「大人の名品図鑑」キングスマン編 #5
昨年12月24日に公開された『キングスマン:ファースト・エージェント』。シリーズ3作目の舞台は1914年に遡り、国家に属さないスパイ組織「キングスマン」の誕生秘話が明かされる。この「キングスマン」シリーズに登場する名品を5つ紹介する。
英国の歴史好きの人が「キングスマン」シリーズを観たらすぐにわかるだろうが、映画に登場するエージェントたちのコードネームは、英国に伝わる『アーサー王物語』から取られている。キングスマンのリーダーの名前はアーサー。技術担当のマーリンとは、アーサー王を導いた魔術師の名前だ。ガラハット、ランスロット、パーシヴァルなどはすべてアーサー王とともに戦った円卓の騎士たちの名前である。
シリーズの根底に流れるのは、英国の騎士道。だからコリン・ファースが演じたキングスマンの一員、ハリー(エージェント名はガラハット)は「スーツは紳士にとって鎧」と断言する。ロンドンのサヴィルロウで顧客に応じて仕立てられるスーツは紳士の嗜みであり、英国の騎士道における鎧というわけだ。
それとは対照的に、後にキングスマンに加入が認められる若者エグジー(タロン・エガートン)が着ているのは、スポーツブランド・アディダス オリジナルスのトラックスーツだ。1作目、2作目を通してエグジーはさまざまなカラー、ストライプのトラックジャケットを着用しているが、1作目ではアディダス オリジナルスとジェレミー・スコットがコラボしたポップなモデルまで着用して登場する。エグジー以外にも、ロンドンの街中をたむろしている若者たちもエグジーと同じようなトラックジャケットをよく着ている。
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ワーキングクラスの若者に愛されるトラックスーツ
彼らのスタイルを見ていて思い出すのが、英国で生まれた「チャヴ(Chav)」というキーワードだ。英国で10年くらい前に生まれた言葉で、オックスフォード大卒のオーウェン・ジョーンズの書いた『チャヴ 弱者を敵視する社会』(海と月社)は世界的なベストセラーになった。諸説あるが、チャヴはワーキングクラスの家庭に生まれ、社会に対して批判的な意見をもつ若者たちを指す。彼らがよく着ているのがスポーツブランドのユニフォームやスニーカーだ。まさにエグジーの着こなしではないか。エグジーたちのような英国の若者にとって、トラックスーツは紳士のスーツに対する自分たちの「鎧」だったのではないだろうか。
競技場であるトラックで着用するユニフォームということで「トラックスーツ」と呼ばれるようになったが、日本流に言えば「ジャージ」の上下。しかしトラックスーツと呼んだだけで、なぜかファッションアイテムに思えてくる。ちなみにトップス単体ではトラックジャケット、ボトムスはトラックパンツとも呼ばれるが、これも聞こえがいい。
ここ10年くらいで社会全体がカジュアル化し、スポーツアイテムを普段着として着こなす人が増えているが、ファッション的にもトラックスーツはトレンドアイテムのひとつに挙げられている。コロナ禍で「おうち時間」が増えたこともあって、さまざまなスタイルに使えるトラックスーツは多くのブランドからリリースされているが、エグジーと同じく、本格的なスポーツブランドのものを選ぶべきだろう。
アディダスは1948年、ドイツで創業されたスポーツブランドのまさに老舗だ。そのアイコンともいえる3ストライプをフィーチャーしたアディダス オリジナルスのトラックスーツは、有名スポーツ選手だけでなく、多くのミュージシャンが着用、ストリートシーンでも人気を集めてきた。スポーツMIXのスタイルからモード的なスタイルまでオールマイティに活躍する。ジャージ素材が使われているので、着心地は抜群。現代の騎士ならずとも、持っていて絶対に損はないアイテムだ。
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問い合わせ先/アディダスお客様窓口 TEL:0570-033-033
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