クルマ好きの新名所、ポルシェエクスペリエンスセンター東京が登場!

  • 文:小川フミオ
  • 写真:ポルシェ ジャパン

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地球上で最も楽しいスポーツってなんだろう。ひとによっては、クルマだという。じっさい、レースはモータースポーツと呼ばれる。スポーツカーの代表格であるポルシェの日本法人ポルシェジャパンが、画期的な”遊び場”を作ってくれた。2021年10月に千葉・木更津にオープンした「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」だ。

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ひとことでいうと、おとなの遊園地のようなポルシェ・エクスペリエンスセンター東京(以下・PEC)。911や718をはじめ、マカンやカイエンといったSUVから、フル電動のタイカンまで用意され、さまざまなコースを走れる。望めばインストラクターが、ドリフトまで教えてくれちゃうのだ。

PECとしては、ドイツ、北米、中国、イタリアなどに続き世界で9番目のオープン。千葉・木更津の45ヘクタールの土地を使い、世界的に知られるレースコースの要素を取り込んだハンドリングコースから、かなり難易度の高いオフロードまで、6つの「モジュール」で構成されている。

ドライビング体験、というより、ポルシェ車の魅力を、自分の運転でじっくり堪能できる。ここが最大のミソ。「世界でもっとも心騒がせるスポーツカーのもつ可能性をフルに味わえる」。これは北米アトランタのPECの宣伝文句だ。

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「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京は、ポルシェの魅力をフルに体験したいという、日本と、それにアジアのファンのためのものです。羽田空港から30分強、成田空港からも1時間という立地条件も、コロナ禍が明けたら、大きな魅力になるでしょう」。ポルシェジャパンのミシャエル・キルシュ代表取締役社長は、オープニング時のインタビューでそう語ってくれた。

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ユニークなのは、ドライビングだけがPECの目的ではないこと。「エクスペリエンスセンターの名の通り、試乗だけでなくショッピング、食事、または走行を見るなどさまざまな方法でポルシェを体験していただくことが目的です」(ポルシェジャパン広報担当者)という。

いわゆるMICE(ミーティング、インセンティブ研修、会議、イベント)に対応。1階にはカフェ「956」。2階には、東京・六本木の外資系高級ホテル出身のシェフを擁したレストラン「906」があり、モダンなツイストを効かせたビストロ料理が提供されるようだ(すみません、未体験)。ここからは、小山を切り拓いてつくったコースが見渡せるため、窓ぎわのシートがとくに楽しい。

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コースの設計を担当したのは、世界的に知られるサーキット設計者、ヘルマン・ティルケ氏。ハンドリングトラックと名づけられた全長2.1キロの外周路は、40メートル超の高低差をもったたいへんユニークなもの。「東京」でしか体験できないコースだ。

レースおよびテストで知られる独「ニュルブルクリンク」で有名なノルドシュライフェとして知られる北コースのヘアピンカーブ「カラッツィオラ・カルッセル」や、米西海岸のレース場「 ウェザーテックレースウェイ・ラグナシーカ」の複合カーブからなる下り「コークスクリュー」など、自動車の世界で知られた有名なコーナーをていねいに再現。話題性もじゅうぶんなのだ。

「たとえばニュル(ブルクリンク)のカルーセルを再現するために、コース路面の下地づくりもコンクリートの舗装面も出来るかぎりコピーしています」。取材陣にお披露目が行われた日、ポルシェジャパン広報部ではそう胸を張る。

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貸切りのイベントは別として、基本的には、自分のクルマでの乗り入れはできない。でも、最新モデルがずらりと揃うから、それを堪能しない手はない。

オンロード、オフロードともに90分間のプログラムが基本。45分間で車両を乗り換えるミックスプログラムもある。基本は、自分が選んだ車両のステアリングホイールは自分が握る。インストラクターが隣りに乗っていて、操縦を教えてくれる。なかには、じっさいにニュルブルクリンクのレースに出走したインストラクターもいたりして、話を聞くだけでも興味ぶかいはず。

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90分の枠内で乗れる車両は、さきにも触れたとおり、幅広い。料金をベースにみると、「718ケイマンT」(4万9500円)にはじまり、「911カレラ」(6万500円)、「911ターボ」(10万4500円)といったスポーツカー系がひとつ。

SUVも売れ線だけあって充実している。「マカン」(4万4000円)から「カイエンGTS」(6万500円)まで。さらに、4ドアの「パナメーラGTS」(5万5000円)や、ピュアEVの「タイカンターボ」(6万500円)も。

「電動車でかつ4ドアのタイカンでも、スポーツドライブモードを選択すれば、911なみのハンドリングを体験できることも、ここではわかります。ポルシェのポテンシャルがいかに高いか。自分の運転のレベルで大丈夫なので、味わってみるといいと思います」。インストラクターはそう語る。

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もうひとつユニークなのは、「Mid vs Rear」というミドエンジン車とリアエンジン車の乗り較べや、911を使った「後輪駆動 vs 全輪駆動」というプログラムも用意されていること。料金はともに7万7000円。

私が訪問したときは、あいにく大雨だったため、自分でコースを走ることは叶わなかった。インストラクターの運転のマカンGTSに同乗して、ひととおりコースを回った。おもしろかったのは、「ドリフトサークル」だ。

車両のリアが流れるのを操舵とアクセルワークでコントロールするドリフト走行が体験できる場所であり、おそらくかなり人気を呼ぶだろう。ここで百選錬磨のインストラクターがドリフトを披露してくれようとしたのだが、マカンGTSは終始安定。

アクセルペダルを踏んでいた力をさっと抜いて、車両をいわゆる前荷重にして後輪の接地性を奪い、すかさずステアリングホイールを切り込んで”きっかけ”を作ろうとするものの、マカンはいっさい危なげなく円旋回を続けたのだった。「おもしろくないかもしれませんが、この安全マージンの高さこそポルシェなんですよ」とインストラクター氏。ある意味、いい体験をさせてもらった。

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ドライビングの申し込みはウェブサイトから。レストランはつねに誰に対しても開かれているので、ふらりと寄るのもよし。東京からだと、木更津北インターチェンジ、あるいは、木更津東インターチェンジから近い。そういえば、ポルシェジャパンではネーミングライツを使って、PEC前の市道の一部を「ポルシェ通り」と名づけた。そのうちナビゲーションの地図にも登録されるかもしれない。

https://porsche-experiencecenter-tokyo.jp/