これまで、コピーが容易で所有や収集する対象として考えられてこなかったデジタルコンテンツだが、NFTの登場によりその資産価値に注目が集まるようになった。
NFTとは、家を購入すると所有権を登記するように、デジタルコンテンツに対して所有権を記録することができる技術のこと。NFT作品を所有することで、1点モノやレアアイテムを所有する感覚が得られるのが魅力とされている。
NFTを用いたデジタル資産は、主にデジタルアートや音楽作品の分野で市場が形成。2021年ころから急速に注目されてきたが、食品や飲食、アルコール飲料業界でもマーケティングツールとしてNFT技術を用いた試みが行われるようになってきている。その例をいくつか紹介しよう。
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プリングルスの新フレーバーをNFTとして発売!
プリングルスは、2021年3月に新フレーバー「クリプトクリスプ」をNFT作品として発売すると発表。アーティストVasya Kolotushaによるデジタルアート作品で、発売価格は2ドルとプリングルス一缶と同じ価格であったが、50作品限定ということもあり、一時はNFT市場内で一点1,900ドルの価格で取引された。
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マクドナルド(イタリア) – トリプルチーズバーガー発売記念にNFT作品をプレゼント
2022年3月に伊マクドナルドは新商品「トリプルチーズバーガー」の発売を記念し、イタリア人アーティストによるデジタルアート作品のNFTプレゼント企画を発表した。トリプルチーズバーガーをアプリ内で注文した人の中から抽選で300作品が送られるという。
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ピザチェーン PAPA JOHNS – メタバース内ファッションアイテムをNFTとしてプレゼント
大手ピザチェーンPAPA JOHNSは、ストリートファッション事業のプロモーションとしてオンライン空間“メタバース”内で着用可能なバッグ1万9840 点をNFTとしてプレゼントすると発表した。ピザ宅配バッグからインスパイアされたデザインのNFTアイテムだという。ピザだけでなくファッション事業も手がける同社のブランド戦略としてNFTを活用し、ファッション性の高さをアピールした形だ。
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ウィスキーやワインにもNFT関連商品が続々登場
世界中にファンをもつウィスキーブランド、グレンフィディックの製造元William Grant & Sons社は45年物のグレンフィディック15本をボトルデザインのNFT作品とリンクさせ、18,000ドルの価格で発売した。従来価格とあまり変わらない値だが、NFT技術を用いることで偽物の流通を防ぐことができ、所有証明にもなるという。同様のNFT関連商品をウィスキーやワインブランドが続々と発売しており、高値で取引されるウィスキーやワイン専用のNFT市場も活性化しているようだ。
話題づくりから新規顧客の獲得、ブランディングとNFTの活用方法はさまざまだが、珍しいものを所有する喜びがより身近になったように感じる。環境への負荷など課題も出てきているが、NFTの活用によって食の楽しみ方や価値にもこれまでと異なる大きな変化がもたらされるかもしれない。
今後もNFTの活用により、大人の子ども心をくすぐるような試みが登場するのを期待したい。