収入減で住宅ローン破綻が急増! すぐに検討するべき「3つのこと」

  • 文:川畑明美

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コロナ禍で収入が減少している上、円安や物価上昇によって住宅ローンの負担が苦しくなっている家計を見受ける。ローンを滞納する前に知っておきたいことをご紹介しよう。istock

コロナ禍で給料が減少している上に、円安や物価高で生活費が圧迫されたり失業したりする方も多い中、住宅ローンの支払いが困難になっている方が急増している。住宅金融支援機構が公表しているフラット35の返済相談件数によると、コロナ禍以前の2020年2月の相談件数は15件だったのに対して、2020年4月では1158件と急増しているのだ。


2021年の平均年収は、コロナ禍の影響で6万円も減少して403万円(転職サービス「デューダ」の平均年収ランキング2021年による)となっている。住宅ローンの支払いは厳しいけれど、できる限りマイホームを手放したくない時にはどうしたらいいのか対処を考えてみたい。


もしも住宅ローンを滞納してしまったらどうなるのか、ご存じだろうか? 住宅ローンの滞納が続けばマイホームは「競売」にかけられてしまう。競売とは、住宅ローンの借入れ先の銀行などの金融機関が最終的な手段として裁判所を通じて不動産を売り、その売却代金から優先的にローン残高を回収する手段だ。


もちろん滞納したらすぐに競売になるのかというと、そうではない。滞納から何カ月でマイホームが競売にかけられてしまうのか、時系列で見てみよう。

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競売が始まるのは7カ月目くらいから

滞納1カ月目は、普通郵便で督促通知が届く。そして、そのまま滞納を続け2~3カ月経過すると電話や自宅訪問などの督促となる。加えて個人信用情報に金融事故情報として掲載されてしまう。配達記録や内容証明郵便などで、滞納分の一括返済を求められる。その後4~6カ月滞納を続けると「期限の利益」を失う。


期限の利益とは、分割での返済が認められていることを指す。つまり、住宅ローンを分割で返済する権利を失うということになるのだ。その後は「代位弁済」が行われる。代位弁済とは、保証会社が本来の債務者に代わって全額を返済することだ。代位弁済が行われると保証会社から一括弁済の請求にかわる。


しかし、銀行に返済できない方が保証会社に返済できるわけがない。そのため保証会社は「法的手続きに移る」という手紙を郵送してくる。この時に任意売却を勧められることもあるが、任意売却をしないとその後、いよいよ競売が始まるのだ。

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任意売却と競売の違い

任意売却と競売の違いを説明しておこう。まず任意という言葉は、強制的に売却される競売(強制競売)と比較した場合、自らの意思で売ること(任意)という意味のため、任意売却と呼ばれている。任意売却とは、金融機関が競売にかける前に自分でマイホームを売却する方法だ。


通常、抵当権を抹消するためには、融資額の返済の残りである「残債」を返済する必要がある。従ってローンの残高よりも売却額が低い場合、不足額分は自己資金を当てないと抵当権を抹消できない。ところが任意売却ならば、金融機関からの同意を得られれば、売却することが可能になるのだ。競売になってしまうと普通に売却するよりもはるかに安い金額で売却することになってしまう。


競売で安くなるということは、住宅ローンの残債が多くなるということだから、金融機関の回収金額が少なくなってしまう。競売の方がデメリットが多いため任意売却を勧めるケースが多くなる。

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すぐに検討したいことその1
→任意売却を選択する

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ローンの支払いが厳しいと感じたら、すぐに行動しよう。競売は最も避けたいので、その前に相談すべき所で早く相談することだ。-istock

ただし任意売却といってもマイホームの売却価格を決めるのは売り主ではなく、金融機関となる。契約・引き渡しや売却後のローン残債についても、金融機関との連携が大切になるので注意して欲しい。任意売却後に残った住宅ローンの残債は、話し合いをして無理なく分割して支払うことになる。


一方競売は、金融機関が裁判所に競売を申立をする。入札方式で一番高い金額で入札した人が落札するシステムだ。一般的な落札価格は、市場価格の70%ほどといわれている。任意売却は、金融機関の了承のもとに行われ売却代金から諸費用の配分が認められている。だから引越し費用を認められるケースも多い。


ところが競売の場合、売却代金は返済に充てられ、引越しなどの資金は一切受け取ることができない。また競売となるとインターネットや新聞に情報が掲載されるためプライバシーは守られない。また売却しても残ってしまうローンの残債の返済計画についての交渉もできないのだ。住宅ローンを滞納する前に、早めに動けば打つ手はある。

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すぐに検討したいことその2
→金融機関に相談

いままで解説したように、住宅ローンを滞納してから競売に至ってしまうまでには、約半年しか猶予はない。返済が苦しくなりそうだと気付き、早めに手を打てば、打開策はある。まず、住宅ローンを借りている金融機関に相談することだ。


例えば、返済期間を延ばして毎月の返済額を減らす相談をしてみることをお勧めする。また、ボーナスが減額になっているようならば、ボーナス返済を減額する相談をしてみて欲しい。ただし、月々の返済額は増加してしまうので、返済期間の延長も同時に申請する必要がある。一時的に返済が困難な場合は、一定期間の返済を減額するという相談もしてみよう。


住宅ローンのお得な返済システムは、利用者が1度も滞納しないことを前提に組まれている。一度でも滞納をしてしまうと、遅延損害金が追加されたり、優遇金利の解除などのペナルティが課されてしまう。必ず滞納する前に相談して欲しい。

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すぐに検討したいことその3
→不動産会社にも相談


他にも、リバースモーゲージに借り換えができるケースもある。リバースモーゲージとはマイホームを担保にして、お金を借りる方法だ。リバースモーゲージは、契約者が生存している間は利息のみの返済となる。そのため、住宅ローンをリバースモーゲージに借換ができれば住宅ローン返済負担を大幅に軽減できる。


ただし、すべての方が利用できるわけではない。リバースモーゲージは、金融機関によって違いはあるが、年齢制限があるからだ。55歳、もしくは60歳以上になっているケースが多い。またリバースモーゲージで借りられる金額は担保不動産の評価額の50%程度が融資の上限となっていて、担保評価額以上の住宅ローンの残高がある場合は、借換が難しい。


金融機関に相談しても厳しい場合は、マイホームを手放す方向も考えてみよう。滞納を重ねると任意売却か競売という選択肢しか取れなくなってしまう。早い段階で不動産会社に相談をしよう。通常の方法で売却して、住宅ローンが返済できるのならば、その方が良いからだ。金融機関に相談するのと同時に、不動産会社にも相談するのも大事だ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/

収入減で住宅ローン破綻が急増! すぐに検討するべき「3つのこと」

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