ウルトラ怪獣が「応仁の乱」前夜の日本に出現!?「地球に還る、生きたアート」の全貌

  • 文:山島舎
  • 写真:御座岡 宏土

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「もしもウルトラ怪獣たちが 、
555年前の日本にもあらわれ、
その記録が絵巻として残っていたら……」

そんな空想をもののけアーティスト・谷村紀明氏が具現化したユニークな展覧会が10月15日から東京・銀座の「shina Ginza gallery」で開催中だ。今年放送55周年を迎えた『ウルトラQ』、『ウルトラマン』の両作品に登場する約80体もの怪獣たちが“もののけ”に姿を変え、10m以上にも及ぶ絵巻の中を大行進している。

「ウルトラQ」が放送された1966年は、まさしく日本で急速にカラーテレビが普及していた時代。それを表し、怪獣たちも放送された時をかけるように、白黒から顔料をもちいて表現されたカラーの時代へと駆け抜けている。

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地球に還る、生きたアート

「『もののけ』も『怪獣』も地球への畏れが形を成したもの。地球から生まれ、地球に還ることができる存在では」と語る谷村氏。

本作品では、そのこだわりが徹底的に表れている。

まず注目したいのが絵巻の素材として使われている和紙だ。和紙の素材には、真菰(マコモ)という草が使われた。真菰は出雲大社などで神事に用いられ、中国や台湾では食材としても重宝される。谷村氏は、さまざまに姿を変えながらも人々の暮らしに寄り添ってきた真菰に魅せられ、この草に描くことを決めた。草を紙とするにあたっては、紙漉きの段階から関わり、繊維やパウダーの調合まで試作を積み重ねた。

百鬼夜行のごとく「和紙」という日本のうえを行脚するウルトラ怪獣たち、そして彼らが描かれる和紙は、紙に触れることすら少なくなった私たちへ、「物」の存在を改めて問い直すようである。

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画材には、天然の泥を墨で溶いたインクをはじめ、約6億ボルトの落雷でしか生成されない“雷の化石”と呼ばれるフルグライトを柄にした特殊な雷筆が使われた。すべて谷村氏が日本各地を回る中で魅せられた自然が、画材として生まれ変わっている。それら全てはやがて地球に還ることができるまさに「生きたアート」である。

ウルトラマン55周年記念
「ウルトラ怪獣もののけ絵巻展」

・会場:shina 銀座ギャラリー (〒104-0061 東京都中央区銀座5-5-6三平ビル)
・日程:2021年10月15日(金)~11月14日(日) 入場無料
・開催時間:11:00~18:00
・定休日:毎週月曜
・企画運営:タキヒヨー株式会社
・開催協力:株式会社円谷プロダクション
・コンテンツ制作:株式会社インフィニティスタイル/株式会社HONNOW
・企画協力:クリエイティブチーム 操演と機電
・公式サイト:https://www.shina-ginza.jp/kaijuemaki

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