日産ノート・オーラに乗って、これこそ新時代のハッチバックと嬉しくなったわけ

  • 文:小川フミオ 写真:日産自動車提供

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プレミアムコンパクト市場をねらうノート・オーラ

日産自動車が2021年8月17日に発売した「ノート・オーラ」がヨイ出来だ。300万円ぐらいでクルマ買おうと思っているひとがまわりにいると、ちょっと乗ってごらんよ、なんて勧めている。驚くぐらい、きもちよく走るのだ。

このクルマ、モーターを駆動力に使ういわゆるEVだ。その点で”いま”っぽい。でも私のように、ハッチバック車で育ってきた世代にとって、ノート・オーラの真価は、ハッチバックの新しいありかた、にあると思える。

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ハッチバックといえば、オールド世代は、1974年に登場したフォルクスワーゲン・ゴルフに驚かされたものだ。セダン主流のなか、トランクがないスタイルと、質の高いつくりと、ハンドリングのよさは、まさに新しい時代を連れてきてくれた、というかんじだった。

そのあと、75年のゴルフGTI(日本には残念だけど正規輸入されなかった)や、ルノー5アルピン(アルピーヌと呼ぶひともいる)や、プジョー205GTIなど、ホットハッチと呼ばれる高性能版で、ハッチバックのもうひとつの可能性が広がった。現在のGRヤリスなんかもこの系譜だ。

ノート・オーラの新しさとは、ひとことでいって走りだ。ぱっとアクセルペダルを踏むと、すっと前に出る。ドライバーの意思にかなり忠実に力を出してくれる電気自動車のよさを持つ。ハッチバックスタイルのEVなら、BMWが2014年に発売したi3などすでに市場に存在するものの、ノート・オーラは外部充電ではない。エンジンを充電のために使う。

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モーターを駆動するためにエンジンを使うハイブリッドシステムのことを、一般的にシリーズハイブリッドと呼ぶ。日産では「e-POWER」と名づけていて、2016年に先代ノートで実用化している。

その意味では、ノート・オーラに機構上の新しさはないものの、走り、快適性、燃費、それに価格。さまざまな要素がじつにバランスよく組み合わされている。その完成度ゆえ、新しい時代を連れてきたハッチバックと評価したのだ。

20年12月に発売された新型ノートもよいクルマだ。新開発のシャシー(土台)を使って、そこに1198cc3気筒エンジンと電気モーターによる動力システムを搭載。前輪駆動版はフロントにモーターをひとつ、4WD版は後輪用にリアにモーターをもうひとつ、搭載。バランスがよくとれた動力性能を持ち、気持ちよく運転できるのだ。

ノートよいなあ、と思っていたら、半年たって出てきたのが、このノート・オーラ。乗ったら、申し訳ないことに、ノートの印象がかすんでしまった。基本的なシステムはノートと同じながら、出力が上がっている。最大出力はノートの85kWから100kWに、最大トルクは280Nmから300Nmに、というぐあい。

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「全車速域で力強さをアップ」とは、ノート・オーラを説明しての日産自動車の言。じっさい、発進加速も中間加速も、ノートを上回る。もちろん、体感上も、速くなっていることがわかる。速くなくても気持ちよければいい、という意見も認めます。でも、運転が好きなひとだったら、直線的ともいえる加速感には、心を奪われてもふしぎじゃない。

ノート・オーラには、じつはそのうえにさらにパワフルなオーラ・ニスモというモデルも。これは「スゴイ」という形容が似合うほど、さらに速い。では3つのモデルのうち、ノートと、ノート・オーラと、オーラ・ニスモ、どれが一番いいのだろう。もちろん、価格というファクターも重要なので、どのモデルでも失望はしないはず。ただし自分なら、うーん、ノート・オーラの4WDモデルを選びそうだ。

なにしろ、今回、「ノート・オーラG-FOUR」なる4WD版に乗って感心した。ニスモ・オーラはほとんどモノグレードで、駆動方式が前輪駆動と4輪駆動を選べる。内装面で、シート地がファブリックかレザーか、2つの仕様が用意される。それだけ。乗った「G-FOUR」はファブリックシートのモデルだ。

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さきに結論めいたことを書いてしまったとおり、高い安定感と、意外なほどシャープな運動性能と、乗り心地を含めて高い快適性を味わわせてくれる。後輪をモーターで駆動して4WD化したメリットとして、メーカーでは「減速時の車体の動きを抑え、同乗者も心地よい」や「カーブでの曲がりやすさ」それに「滑りやすい路面での安定した走行性」をあげている。

前輪駆動がひどかったわけではないものの、たしかにフラットな姿勢制御は特筆に値する。後輪の駆動力を使って、減速時に車体の鼻先が沈みこむノーズダイブを防ぐ制御が奏功しているのだ。また、カーブでも左右輪の駆動力に差をつけて、車体が外にふくらむのを防ぎ、よりスムーズなコーナリングが出来るような設定。たしかに曲がるのが気持ちよい。

いまはEV前夜などといわれて、世界中のメーカーがEVへとシフトしている。たとえば、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会はCO2削減のためにきびしい規制を課そうとしている。さきごろ話題になったのは、EUの一員であるフランスの姿勢。2035年までに新車のゼロエミッション化を推進中だ。なにしろ同国では、列車を使って2時間半未満で移動できる目的地への国内フライトは廃止される法案を準備中など、本腰を入れて環境対策に乗り出している。

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そこにあって、本当にピュアEVで私たちはやっていけるのか。日産とともにルノーとアライアンスを組む三菱自動車などは、「当面はプラグインを含めたハイブリッド車が現実的」という見解を発表している。

日本貿易振興機構(JETRO)も、欧州自動車工業会による(21年)7月14日付の声明をホームページに一部掲載。2030年までにCO2を2021年比で55パーセント削減という欧州委員会の新目標は、メーカーにとっては非常に厳しく、「充電ステーションなどが十分に整備されていない現段階で「内燃機関」を禁止するのは「合理的な方法ではない」と反発し」ている姿勢を紹介している。

ノート・オーラは、比較的小さな排気量のエンジンが駆動用バッテリーに充電するシステムのため、モーターで走りつつ、充電インフラの影響を受けることはない。燃費は、実燃費に近い数値がでるWLTCモードによると、4WDでリッターあたり22.7キロ(前輪駆動だとさらによくて27.2キロ)とされている。そこも、このクルマの強みだろう。

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「G-FOUR」の価格は2,868,800円(革シート仕様は2,957,900円)。試乗車には「セットオプション」(401,500円)がそなわっていた。内容は、プロパイロット(ナビリンク機能付)をはじめ、統合型インターフェースディスプレイ、 NissanConnectナビゲーションシステム(地デジ内蔵)、 BOSEパーソナルプラスサウンドシステムなど。

プロパイロットは、ボタンひとつで起動。高速走行時のステアリングホイール操作、先行車追従のためのアクセルとブレーキの自動操作、さらにカーブでの減速、停止後の追従再開、標識を読み取って制限速度の設定を自動変更、などの機能が含まれている。じっさいに使いやすい。でも、操縦が楽しいクルマなので、あまり使いたいと思わなかった、というのが正直なところだ。

日産ノート・オーラ G-FOUR
●ディメンション(全長×全幅×全高):4045×1735×1525mm
●パワートレイン:1198cc直列3気筒ガソリンエンジン+電気モーターによるシリーズハイブリッド
●最高出力:60kW+100kW(Fモーター)+50kW(Rモーター)
●最大トルク:103Nm(エンジン)+300Nm(Fモーター)+100Nm(Rモーター)
●駆動方式:4輪駆動
●車両価格:¥2,868,800

日産ノート・オーラに乗って、これこそ新時代のハッチバックと嬉しくなったわけ

  • 文:小川フミオ 写真:日産自動車提供

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