
お金が貯まらない人には、似たような傾向がある。そのひとつは、自分のお財布にいくら入っているのか、把握できていないケースだ。小銭まで把握していなくても大丈夫だが、お札が何枚入っているのかくらいは、把握しておくべきだ。また、お財布の中の金額はわかっていても、自分の家にある資産を正確に把握していない人も要注意だ。
「え? どうしてお財布の中のお金を把握していないとダメなんですか?」そう思うかもしれない。だが、お財布の中にお金がいくらあるのかがわからなければ、毎月のヤリクリができない。つまり、行き当たりバッタリで買い物をしているということだ。「今月の生活費は○○円」と決めて、その中でヤリクリをしていれば、お財布の中にいくら入っているのか自然と意識できるはずなのだ。
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お金の管理の考え方その1
→家計管理のキモは「特別費」にある?

お金持ちほど、何にいくら使ったのか記憶している方が多い。つまり、お金持ちほど収入と支出の管理ができているということだ。当たり前のことだが、収入よりも使う金額が多ければ、お金は貯まらない。お財布に入っている金額が把握できていない方は、お金の行き先を決められていないのだ。お金の管理ができない人に家計簿をつけてもらうと、日々の生活費はなんとかヤリクリできるのだが、「特別費」を管理するところでつまづいてしまう。
特別費とは、家族の誕生日の食事代や実家への帰省、家族旅行などをはじめ、固定資産税、車検や自動車税、季節が変わったことに伴う衣服費や寝具の追加なども含む。「寒いので毛布を買い足しました」なんていうのも特別費だ。家計簿をつけて生活費をヤリクリしても、このような特別費があると、結局赤字家計に逆戻りしてしまう。もちろん寒いのを我慢する、ということではない。特別費も予測して、その分もお金を確保しておくということだ。筆者も赤字家計の時によくやってしまっていた。寒がりな筆者は、安いと思って買った毛布があるのだが、もう何年も使っていない。もったいないことだ。
なので家計管理のキモは「特別費」にあるといっても過言ではないだろう。特別費を管理していないと、「今月は急な出費があったから赤字てでも仕方がない」となってしまう。実は一番管理が難しい支出なのだ。ただし、レジャーなどの特別費があるからこそ生活に潤いが持てることも事実だ。なので、特別費ほどしっかり管理して欲しい。
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家族旅行の費用は毎月積立して準備しよう
まずは、年間の特別費を一覧にしてみよう。家族の誕生日など、分かりやすい費用から書き出していくと良いだろう。次にお正月やお盆の費用だ。帰省するなら、その費用を試算おくこと。正月をご自宅で過ごすにしても、お節や外食の費用を考えて予算化しておくべきだ。ふるさと納税する場合も、特別費に入れておくといい。冬の衣料費や寝具代も忘れずに。
調べられるのなら、昨年に使った費用を調べて試算しよう。書き出していくと、毎月の生活費の中から捻出できるものから一括で支払うには、高額な費用もあるだろう。高額な費用は、毎月その資金を別途積立しておくと良い。筆者も以前は、旅行費として毎月一定額を積立していた。家族旅行という特別な楽しみのためのお金だから、まずはその資金を確保していたのだ。そこを節約すると、楽しみのない生活になってしまう。
筆者の家では、毎年1月に家族会議を開いて旅行先を具体的に決めている。その資金をどこから捻出するのかを決めてから、その他の特別費と調整しながら予算決めしている。楽しみがあるからこそ、節約も上手にできるのだ。旅行や帰省の費用をボーナスから捻出する方もいるが、コロナの影響でボーナスが激減してしまうと楽しみもなくなってしまう可能性もある。その点も考慮して考えておくことだ。
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お金の管理の考え方その2
→お金を使わずに持っているから、お金持ちになれる?

お金持ちの方は、どうしてお金持ちになれたのか? 億万長者研究の第一人者であるトマス・スタンリー博士の調査よると、億万長者の大半は倹約家だといいう。「お金を使わずに持っているから」お金持ちになったのだ。収入をすべて使い切ってしまう人ではお金持ちになれないということだ。
そのためにやっているのは、お金の管理だ。資産を増やすには、収入を増やして支出を見直し、運用して資産を増やすしかない。そのためには、収入から貯蓄に回せる資金を確保できるようになる必要がある。毎月、お金が残せるようになったら貯蓄の目標を決めよう。まずは、老後に必要な資金を考えてみるといいだろう。もらえる年金額を知り、今ある預貯金や不動産、保険といった資産と退職金なども考慮に入れて考えていく。その不足額が、お金を貯める目標になる。
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不足額に気づけるのはラッキー
実は不足額に気が付けるのは、ラッキーなことなのだ。30代や40代から、老後資金について考えていれば順調にお金が貯まっていく。「まだまだ、老後なんて考えられない」なんて思わないことだ。「今と同じ収入が今後も続くはず」と根拠のない過信をしていないだろうか? 会社員であっても、会社の業績が悪くなれば支給額も減ることもある。コロナ禍で経験している方も多いのではないだろうか。
「稼いだお金を全部使う」のはお金持ちの行動と真逆だ。もちろん、お金持ちが、まったくお金を使わないわけではない。使うべきところに使って、後は使わずに持っているのだ。お金持ちほど、お金の管理が上手だ。逆を言えば、お金の管理ができるようになれば、お金持ちになれるのだ!
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お金の管理の考え方その3
→貯蓄をする意味を考える

貯蓄をするメリットは3つある。ひとつ目は、急な出費があっても対応できること。突然のケガや病気、冠婚葬祭でかかる費用などにも対応できる。2つ目は、将来使う大きな出費に備えられるということ。人生の3大資金といわれる教育費、住宅費、老後資金は、長い時間をかけてコツコツ準備するものだ。そして貯蓄のメリット3つ目は、心のゆとりが生まれ人生の質が上がること。貯蓄がないと「もし何かが起きたらどうしよう」という漠然とした不安を抱えて生活することになる。貯蓄があれば「何があっても、しばらくは何とかなる」という精神的な支えになるのだ。
そのためにまずして欲しいのは、あなたのお金が、いまどこにあって、いくら貯まっているのかを把握することだ。把握できていないと、子どもの教育費が必要な頃になってから慌ててしまったり、老後が近づく50代になって不安になったりしてしまう。気づいた時からでも、遅くはない。まずは現状を知ることだ。
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貯蓄と同時に投資も家計に取り入れる
そして、貯蓄と同時に投資も家計に取り入れること。貯蓄と投資を使い分けるには目的と家計状況を考えてみるといいだろう。目的は、投資をする目的のことだ。10年後に必要な資金だったら投資も取り入れてみよう。例えば10年後の大学費用のために投資をする場合を考察しよう。10年という時間を利用して投資を取り入れてもいいだろう。ただし貯蓄も組み合わせる必要もある。
特に受験費用や入学金は、奨学金を借りることができない。投資したお金がマイナスになってしまう危険も考えておくことだ。受験費用と入学金分くらいの貯蓄も合わせて蓄えておくとよい。投資はリスクがあるものだ。不足額が心配になって「はやく増やしたい」という気持ちで投資してはいけない。先日も顧客からこんな感想をいただいた。「今まで短期的に増やす事ばかり考えて逆に資金を失ってきました。今後は先生から学んだ通り、時間をかけてジックリ増やす事を考えています」
また家計状況も考えて欲しい。投資に回せる余裕資金が現状の家計にあるかどうか考えてみることだ。例えば、毎月3万円貯蓄できる家計だと仮定しよう。貯蓄が少ないのならば、まず貯蓄に2万円を回して残りの1万円を投資に回すといいだろう。貯蓄がまったくない状態ならば、投資に回すのは1割程度にとどめること。何にどのくらい不足額があるのかを調べ使う目的によって貯蓄も組み合わせて、将来に必要な大きなお金を準備しよう。
【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/