「世界のYouTube」韓国編
各国のライフスタイルやカルチャーを覗けるYouTubeチャンネルをピックアップするシリーズ「世界のYouTube」。
今回は韓国の旅やカルチャーに詳しいライターの後藤涼子さんに、韓国のYouTubeチャンネルで注目の「感性Vlog」「街歩きチャンネル」「デジタル日記デコ」の3つのジャンルから、おすすめのYouTubeチャンネルを5つ紹介してもらった。
<感性Vlog>
何気ない日常の風景を動画でつづったVlogは、韓国の街並みやライフスタイルを知るのにこの上ないコンテンツだ。
その街に住む人の暮らしにさまざまなカタチがあるように、ひとくちにVlogといっても、学生や会社員の毎日、ひとり暮らしや子どもとの生活、旅行の思い出を記録したものなど、多様なジャンルが存在する。
編集のスタイルにもバラエティがあり、なかでも感性的でいわゆる”エモい”雰囲気のVlogは韓国語で「감성 브이로그(カムソン ブイログ)」=「感性Vlog」と呼ばれ、韓国内はもちろん、日本を含む海外にもファンが多い。
感性Vlogは投稿者による説明的なナレーションがないものが多く、洗練された映像と音楽で感覚的に楽しめるのが特徴のひとつだ。ショートフィルムのように編集された動画は眺めているだけで癒やされ、画面の中に広がる”憧れの暮らし”にうっとりできる。
動画内のテキストを翻訳した字幕がついているものもあるが、言葉を理解できなくてもコンテンツの世界観に浸れる点は、グローバルな人気を獲得している一因といえるだろう。
Vloggerの日常を通してインテリア、ファッション、グルメ、カフェやホットプレイスなど、現地のあらゆるトレンドを一気にチェックできるのもうれしいポイントだ。
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1. 眺望最高なソウルの部屋からおしゃれな暮らしを発信──지호 jihofilm
20代の会社員・Jihoによる“ひとり暮らしVlog”。大きな窓が印象的な見晴らしのいいワンルームでの暮らしを記録している。家具、照明、マグカップやプレートなどの食器、小物、ステーショナリーなど、彼の部屋にあるアイテムはどれもセンスがよくかわいいものが数多く登場する。
ルームツアー、模様替え、大掃除など、部屋づくりに関するコンテンツが多く、とくに韓国のインテリアや雑貨に興味がある人には参考になるはず。店選びのセンスも抜群で「jihofilmに登場する店は必ず流行る」と噂になっているほど。
映像と音楽のテンションが優しくピースフルで、見ているだけでホッと心が安らぐチャンネルだ。
2. ソウルに住む男性グラフィックデザイナーとガールフレンドの暮らし──한동키 DONGKEY'S YEARS
ガールフレンドと暮らすアパートでの日常、デートや旅行の様子など、なごやかな生活風景を落ち着いたトーンの映像にのせて発信しているチャンネル。
セルフリフォームにも挑戦していて、引っ越しの過程やDIYで部屋を整えていくプロセスを収めた動画では、韓国の不動産・リフォーム事情が垣間見えて興味深い。
素朴な韓国料理、手の込んだ朝食やブランチ、丁寧に淹れたコーヒー、焼きたてのアップルパイやマドレーヌなど、毎回登場するおいしそうな手料理の数々も見どころのひとつ。スタイリッシュに編集された映像からは、「好き」と「こだわり」に囲まれて暮らす心地よさが伝わってくる。
3. 穏やかで静寂な男子ひとり旅を記録したVlog──고독한 우석씨 Solitary Wooseok
チャンネル名は日本語で「孤独なウソクさん」。のんびりマイペースなひとり旅を記録した旅行Vlogを中心にアップしている。
済州島、全州、慶州、浦項など、韓国各地の情景を美しい映像で堪能できる癒し系チャンネルで、おやすみ前のリラックスタイムにベッドで視聴するのにぴったり。ウソクくんのどこか飄々とした独特のオーラも魅力だ。
コロナの影響により韓国でトレンドになった、車でキャンプをする「차박(チャバク/車泊)」の動画もあり、ソロキャンプならぬ“ソロチャバク”を疑似体験できる。旅行中に撮影した写真をアップしているInstagramアカウントも併せてチェックしたい。
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<街歩きチャンネル>
おしゃれに演出された感性Vlogと対照的に、ありのままの風景を発信しているのが街歩きチャンネル。ソウルを中心に韓国各地の街を歩く動画がアップされている。
演出を抑えた編集は、NHKの長寿番組『世界ふれあい街歩き』のように、実際にその場所を歩いているような没入感があり、字幕なしでも十分に楽しめる。
4.圧倒的な映像美で韓国旅行気分が味わえる──Seoul Walker
ソウルのど真ん中から長閑な田舎町までさまざまなエリアを歩く動画のほか、ドライブ映像、スーパーや話題の商業施設を歩く動画などがあり、現地に行った気分を味わえる。
BTSゆかりの地をめぐったり、大ヒットドラマ『イカゲーム』で話題になったタルゴナ(カルメ焼き)の屋台を訪れたりと、トレンドを素早くとりいれたコンテンツも充実。
また、定期的にライブ配信があり、リアルタイムで街の様子を知ることもできる。ほんの数カ月で驚くほど様変わりしていくソウルの”今”を感じられる貴重なチャンネルだ。
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<デジタル日記デコ>
韓国では2017年頃からシールやマスキングテープを使ってダイアリーをデコる「ダイアリークミギ(다이어리꾸미기/ダイアリー装飾)」略して「ダク(다꾸)」が10〜20代を中心に人気を集めている。
日本の日記デコ、手帳デコのようなものなのだが、さらに最近はこの「ダク」をGoodNotesというiPadアプリを使ってデジタルで楽しむ層が登場。新たなデコカルチャーとして親しまれている。
5.デジタルガジェットをアナログ感覚で徹底的にデコる!──에이홍 A-Hong, Paper log
iPadアプリ「GoodNotes」を使った「ダク」は、韓国で「iPadダク」「GoodNotesダク」などと呼ばれ、PDF化したスケジュールプランナーを土台に、シールなどをデジタル化したパーツ、写真データを組み合わせてデコレーションしていくことを指す。
A-Hongはそんな「iPadダク」を作成しながら毎月の出来事を振り返るユニークなスタイルのVlogをアップしているクリエイターだ。動画ではおもにiPadで作業する手元を映し出しているのだが、写真やテキストをセンスよくまとめていく鮮やかな手つきが気持ちよく、見ているだけで満たされる不思議な魅力がある。
Apple Pencilが画面にコツコツと当たる作業音も心地よく、ASMR的に視聴するのもおすすめ。デジタルジャーナル作成のハウツーやTIPS、おすすめアプリの紹介など、実用的なコンテンツが豊富なチャンネルだ。
毎月オリジナルのテンプレートやパーツを無料でシェアしているので、動画を見ながら一緒にダイアリーを作成するのも楽しい。
後藤涼子/編集・ライター
土田理奈、後藤涼子からなる編集・ライティングユニットomo!(オモ)として、ガイドブック、語学、韓国カルチャー等に関する書籍・雑誌・コンテンツの制作、日韓の俳優・アーティストのインタビュー、翻訳、通訳コーディネートなどを行う。主な著書・制作物に『Seoul guide 24H』『妄想Trip! #おうち韓国』『おでかけ韓国 in 東京・京阪神』(いずれも朝日新聞出版)などがある。