「Pen」が選んだ、2022年上半期「必見の展覧会」5選

  • 文:はろるど

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日本や西洋、古美術や現代美術を問わず、全国にて数多く開催される展覧会。2022年の上半期においても、人気のジュアン・ミロの名作が56年ぶりに来日を果たすほか、大阪に注目の美術館がオープンするなど話題に尽きることはない。特に見ておきたい展示をピックアップ。会期順に紹介する。

1.『ミロ展―日本を夢みて』@Bunkamura ザ・ミュージアム【2/11~4/17】

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ジュアン・ミロ『絵画(カタツムリ、女、花、星)』1934年 油彩、キャンバス 国立ソフィア王妃芸術センター
Photographic Archives Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia, Madrid © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

スペインのバルセロナで生まれたジュアン・ミロ。多様な色彩と生命力にあふれ、音楽のリズムを感じさせるような作品は日本でも良く知られ、国内の美術館にも作品が多くコレクションされている。しかし生家の近くに日本美術の輸入販売店があったミロは、若い頃から日本文化への憧れや興味を示し、二度の来日を果たしたり、書家に深く影響を受けるなど、日本と深い関係にあったことは意外と知られていない。そこで本展では、浮世絵への興味が見られるような初期作品から代表作、またミロのアトリエにあった日本の民藝品、さらに批評家の瀧口修造との交流を示す資料を通し、日本とミロとのつながりを解き明かしていく。日本で最初に展示された『焼けた森の中の人物たちによる構成』の再来日や、絵画と文字による表現の代表作として名高い『絵画(カタツムリ、女、花、星)』が56年ぶりに来日するなど、スペインやアメリカからも作品が集結するから見逃せない。

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ジュアン・ミロ 《焼けた森の中の人物たちによる構成》1931年 油彩、キャンバス ジュアン・ミロ財団、バルセロナ
© Fundació Joan Miró, Barcelona © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

開催期間:2022年2月11日(金・祝)~2022年4月17日(日)
開催場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/22_miro/
※愛知県美術館(2022年4月29日〜7月3日)、富山県美術館(2022年7月16日〜9月4日予定)へ巡回。

2.特別展『空也上人と六波羅蜜寺』@東京国立博物館【3/1~5/8】

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重要文化財 空也上人立像 康勝作 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治

平安時代半ば、京の都にまん延した伝染病を鎮めるために尽くした空也上人。南無阿弥陀仏ととなえて極楽往生を願う阿弥陀信仰を世に広めた上人は、東山の地に六波羅蜜寺の前身となる西光寺を開き絶大な信仰を得ていた。その上人への畏敬の念をこめて作られたのが重要文化財『空也上人立像』だ。口から6体の阿弥陀仏が現れた伝承を表した像は、いまに至るまで鎌倉肖像彫刻の傑作として高く評価されている。本展では同像を半世紀ぶりに東京で公開。併せて六波羅蜜寺に伝わる『四天王立像』や『薬師如来坐像』といった平安・鎌倉期の諸像も出陳される。会場は過去にレオナルド・ダヴィンチの『受胎告知』や、天皇の御座である『高御座』などが公開された本館の特別5室。東博で最も伝統と格式を感じる空間だ。コロナ禍が続くいま、『空也上人立像』へと人々の祈りが捧げられる。

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重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・10世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

開催期間:2022年3月1日(火)~5月8日(日)
開催場所:東京国立博物館 本館特別5室
東京都台東区上野公園13-9
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://kuya-rokuhara.exhibit.jp

3.『東北へのまなざし1930―1945』@岩手県立美術館【4/9~5/15】

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『雪兜』(山形県羽後) 1940年 日本民藝館蔵

古くから豊かな自然を有し、さまざまな文化を育んできた東北地方。日中戦争から太平洋戦争へと戦端が拡大した1930年代から1945年の厳しい時代においても、東北の建築や生活用品に注目しながら収集し、あるいは展示を行った人々がいた。それらが建築家のブルーノ・タウトであり、民藝運動の柳宗悦、また商工省に招聘されたシャルロット・ペリアンなどだ。展示では民芸品の普及に取り組んだ積雪地方農村経済調査所(山形県新庄)での彼らによる活動とともに、東北出身で考現学の祖である今和次郎や東北生活美術研究会展を主導した吉井忠の仕事を紹介していく。現在も東北を代表する工芸品としてこぎん刺しや南部鉄器、会津塗などが広く知られているが、先人たちの眼を通して、東北のものづくりの原点や魅力を再発見する機会となる。

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吉井忠『南会津山村報告記』 1942年 個人蔵

開催期間:2022年4月9日(土)~5月15日(日)
開催場所:岩手県立美術館
岩手県盛岡市本宮字松幅12-3
TEL:019-658-1711
https://www.ima.or.jp
※福島県(2022年6月〜7月)、東京ステーションギャラリー(2022年7月23日〜9月25日)へとそれぞれ巡回予定。

4.開館記念特別展『モディリアーニ─愛と創作に捧げた35年─』@大阪中之島美術館【4/9~7/18】

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『髪をほどいた横たわる裸婦』 1917年 大阪中之島美術館蔵

2022年2月2日、大阪市北区に開館する大阪中之島美術館。水都のシンボルである中之島において目を引く黒壁の建物がユニークな美術館は、「大阪と世界の近代・現代美術」をテーマとするコレクションを核にさまざまな展覧会を開催する。その中でも特に見ておきたいのが開館記念特別展『モディリアーニ─愛と創作に捧げた35年─』だ。「エコール・ド・パリ」の時代、わずか35歳の若さにて命尽きるまで描かれた多くの人物像は、アーモンド型の眼や細長い首を特徴としながら、人の心の奥底を鋭くえぐるようで胸が打たれてならない。本展では世界初公開を含め国内外のモディリアーニの作品が約40点も集結。さらに同館の裸婦像と同じモデルの作品がベルギーから来日し、大阪では初めて再会する。また同時代の藤田嗣治やピカソの作品を交えて、「エコール・ド・パリ」の空間が再現されるというから、大阪にてパリを感じる展覧会となる。

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大阪中之島美術館外観 大阪中之島美術館準備室提供

開催期間:2022年4月9日(土)~7月18日(月・祝)
開催場所:大阪中之島美術館 5階展示室
大阪府大阪市北区中之島4-3-1
TEL:06-6479-0550(代表)
https://modi2022.jp

5.『ゲルハルト・リヒター展』@東京国立近代美術館【6/7~10/2】

ドイツが生んだ現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター。具象や抽象を行き来する絵画をはじめ、ガラスや鏡を用いた作品や映像などで表現を続ける、世界で最も重要な芸術家の1人だ。そのリヒターの生誕90周年を記念して開かれる展覧会では、自ら愛蔵してきた作品を中心に公開。多様なイメージをイリュージョンのように生み出してきた60年もの画業がひも解かれる。リヒターの日本での大規模な個展としては、2005年から翌年にかけて金沢21世紀美術館(石川)とDIC川村記念美術館(千葉)で開催されて以来、実に16年ぶりのことだ。また第二次世界大戦時、ユダヤ人強制収容所でひそかに撮られた写真のイメージを出発点として描かれ、2014年に完成した重要作品である巨大な抽象画『ビルケナウ』の日本初公開にも注目したい。

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ゲルハルト・リヒター《ビルケナウ(937-4)》 2014年 ゲルハルト・リヒター財団 油彩、キャンバス 260×200cm © Gerhard Richter 2022 (07062022)

開催期間:2022年6月7日(火)〜10月2日(日)
開催場所:東京国立近代美術館
東京都千代田区北の丸公園3-1
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://richter.exhibit.jp/
※豊田市美術館(2022年10月15日〜2023年1月29日)へ巡回予定。

※掲載した情報は2021年12月時点のものです。各展覧会とも臨時休館や会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください。

「Pen」が選んだ、2022年上半期「必見の展覧会」5選

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