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2022.02.16
次々と新しいホテルがオープンする京都に、また注目のホテルが誕生した。日本国内では約20年ぶりの新規開業となる「ホテルオークラ」ブランドの「ホテルオークラ京都 岡崎別邸」。名前のとおり、場所は岡崎。南禅寺や平安神宮、京都市京セラ美術館など観光名所や文化施設が集まるエリアだ。1月20日にオープンを迎えたばかりのホテルに泊まってきた。
---fadeinPager---ホテルが建つのは、真宗大谷派岡崎別院の隣。岡崎別院は、親鸞が若い頃に庵を結び、吉水(円山公園の一角にある現・安養寺)の法然上人のもとへ通ったと伝えられる跡地。丸太町通に面したエントランスには参道のようなアプローチが設けられ、大通りの喧騒から距離を置き、 落ち着いた雰囲気のロビーへと続く。チェックインは縁側から着想を得たという日本庭園に面したラウンジで。ウェルカムドリンクの祇園辻利の宇治かぶせ茶と、オークラのシンボルマークである銀杏モチーフのクッキーでほっとひと息。
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ロビーで目を引くのは、金網つじのランプシェードや細尾の西陣織ウォール。このホテルは「新時代の京の美意識」をコンセプトに掲げ、京都の伝統工芸を担う後継者6人によるプロジェクトユニット「GO ON」とコラボレーションしているのだ。公長齋小菅の繊細な竹細工は壁や棚に使われ、開化堂は客室入口のルームナンバーを記した照明を作成。中川木工芸 中川周士、朝日焼 松林豊斎の作品はスイートルームやレストランの棚に設えられている。オールメンバーが集結してホテルとコラボレーションするのは初の試みだそう。ほかにも書家の川尾朋子、陶芸の村田拓也、漆の西村圭など、京都を中心に活躍する作家たちが参画。京都の新たな美や手仕事を館内のあちこちで感じることができる。
「今までのオークラにはないスモールラグジュアリーホテルは、まさに新時代。GO ONメンバーをはじめとする芸術家の皆様による京都の美の工芸品が、大人の隠れ家としての存在を引き立てます」と総支配人の新川達也。
---fadeinPager---ファインダイニング「ヌーヴェル・エポック」は、日本のフランス料理を牽引したオークラフレンチの伝統に、日本の食文化を融合させたレストラン。2019年のThe Okura Tokyoのリニューアルオープンで「ラ・ベル・エポック」から「ヌーヴェル・エポック」に生まれ変わり、ここが2店目となる。総料理長の山下亮一は、ホテルオークラの各所で研鑽を積み、アムステルダムやフランスでの経験もあるベテラン。ランチコースをいただき、特に印象的だったのが、堀川ごぼうのフランにオークラ伝統のコンソメスープを注いだ一皿。濃厚なコンソメスープと滋味深いごぼうの風味が相まって、お代わりしたくなるほどだった。これから京都の旬の食材がオークラフレンチにどのようにアレンジされていくか楽しみだ。朝食は同じく「ヌーヴェル・エポック」で。「アメリカン・ブレックファスト」はフレッシュジュース、新鮮な野菜のサラダから始まり、京都・美山のヨーグルトや温野菜、ハム、チーズなどを盛り込んだお膳が運ばれる。卵料理はオムレツをオーダーしたら、その美しさたるや。栄養もボリュームも満点のコースだが、もう一種類の「きょうと・ブレックファスト」には、さらに美山の平飼い卵のエッグベネディクトか、亀岡の天然はちみつを添えたフレンチトーストがつくという。宿泊客以外でも利用は可能。エッグベネディクトだけ、またはフレンチトーストだけ、さくっと食べに行けるようになったら嬉しい。---fadeinPager---泊まってみて感じたのは、ともに伝統を受け継ぎ、新風を吹き込みながら次世代へつなぐ、ホテルオークラと京都の伝統工芸の親和性。そして、なによりオークラブランドの上質で品のあるサービスのすばらしさ。オープン直後とは思えない安定感のある接客や対応は、さすがオークラ!と静かに感動。レストランとラウンジ、ジムというミニマムなファシリティだから、籠もってあれこれ楽しむというタイプのホテルではないが、館内のどこにいても心地よく快適に過ごすことができる、大人のためのホテルだといえる。
住所:京都市左京区岡崎天王町26-6TEL:075-771-5777全60室料金:スーペリアルーム ¥48,738~(1室2名利用時の2名料金、朝食付き、税サ込・宿泊税別)https://okazakibettei.hotelokurakyoto.com
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