インテリアスタイリスト・竹内優介が愛する、古さを感じさせない名作ソファ

  • 写真:竹之内祐幸
  • 編集&文:山田泰巨
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椅子を愛する、インテリアスタイリストの竹内優介さん。偏愛する一脚について、その想いを語ってもらった。

マレンコ/マリオ・マレンコ

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窓際にはアルフレックスのソファ「マレンコ」。脇にはトム・ディクソンのコーディネートで蛍光オレンジに着色されたアルテックの「スツール60」を置く。

雑誌や広告などで活躍する若手インテリアスタイリストの竹内優介さん。DIYで改装したワンルームの自宅に置くのは2シーターのソファ「マレンコ」だ。知人から買い取ったソファは1980年代半ばに製造されたもので、竹内さんよりも年長。優れた構造のソファはカバーを新調するだけで、古さをまったく感じさせない。

大学で建築を学んだ竹内さんは、先輩に紹介されてインテリアスタイリストの黒田美津子のもとでアルバイトを始めた。そこで家具や雑貨の面白さに目覚め、のめり込んでいったという。

そんな彼は、家具を構造という視点で見る。たとえばトーネットの椅子は脚部がヨーロッパの石畳みに噛み合うように考えられている。今年購入したばかりのポール・ケアホルムの椅子もスチールフレームにコードを巻き付け、軽くてスタッキングができるシンプルな構造に惹かれた。そうした視点が仕事やプライベートに活かされていて、撮影現場での造作物、家に置く棚やテーブルも自作するが、そのたびに名作の構造がもつ意味に納得することも少なくない。

「マレンコは純粋に、ポップで愛嬌ある見た目が好きなんです。どこか楽しげな気持ちにさせてくれるし、デザインが人の気持ちを高揚させることを教えてくれます。僕の家にはちょっと大きいのですが、いまの生活では家で食事をすることがほとんどないので、リラックスできるソファのある生活がよかったんです」

さらに竹内さんは、自分の好みで選んでいったら必然的に名作が集まったと続ける。

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自作の棚やテーブルとともに置くのは、ル・コルビュジエが愛用したことで知られるトーネットの「209」。グレーにリペイントされたもの。

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廃盤が決まったと聞いて購入を決めたというポール・ケアホルムのダイニングチェア「PK1」。2脚を重ねている。

「きっと多くの人がそうやって行き着くから名作になるんですね」と笑う竹内さん。試したい家具も多く、友人に家具を貸したり、知人が開くデザインのマーケットに出展したりすることもある。家具の魅力を模索する日々はまだまだ続きそうだ。

竹内優介

1993年、東京都生まれ。大学在学中よりインテリアスタイリストの黒田美津子に師事し、現在も黒田の主宰する「ラボラトリー」に所属。雑誌『ポパイ』『カーサブルータス』でのスタイリングや企業広告の制作などで活躍。

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※この記事はPen 2022年4月号「名作椅子に恋して」特集より再編集した記事です。