あなたは、何のために今の仕事をしているのだろうか。「お金があったら、こんな会社辞めるのに」なんて、考えているのなら、少し考え方を変えた方が良いかもしれない。
「会社を辞めて、どうしたいのか?」と、考えてみて欲しい。もしも、宝くじが当たって1億円が手に入ったとしよう。年収300万円くらいの人であれば、約35年間は働かずに生活を続けられる。言い換えれば、慎ましい生活を続けて「たった35年」しか生活できないのだ。
そう考えると、問題は「お金」じゃなくなる。あなたの人生で何を成し遂げたいのか。何に価値観をおいているのか。それを知ることが大事なのだ。本当に宝くじで1億円が当たったとしよう。その場合、まわりの人からの妬みや援助を乞う声などをかわして、ちゃんと1億円を受け取ってうまく使える人でないと不幸な人生になってしまう。
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1億円を手にして会社を辞めたら?
宝くじで1億円が当たったら、定年を待たず早期に仕事を引退してのんびり暮らす。そんなライフスタイルに憧れる方は多いかもしれない。ただし冷静に考えて欲しい。もしも1億円が手に入ったとして仕事をやめたとしよう。1億円を安全に運用して3~4%くらい運用益で暮らすとしたら年間300万円から400万円の収入となる。
これなら贅沢をしなければ暮らしていけると考えるかもしれない。しかし1日何をして過ごすのか? ボランティア活動などやりがいがあるかもしれないが、それでは、仕事をしているのと大きく変わらないのではないか。本当にやりたいことが、お金にならないことなのか、考えてみよう。
仕事をしてお金をもらうということは感謝の対価なのだ。お金にならない仕事というのは、感謝されない仕事となってしまう。それでは悲しいことだ。1日遊んで暮らすというのも仲間がいないと寂しいものだ。コミュニティに属さないで1人でいるのは、辛いのではないだろうか?
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資産運用はほったらかしにはできない
また年間3~4%の運用をするとなるとバイ&ホールドしていればいい、とはいかない。毎月家賃収入が得られる不動産投資にしても、30代や40代で投資用物件を購入してリタイヤしたら、自分の寿命よりも物件の寿命の方が早いのだ。管理やメンテナンスが必要になる。
また鉄筋コンクリートの1棟マンションの場合は、1億円あっても現金での購入は難しい。ローンを借りても不動産投資で3%くらいの利回りは可能と思うが、不動産業という事業を成功させるための勉強も必要になってくる。遊んで暮らせるということには、ならないだろう。
株式投資や投資信託を運用するといっても、まったく勉強せずに上手に運用するのは難しい。保有しているだけで、確実に利益を得るには債券投資が適しているが利率は、安全性の高いものほど低くくなる。個人向け国債は0.05%程度だし、米国債も1%程度だ。1億円あったら会社を辞められるかもしれないが、会社を辞めて何がしたいのかをよく考えて欲しい。特に30代40代と若い世代ならば、寿命までに50年以上もあるのだから。
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40代でリタイアした時の年金も考えみよう
40代でリタイアした場合の年金額を考えてみよう。40歳までの平均報酬額が30万円だったとしたら、20年間厚生年金保険に加入していると老齢厚生年金額は、概算で39.5万円だ。老齢基礎年金の約78万円と合計すると約117.5万円。月額にすると9万8000円程度だ。
一方、平均報酬月額30万円でも40年間厚生年金保険に加入していれば、概算で78.9万円になる。老齢基礎年金と合計すると約156.9万円。月額で13万円程度で、年間の差額は39.4万円となる。実際には途中で昇給もあるのならば、もっと差は大きくなる可能性は高い。老後までに1億円を使い切ってしまうと、40代でリタイアした場合、年金だけでの収入ではかなり厳しいものになる。
また早期リタイアして厚生年金から国民年金だけになると、遺族年金や障害年金の厚生年金も減ることを考慮したい。配偶者がいるのならば、自分が亡くなった後に支給される年金が少なくなることも考えておく必要があるだろう。障害年金も国民年金の上乗せ分が少なくなってしまう。
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「いつまでにいくら欲しいか」を考える
お金があれば、やりたいことができるし、欲しいものを何の気兼ねなく買えるし、美味しいものも好きなだけ食べられる。ところが、買い物も美食も、いつかは飽きてしまう。「お金があれば」じゃなくて、目標や目的を見つけることが大事なのだ。
投資をする上でもそれは重要だ。「いつまでにいくら欲しいか」という投資をする目的が定まらないから、どんな投資をしたらいいのかがわからなくなってしまう。漠然と投資をすることが最も危険なのだ。目的があれば、投資の判断基準を作ることができるからだ。
例えば10年後に1000万円欲しい人と10年後に100万円欲しい人では投資の方法が違ってくるのは想像できるだろう。ところがほとんどの人は、「いつまでにいくら欲しいのか」がわからないのだ。逆に成功している人は、目標や具体的な行動が明確だ。40歳までに1000万円貯めるとしたら、そのために毎月6万5000円を年利5%の金融商品で運用するなど、逆算して計画しているのだ。
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目標がなければ実現もできない
このように目標と具体的な行動が明確な人ほど思い通りの未来を引き寄せることができるのだ。つまり「言語化できないものは、存在しないのと同じ」ということに気付いて欲しい。子どもの将来も同じだ。「〇〇大学に入学する」と、具体的な目標を早く立てた人ほど夢を実現する可能性が高くなる。それと同様に投資をする時は「〇年後、〇〇〇万円に増やす」ことを考えて欲しい。
この目標がないと、リスクを取り過ぎて失敗してしまう。投資のリスクとリターンは表裏一体だ。大きく増える投資は、大きく減らすこともあるのだ。未来を正確に予測することはできないのだから大きく増える投資をすることはリスクのとり過ぎとなってしまう。投資でお金を増やすことは、もちろんできるのだが過度に期待してはならないのだ。
堅実なのは、少しのリターンをコツコツと貯めていくことだ。「それでは間に合わない!」そう思ってしまったあなたは、そもそもの余裕資金がないのではないだろうか。余裕資金がない方は、元本割れのリスクを取るよりもまずは預貯金を貯めることから始めることが重要だ。
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お金があればと考える前に、支出を見直す
美味しいものを食べたいのならば、コンビニでおにぎりを買うのをやめて、自分でおにぎりを握って持っていけばいい。普段から節約していれば、週末には美味しいレストランで食事することもできる。
つまり、ムダな出費をしていないか、生活パターンを見直すことが重要だ。そして、長続きできる長期投資をはじめることだ。お金持ちと言われる人ほど、お金の流れはキチンと把握しているし、無駄なものは買わない。お金持ちほど、お金の使い方をよく知っている。当たりもしない宝くじをあてにするのではなく、「お金がない」と感じているのなら、あなたのお金の習慣をまず見直して欲しい。
【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/