというか、有機的な感じがします」

工学とデザインの2分野をまたいだ活動によって注目を集めている、デザインエンジニアの吉本英樹さん。2020年に東京大学先端科学技術研究センター特任准教授に着任して以来、産学共創のさまざまなプロジェクトを手がけている。「15年にロンドンでTangent(タンジェント)を創業した当初は、ラグジュアリーブランドとのアーティスティックな仕事などが多かったのですが、最近はAIと画像解析を活用したメディアの創造や新しい太陽電池システムの開発といった、最先端テクノロジーを起点にした仕事がメインになっています」。どんな仕事であっても、常に心がけているのは、テクノロジーが表に出すぎないようにすることだと言う。「これぞ最先端技術ですというのがエキサイティングな場合もありますが、そればかりが前面に来ると、人にとっては刺激が強すぎて、素直に受け入れにくいものになりがちです。だから、技術が人と接するけれど突き刺さず、1点で触れつつ寄り添っている。そんなバランス感覚でいたいという意味を込めて、会社をタンジェント(接線)と名づけたのです」

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吉本さんが新型レンジローバーのドライバーズシートに座って感じたのは、空間の上質さ。「オフロードカーには無骨なイメージがありますが、このクルマの中にいるとそれはまったく感じないですね。いい意味で落ち着きがあります」(写真の車両は日本仕様とは異なります)

新型レンジローバーを見てまず印象的に感じた部分は、外装の滑らかさだと言う吉本さん。「シームレスで凹凸が少ないところは、皮膚っぽいというか、有機的な感じがしますね。これからのクルマは、人が操縦する機械から、自ら考えて動く生きもののようなものになりつつありますが、それに呼応しているような感じがします」。また点灯するまで存在に気づかないテールランプなども、企画から実現に至るまでの過程がとても気になるそうだ。そして吉本さんが何よりも新型レンジローバーに対して共感を覚えるのは、新しい技術を惜しみなく導入しつつも、それが前に出すぎていない点なのだと言う。「有機的な滑らかな造形が可能になったのは、技術の進化あってのものですし、ユニークなテールランプはLEDやレンズ、ミラーの技術の進化の賜物です。それらの新しい技術が、レンジローバーという伝統のあるクルマのなかで調和されているところがすばらしいと思います。単純に要素を並列するより調和させること、際立たせることよりなじませることのほうがずっと難しいことだからです」

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「細部までとことんつきつめ、芸術の域を目指すことが新時代のラグジュアリー」

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もし新型レンジローバーを所有するなら、都会を離れ、自然のなかへ走りに行きたいと言う吉本さん。「やっぱりいちばんのコアになっているのはどんな条件の道も走れるクルマという点だと思うので。こんなラグジュアリーでエレガントなクルマが泥まみれになって道なき道を走るシーンを思い浮かべると、逆にカッコいいと思います」(写真の車両は日本仕様とは異なります)

「伝統と革新の両立。イギリスはそういうのが得意です。ヨーロッパの国のなかでも、イギリスはロンドンが一度大戦で焼け野原になっているせいか、変えるべき部分はいさぎよく変えてしまう。それでいてクラシカルなものと断絶するわけでもなく、シームレスに共生共存させるのがうまいんです」と語る、吉本さん。要の部分についてエッセンスを抜き出して現代的な解釈で再定義し、遺伝させていく。それは新型レンジローバーにも感じる点だと言う。「レンジローバーは初代からいかにも険しい道を走っていくような男性的なクルマでありつつも、ファッション性をすごく意識してつくられていて、女性的なエレガンスも感じられました。そういうスタイル、フィロソフィーをきちんと系譜の中で遺伝させているのはすごい」。それは、初代からのアイコニックな部分を受け継いでいるからだと吉本さんは分析する。「特徴的なルーフやウエストのラインなどは、重厚感のなかに疾走感や軽やかさを出すためのものだと思いますが、そういうポイントを新型もおさえている。だから受け継いでいるものが明確にあることが、誰でもわかります」。そしてそうしたブランドのDNAや新技術などのさまざまな要素のバランスを取り、調和させているところにラグジュアリーを感じると言う。「ラグジュアリーというとお金がかかっているという表面的な点に目が行きがちですが、そうじゃないんです。全部盛りで豪華に見せるのは簡単だけれど、今の時代にそんなことをしても共感を得られない。調和のために細部までとことんつきつめて、芸術の域にまで達している。それがラグジュアリーなんだと思います」

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より上質になった、新型レンジローバー

1970年に登場した、ランドローバーのフラッグシップモデルであるレンジローバー。新型は初代から数えて5代目に当たるモデルだが、新設計の「MLA-Flex(flexible Modular Longitudinal Architecture)」プラットフォームに始まり、内外装のデザイン、2024年に登場予定のピュアEVモデルも含めたエンジンのラインナップに至るまで、先代モデルからは全面的にリニューアルされている。レーザー溶接のルーフを始め、先進テクノロジーを駆使することで限りなく凹凸をなくしたエクステリアデザインはすっきりとしたラインと優れたエアロダイナミクスを実現している。またルーフ、ウエスト、サイドシルのラインなど、レンジローバーならではの特徴を押さえることで、モダンさの中に脈々と受け継がれてきた伝統も感じさせてくれる。一方のインテリアも最先端テクノロジーと洗練されたデザインを融合。レザーの他にウルトラファブリックやクヴァドラと共同開発したウール混紡テキスタイルなど、サステイナブルを意識した素材を選択することができる。さらに「SV」グレードでは、電動で展開できるテーブルや冷蔵庫などの機能をセレクトすることも可能だ。

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レンジローバーの伝統である横基調のインパネのなかに最新のインフォテインメントシステム「Pivi Pro」のタッチスクリーンを搭載。「サンクチュアリ(聖域)のような空間」が実現されている。(写真の車両は日本仕様とは異なります)

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上部に継ぎ目のない「クラムシェル」ボンネットの縁には、おなじみのレンジローバーのロゴ。伝統的なスタイルを残しつつ、フロントグリルやエアインテークにはモダンな新デザインを採用。新旧の要素をたくみに融合している。(写真の車両は日本仕様とは異なります)

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ルーフ、ウエスト、サイドシルの3つのラインやショートオーバーハング、「ボートテール」と呼ばれるテーパー状のリヤセクション、そして上下分割式のテールゲートなど、レンジローバーならではの要素がエクステリアにちりばめられている。(写真の車両は日本仕様とは異なります)

023A8352_1_1.jpg新型レンジローバー(写真右)と初代モデル。こうして並べてみると50年以上の時の流れを感じるが、同時にモダンに進化した新型の中にもレンジローバーの核となるDNAがしっかり受け継がれていることもわかる。(写真の車両は日本仕様とは異なります)

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新型レンジローバーで訪ねたい、地元和歌山の高野山

5代目に生まれ変わったレンジローバーで吉本英樹さんに訪ねたい場所を伺ったところ、地元和歌山県の高野山の名が挙がってきた。吉本さんが現在所属する東京大学先端科学技術研究センターと高野山では、「科学技術×アートデザイン×哲学」の個性豊かなプロジェクトが進行中。さらにそこにある宿坊「恵光院」に壁面アート『月輪(がちりん)』を制作し、奉納。高野山の魅力を再発見したと言う。高野山真言密教に伝わる独自の瞑想法「月輪観(がちりんかん)」を体験しにレンジローバーでこの地に向かいたいそうだ。

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弘法大師 空海が五重塔を建立、毘沙門天、不動明王を安置したことに始まる恵光院。毘沙門堂には空海作と伝えられる毘沙門天、不動明王、愛染明王が祀られる。高野山の自然と歴史を感じられる宿坊寺院である。恵光院 TEL:0736-56-2514 www.ekoin.jp 写真:Kankan
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和歌山県金剛峯寺の宿坊、恵光院の壁面アート「月輪(がちりん)」。高野山真言密教の瞑想法をより深く広めるため、金沢の伝統工芸を手がける「箔一」とともに特別室の壁面アートを制作。写真:Kankan

新型レンジローバー SVセレニティ LWB

サイズ(全長×全幅×全高):5265x2005x1870㎜
排気量:4394cc
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
最高出力:530PS/5500〜6000rpm
最大トルク:750Nm/1850〜4600rpm
車両価格:¥28,580,000~(税込)
問い合わせ先/ランドローバーコール TEL:0120-18-5568
www.landrover.co.jp

※写真の車両は日本仕様とは異なります。寸法はすべて欧州仕様値です。