松本幸四郎が歌舞伎メイクの新境地に挑む──写真展『Kesho』とは?

  • 文:梶原博子

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松本幸四郎の新たな表現に挑戦した写真展。現代のアイシャドウやチーク、グラフィックアートの色彩と伝統的な歌舞伎の世界観を融合したメイクアップ。

伝統を継承しながら、常に新しい表現への挑戦を続け、歌舞伎の魅力を創造する松本幸四郎。繊細さと大胆さが同居するクリエイションに定評があり、グローバルな視点を持つメークアップアーティスト、鷲巣裕香。このふたりがタッグを組み、従来の歌舞伎化粧とは一線を画し、新たな可能性を提示する写真展『Kesho』展が、2021年12月22日から12月26日に開催される。

モデルを松本幸四郎が務め、フェイスクリエイションを鷲巣結香と松本が担当。アートディレクターに上西裕理、フォトグラファーに吉田多麻希を迎え、マルチアーティストのヒシャム・アキラ・バルーチャ、プロダクトデザイナーの佐々木尚、香りをEPO Essensial Labが担う。

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開催に際して、松本は以下のようなコメントを寄せている。

「『Kesho』 邪気から身を守るために目、鼻、口、耳へ紅を差したことが始まりの歌舞伎化粧。ショーという芸能から“音楽的演劇”に進化した歌舞伎。そして、信仰心から生まれた化粧は“絵画的美”へと進化しました。歌舞伎が誕生して417年。そのうち41年 間僕は歌舞伎の歴史と一緒に過ごしています。歌舞伎には、長い年月を生き抜いてきた“鋭い嗅覚”があると感じます。阿国歌舞伎という女性だけで披露していたものが、男性だけに逆転したことで男性が女性役をする“女形”が誕生 し演劇へと変化を生んだ。観客へ大声、大きな動きでアピールするのではなく、微動だにせず体を止め、隈取りをした顔で睨みを利かせる、“無音”“静止”という逆転の発想で観客を注 目させた。いずれも時代の流れを確かに嗅ぎ取り、そして、“少し先”を走って皆を誘う。この“少し先”というのが絶妙に思うのです。歌舞伎であるために必要不可欠な化粧。別人になることができる“変身”であり、堂々たるフィクションであるファンタジーの象徴です。歌舞伎化粧の歴史が生んだ“型”に誇りを持ち、“少し先”を皆で刺激的に心から楽しんだ証拠の作品たち、417 年目から始まる最初の1ページです」

伝統的な歌舞伎と現代メイクアップの融合がどんな化学反応をみせるのか。松本幸四郎の新たな身体表現は必見だ。

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白いベースに淡いグラデーションの、儚さを感じさせるメイクアップ。
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力強さを感じさせるネイビーの隈取りとゴールドのボディメイク。

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隈取りのラインを縁取る斬新なメイクアップ。

松本幸四郎『Kesho』展
開催期間:12 月22 日(水)~12 月26 日(日)
開催場所:BA-TSU ART GALLERY
東京都渋谷区神宮前5-11-5
開場時間:11時 ~ 19時
入場料:一般 ¥500
https://ke-sho.com/