普通の人がお金持ちになる、たった2つの「方法」とは?

  • 文:川畑明美

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お金持ちになるには、大きくわけるとたった2つの方法しかない。

1)大きく稼ぐ

2)節約して貯める


まず「大きく稼ぐ」について考えてみよう。大きく稼ぐのならば、企業に属さずに独立起業することも、ひとつの手段だ。筆者の顧客で、しぶしぶ個人事業主になったSさんの話をご紹介しよう。長年IT業界で働いていたSさんは、体調を崩してから少人数のアットホームな会社に転職した。IT業界では会社に所属していても得意先に出向しての業務が多くSさんもほとんど出向先で仕事をしていた。ところが、所属していた会社がIT部門を辞めることになったのだ。


その事を出向先に伝えると「では、直接仕事を請け負って貰えませんか? 」 と、切り出され個人事業主として働くことになったのだ。業務委託なので、仕事が納品されてから売上金が入る。Sさんの場合は、システムが組み終わってからの支払いなので、月給と違い収入がない月もあったが、振り込まれた金額を見て愕然としたのだそうだ。お給料としていただいたお金の3倍以上の金額だったのだ。

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大きく稼ぐには、リスクを受け入る

もちろん、冷静に考えると当然のことだ。会社は、得意先から支払いがなくとも社員に月給を渡さなければならないし、厚生年金や健康保険などの負担もある。売上の3分の1は、良心的な方だと思う。


筆者が出版社で広告営業をしていた頃、年間3億円の売上で粗利でも2億以上だったが年収は50分の1くらいだった。もしも、筆者が個人の広告代理店として、雑誌に広告を入れていたら6000万円が広告仲介手数料として手に入った。ところが当時は年収400万円程度だったのだ。この例で考えても、個人で仕事をすると必ずしも収入が減ってしまうことではないのだ。


ただし、個人で広告代理店をするのなら出版社と良好な関係で退職する必要がある。退職して出入り禁止になってしまったら収入はゼロ円だ。さらに他の出版社とコネクションを作る必要もある。個人で仕事をするということは、そういう大きなリスクを伴うということだ。当時は、そういうリスクを受け入れることができずに独立起業することはなかった。そもそも筆者の場合、広告営業部から編集部に異動にもなったので独立起業は、そもそも考えていなかった。


今思えばのことだが、営業を経験していたのでサービスを売るとこができ、編集もしていたのでサービスを作ることもできたのだから、もっと早く独立起業しなかったのかと思うこともある。なにかしらの思い込みがあったのだろう。企業で働くよりも自分で独立起業したら、売上はすべて自分のモノになるのだから稼ぎが大きくなるのは当然だ。ただし上手くいく保証はないのでリスクを受け入れる覚悟は必要だ。

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億万長者になる方法を知っていても、なれないのはなぜ?

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お金持ちになる方法を知っていたとしても、それを実行してやり遂げるには、並大抵ではない努力が必要だ。istock

では次に、2つ目の「節約して貯める」について考えてみよう。アメリカの富裕層研究の第一人者であるスタンリー博士の著書『となりの億万長者』は、1万人以上の億万長者にインタビューとアンケートの結果に基づいて書かれている。お金持ちは、ほとんどはありふれた職業と家庭をもつ「普通の人々」という事実を述べている。つまり先進国に生まれて普通の所得ならば誰でもお金持ちになれるというのだ。


その多くのお金持ちは、「節約して貯める」ことで財をなしているのだ。ただし大事なのは、節約で億万長者になるには考え方を大きく変える必要があるということだ。『となりの億万長者』を読んで、お金持ちになれる方法がわかったとしてもそれを実行してやり遂げるには並大抵ではないだろう。

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お金はお金があるところに集まる


お金持ちになるということは、どのくらいの資産を持ちたいのかイメージができていて、それに向かって計画・実行できるのかということだ。その資金を貯める覚悟があるのかどうか、ということなのだ。よく「お金はお金があるところに集まってくる」と、いうが資産を作ると覚悟した人のところに集まってくるということなのだ。


最初は、少額のお金しか集まらないかもしれないがコツコツ続けていけば、やがて大きな資産になる。3%で増える金融商品があったとしよう。その金融商品を1万円保有していたら300円しか増えないが、10万円保有していれば3000円増える。100万円だったら3万円になる。お金はお金があるところに集まってくるのだ。


つまり「大きく稼ぐ」ために独立して事業をはじめるのと同じくらいの覚悟を持って「節約して貯める」ことができれば、億万長者になれるということだ。どちらも大変な努力と行動が必要になる。お金持ちになるのには、簡単にはいかないということだ。ただし逆にいえば、誰でも覚悟があればお金持ちになれるのだ。


事業も同じことだ。筆者1人での売上では、限界があるがスタッフを育ててスタッフにも売上を立ててもらえば、2倍といかなくても1.5倍くらいには増えるのだ。

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収支の差額が貯蓄に回る人と回らない人の違いとは?

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家計簿を付けなくても収入の範囲で生活をして貯蓄もできている人と全く貯蓄に回っていない人がいる。istock

筆者は、家計管理を教える際には「使いたいことにお金を使っているのか」を意識するように指導している。指導する際に、年間の収支を作ってもらうと面白いことに2つのパターンに分かれる。年間の収支のプラス分が貯蓄に回っている方と収支に大きなプラスがあるのに貯蓄が全くない方に分かれるのだ。


前者の収支のプラス分が貯蓄に回っている方は家計簿をつけていなくても自分が何にお金を使っているのか意識できている方なのだ。言い換えると収入の範囲内で生活できている方だ。後者の収支の差額が貯蓄に回っていない方は、何にお金を使っているのかをそもそも把握できていないのだ。


何に使ったのか覚えていないので収支の差額が大きくプラスなのに貯蓄に回っていないのだ。つまり忘れてしまっている支出がたくさんあるということだ。実際には、収支の差額が大きくプラスになっているのではなく、覚えていない支出がたくさんあるということだ。自分が何にお金を使っているのか、しっかり把握できてはじめて、そのお金の使い方について判断ができるのだ。

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自分にとって投資と思えることに使う

お金持ちほど、自分が何にお金を使ったかを覚えている。つまり、この支出が必要なものなのかどうかを考えてお金を使うので覚えていられるのだ。そもそも何にお金を使っているのか分からないのならば、毎月の家計簿をつけて確認するしかない。そしてさらに、その使ったお金は、将来お金になるための支出なのか、どうかまでを考えて欲しい。


例えば洋服を買うにしても、衝動買いしてしまい、ほとんど着ない服になってしまうのと、仕事の「勝負服」として着るのとでは大きく意味が違う。喫茶店でお茶をするのも同様だ。暇つぶしで入ったのか、それとも気分を変えるために入ったのか? 自分にとって「投資」だと思えるものにお金を使うということだ。


ここを意識できていると、家計簿をつけていなくても収入の範囲内の支出で、しかも貯蓄も自然とできるようになる。大切なお金なのだから、あなたが本当に使いたいことにお金を使って欲しい。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/