あなたがお金持ち体質か貧乏体質かわかる、“魔法の質問”とは?

  • 文:川畑明美

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「仕事がつらくてお金だけあれば、仕事をやめたい」と考える方もいるだろう。働くという意味を少し考えてみよう。istock

あなたは次の言葉のどちらに共感するだろうか?

①「お金を使う方が楽で、稼ぐ方がつらい」

②「お金は稼ぐことよりも、使う方が難しい」


①の「お金を使う方が楽で、稼ぐほうがつらい」を選んでるあなたは、適当に働いていないだろうか? 人に雇われて、言われたことをやって労働力を時間の対価として受け取るような働き方をしていると、このような考え方になる傾向が高い。働くという意味を少し考えてみて欲しい。


「働く」をひらがなにすると「はた」と「らく」だ。傍を楽にするということが、働くという意味なのだ。あなたが働くことで、周りの皆が楽になるということだ。つまり傍を楽にしたいという考えでお金を稼いでいないから、適当にお金を使ってしまい、お金を使う方が楽で、稼ぐ方がつらいとなってしまう。


一方、②の「お金は稼ぐことよりも、使う方が難しい」を選んだ方は、事業が上手く回っている経営者の考え方に近いのかもしれない。

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投資として考えるとお金の使い方は難しい


周りの人が楽になれるように考えて働けば、感謝の対価として、収入を得ることができる。皆が困っていることを手助けしていれば、お金は入ってくるということだ。それが分かれば「使う方が難しい」ことに気付くのではないだろうか。新しい事業のために投資をするのか? 従業員のモチベーションを上げるために給与アップに使うのか? どちらを選んだらいいのかを考えるのは、とても難しい。


例えば、新しい事業に投資する場合。新しい事業を立ち上げて売上が伸びれば、従業員の給与もアップできるが、今以上に仕事が増えるので、従業員のモチベーションが低くなり、新しい事業に従業員が積極的に取り組んでくれなければ、失敗に終わってしまう。まず給与アップした方が良かったのかもしれない。あなたは、魔法の質問の①と②のどちらを選んだろうか。貧乏体質とお金持ち体質の方では、どちらがどちらを選ぶのか、回答しなくてもわかるだろう。

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お金の「信用」とは?

iStock-1339047603.jpg経営の神様は、銀行からお金を借りる時、必殺の殺し文句を持っていたそうだ。お金の信用とは何なのか考えて見よう。istock

「経営の神様」と称された松下幸之助氏は、銀行からお金を借りる時に次のように話していたという。「70%は自分の力でできるのですが、あとの30%を銀行で貸してもらいたいのです。銀行でお貸しくだされば、この仕事をやろうと思うし、銀行が危ないな、と言われるのなら、これはやめようと思うのです。いかがでしょうか」(PHP研究所『ほんとうの時代 8月特別増刊号』より)。


そのような論法でお願いすると、銀行に断られたことがなかったそうだ。新しい事業に取り組むためにお金を借りる時でも、自分で努力してある程度の資本を作ることができなければならないと信じていた。そして、それができなければ、お金を借りても事業は成功しないという考えが経営の神様にはあったのだ。


また資本金を出して欲しいという方で、自己資金がない方には次のように話していたといいう。「同じお金でも、努力して長年にわたって貯めたお金は、都合よく人にもらったり、貸してもらったお金とは違う。お金に光があるわけですね。そういうお金であれば、それは必ず資本になる。そして、その資本が資本を呼ぶということになる。これは大きいですね。これが私は信用だと思うのです。お金に生まれる信用であると同時に、人に生まれる信用だと思うのです」(PHP研究所『ほんとうの時代 8月特別増刊号』より)。

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お金を貯められることへの「信用」


そして松下氏にお金を借りにきた方にも、自分で努力をして貯めた、自己資金では作り足らない部分だけを貸したという。努力して事業資金を作ることで信用をはかっていたのだ。資産運用も同じことが言える。ご自身の労働の対価として得た給料を無駄使いすることなく節制して投資の元本を作る。その大切な元本を資本金にして投資することでお金が増えるのだ。何の努力もしないでお金が増えることはない。元手となるお金がなければ投資しても大きく増やせない。


リスクを回避しながら、お金を増やすには小さなリターンを積み上げることだ。筆者にいただく質問の中で、このような方がいる。「60才を超えている夫婦ですが、手持ち資金250万円を3年後くらいまでに1千万円に増やす事は可能でしょうか?」筆者は逆にこう質問したい。「なぜ60代で手持ち資金が250万円しかないのでしょうか?」


35年間働いて、月に1万円貯金するだけでも420万円にはなる。元になるお金がなければ、投資で増やすことはできない。必死でお金を貯める努力ができない人が、大きなリターンを期待してしまうとお金を減らすだけになってしまう。


250万円を3年で1000万円にするには、約60%のリターンが必要だ。お金を借りて投資をする信用取引でもリターンは30%程度だ。かなり大きなリスクを取らないと、そんなにも増やすことは不可能だ。そのような相談をされる方は、投資をする以前に、収入からお金を残す家計管理を学ぶ方が先決だ。

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お金を別の力に変換する能力とは

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お金を効果的に使うのは、とても難しい。お金を使うことで別の力に変換するのには能力が必要だ。istock

お金を稼ぐよりも、上手に使うのは難しいのだ。お金を上手に使うというのは、お金を別の力に変換する能力が高いことだと筆者は考える。お金があれば、できることは多くなるが、お金があれば何でもできるということではない。過去の失敗は、お金で解決できないし、病気もお金だけでは治らない。


お金を使ったら使っただけの効果が必ずないと、上手に使えたとはいえないのだ。効果のある使い方というのはとても難しい。だから、お金を稼ぐことよりも使うことの方が数倍も難しい。お金を使って効果を出す、つまりお金を別の力に変換するのにはとても能力がいることだ。お金を使う方が楽というのは、お金に縁のない方の考え方なのだ。

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私心がある人は必ず失敗する?


多くの方は、お金を持つと大きな家や高級レストランでの食事や高級ホテルに泊まるといったことを考えると思う。だがそれは、お金の機能のひとつである「交換手段」として、お金を使っただけなのだ。大きな家を建てることで、どんな効果があるのだろうか? お金を消費しているだけでは、別の力に変換されていない。


ひとつヒントを紹介しよう。お金を使うにも「私心」があると個人的な欲望がでて失敗をしてしまうということだ。「公けの人間」として考えてみて欲しい。私心を持って自分だけに、お金が手に入るように考えた商品やサービスでは継続的にお金が入ってくるとは、とても思えない。


便利な商品やサービスを生み出すことで、世の中が便利になり感謝の対価としてお金が循環して会社という公けの場に入ってくる。そういう別の力に変換できることに、お金を使えるようになりたいものだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/