今年の『KAAT EXHIBITION』の作家は誰? 色彩のシャワーが劇場へと降り注ぐ作品が展示

  • 文・写真:はろるど

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アトリウムに展示された鬼頭健吾の『Lines』。蛍光色に塗られた400本の角材が空間を彩っている。なお角材は一般的な木ではない。強度も充分で、伸び縮みが少なく、ねじれにくいように作られた日本化工機材の角紙管を用いている。

横浜市中心部、山下公園や中華街にもほど近いKAAT神奈川芸術劇場。演劇やダンスなどの舞台芸術作品を上演するホールとして利用されているが、2016年からは現代美術と劇場空間の融合によって新しい表現を生み出す『KAAT EXHIBITION』を毎年開催。過去にさわひらきや小金沢健人、冨安由真らが作品を公開するなど、アートファンにとっても注目のスポットとなっている。

現在開催中の7回目の『KAAT EXHIBITION』にて作品を手がけたのが、フラフープやスカーフといった日常的なものを用いたインスタレーションで人気の鬼頭健吾(きとうけんご)だ。舞台は誰もが気軽に立ち寄れる劇場入口のアトリウム。高さ30mある天井からブルー、イエロー、オレンジなどの蛍光色を塗った長さ4mの角材を200本も吊るし、床にもカラフルな布を敷いて、鮮やかで色彩に満ちた空間を作り上げている。タイトルは『Lines』。鬼頭としても、劇場としても過去最大スケールの作品といって良い。

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3階の託児室付近から眺める『Lines』。5階へと至るエスカレーターがアトリウムを取り囲んでいる。窓の外から自然の光が差し込む開放感のあるスペースだ。

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『Lines』の蛍光色の角材と呼応するように、イエローやグリーン、それにブルーのストライプ状の布が床へと広がっている。

下から見上げると空間を埋めるような色彩美に圧倒されるが、さまざまな角度や高さから鑑賞するのもおすすめだ。アトリウムではエントランスから2階、それに中スタジオのある3階、さらに踊り場を経て5階のホールへとエスカレーターが螺旋状に連なっている。よって5階に上がれば作品を見下ろせるだけでなく、角材が色とりどりのロープによって吊るされている光景も目の当たりにできるのだ。巨大な色彩のシャワーが劇場を祝福するように流れている。

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最上階の5階エスカレーター近くから見た『Lines』。天井から角材がロープによって吊られていることが見て取れる。

同時に開かれている関連プログラム、山本卓卓(やまもとすぐる)の『オブジェクト・ストーリー』にも注目したい。これは劇作家の山本が劇場に備え付けの椅子や階段、それに自販機や傘立てといったモノ(オブジェクト)に呟き(ストーリー)を書き下ろし、ドラマ・インスタレーションとして展開したもので、入口に用意されたオリジナルマップと虫眼鏡を手にして楽しむことができる。各オブジェクトの位置はマップに載っているが、小さくて見落としたり、シークレットもあったりして、簡単には分からない。まるで劇場内を探検しながら、宝探しをしているような気分を味わえる。

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KAAT神奈川芸術劇場のアトリウムにある大階段。この階段やベンチにも山本のオブジェクト・ストーリーが潜んでいるが、分かるだろうか?

『KAAT EXHIBITION』でアトリウムが会場に使われたのは今回が初めて。このほかに小㞍健太(こじりけんた)らによるパフォーマンスプログラムも行われ、鬼頭のインスタレーションや山本のプロジェクトともに、普段とは大きく異なった劇場空間が展開している。会期は約1ヶ月の限定だ。アーティストをはじめ、劇作家やダンサーらが繰り広げる、横浜だけのスペシャルな展覧会を見逃さないようにしたい。

『KAAT EXHIBITION 2022 鬼頭健吾展|Lines』
開催期間:2022年5月1日(日)~6月5日(日)
開催場所:KAAT 神奈川芸術劇場 アトリウム
神奈川県横浜市中区山下町281
TEL:045-633-6500(代表)
開館時間:10時~18時 ※夜公演がある日は終演時刻まで
休館日:会期中無休
無料 ※有料プログラムあり 
https://kaat-seasons.com/exhibition2022/

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