LGBTQ+を描いた映画特集上映「Q(WE)R FILMS」が渋谷で開催!

  • 文:中島良平

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日本初上映のドキュメンタリー映画『バンビ:ある女の誕生』(画像)を含む5作品は、いずれも日本での上映機会が限られた貴重な作品。

日本最大のLGBTQ+の祭典「東京レインボープライド2022(TRP 2022)」が今年も東京・代々木公園を中心に開催される。その活動に賛同を示すフランスとオランダの大使館、ドイツ政府が設立した公的な国際文化交流機関であるゲーテ・インスティトゥートが作品を提供し、特集上映「Q(WE)R FILMS」が行われる。

上映されるのは全5作品。渋谷ユーロライブを会場に、4月26日から28日まで。コロナ禍に入ったことも契機に人々のSDGsへの意識が高まり、共生が謳われる現在。マイノリティとされる人々の苦悩や功績を知り、人と人とのつながりについて考える貴重な機会になる。プログラム期間中には、ドキュメンタリー作家のジーン・カルロムストの代表作で、「異性愛者の一般的な性交渉では、女性がエイズにかかる可能性はほぼ無い」という、ある医師の文章を掲載した雑誌『コスモポリタン』への女性たちの抗議運動を記録した『ドクターと嘘と女性:AIDSアクティヴィストの抗議運動』(1988)が特別に無料配信される。

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『怒りを力に—ACT UPの歴史』(監督/ジム・ハバード 2012年 アメリカ映画)
1980年代から90年代前半にかけ、HIV/AIDSの蔓延を認識しながら対策を怠る政府や、問題を無視するメディアなどに立ち向かった草の根アクティヴィスト集団「ACT UP(アクトアップ)」。怒りを通してつながった彼らの活動を映画監督のジム・ハバードがドキュメントした。ニューヨーク支部で行われた大胆なアクションなど運動の一部として記録された映像に加え、現在も生きるACT UPのメンバーたちが当時を振り返る。
上映日時/4月26日(火)20:00
※上映後にリモートでジム・ハバード監督のライブQ&Aを実施

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『海に向かうローラ』(監督/ローレント・ミケーリ 2019年 ベルギー、フランス映画)
ベルギーのシェルターハウスで友人と暮らすローラ(ミヤ・ボラルス)は、18歳のトランスジェンダーの少女。ある日、母親が亡くなってしまうが、ローラという存在を受け入れられない父親のフィリップ(ブノワ・マジメル)は、彼女を葬儀に参列させようとしない。性別適合手術の費用を内緒で助けてくれようとしていた母親の遺灰をローラが持ち出すと、「北海沿いの砂丘に散骨してほしい」という妻の希望を叶えるために、フィリップはローラとともに海岸へと車を走らせる。親子の対話はどのように行われるのだろうか。
上映日時/4月27日(水)18:00

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『未来は私たちのもの』(監督/ファラズ・シャリアット 2020年 ドイツ映画)
イラン系移民の両親のもとに生まれ、ドイツの安定した環境で暮らす青年パーヴィス。マッチングアプリやレイヴ、パーティーで暇つぶしをしながら、地方暮らしの退屈を紛らわせる彼はある日、万引きが見つかってしまう。社会奉仕活動を命じられ、難民施設で通訳として働き始めると、イランからやって来た姉弟のバナフシェとアモンと出会う。アモンとパーヴィスは恋に落ち、姉のバナフシェも含む思いの揺らぎ、悩みが描かれる。ファラズ・シャリアットの実体験に基づく長編デビュー作で、2020年ベルリン映画祭でも話題となった作品だ。
上映日時/4月27日(水)20:00
※上映後にリモートでファラズ・シャリアット監督のライブQ&Aを実施

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『バンビ:ある女の誕生』(監督/セバスチャン・リフシッツ 2013年 フランス映画)
1935年にアルジェリアの小さな村で生まれたジャン=ピエールは、少年であることを拒み、マリ=ピエールという少女として暮らしていた。彼女は17歳のときにアルジェで訪れたドラァグショーで転機を迎える。パリを目指し、バンビのステージネームでダンサーとなった彼女は、キャバレー界で一躍スターとなる。フランスで初めて活躍したトランスジェンダー女性のひとりであるマリ=ピエール本人が記憶をたどり語る様子と、美しいフィルムの記録映像とが重なるドキュメンタリー作品。ジャパンプレミア上映。
上映日時/4月28日(木)18:15

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『パリ、夜は眠らない。』(監督/ジェニー・リヴィングストン 1990年 アメリカ映画)
1980年代半ばから後半にかけて、ニューヨークのアフリカ系とラテン系アメリカ人のLGBTQコミュニティで生まれた「ボール・カルチャー」を記録したセンセーショナルなドキュメンタリー作品。マドンナの『ヴォーグ』で話題となったヴォーギングがクラブで生まれ、皆がファッションを競い合った華やかな「ボール・カルチャー」の表と、その裏側の地道な準備の姿、アメリカにおける同性愛やトランスジェンダーのヘイト、人種差別、エイズ問題などの裏側の現実とが描かれる。タイトルは、アーティストのパリス・デュプリーが主催していたパーティー“Paris is Burning”に由来する。
上映日時/4月28日(木)20:15〜
※上映後に会場でヴォーギングダンサーのコッピ・ミズラヒによるアフタートークを実施

Q(WE)R FILMS

開催期間:2022年4月26日(火)〜4月28日(木)
開催場所:ユーロライブ
東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
料金(1作品):一般¥1,400
TEL:03-3461-0211
www.q-we-r.com(イベント公式サイト)
https://qfilms.peatix.com(チケット販売サイト)