【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第135回 新型911ターボと湾岸線で出会ったら!?思わず撃墜されたくなるカリスマ的アイコン

  • 写真&文:青木雄介

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レガシーを引き継ぎ、シリーズの真打ちとして登場。

ポルシェのスポーツカーといえば911シリーズ。なかでも特徴的なリアウイングを備えた911ターボは、シリーズの上級モデルであり、カリスマ的な人気を誇る。新型となった992型は世界的な大ヒットが続いており、911ターボも日本でのデリバリーがようやく始まったばかりだ。

そもそも992型の進化は五感に伝わる情報がいままでのモデル(991型)より緻密に設計されていることにあるのね。ドアを閉める際の密閉感や、ステアリングから伝わる路面状況も明瞭に意図され、ポルシェ911の運転体験を唯一無二なものにするようチューニングされている。それによってエンジン回転の高まりやハンドリングのインフォメーションを立体的にイメージすることができるんだ。それってまさに911体験のハイレゾ(高解像度)化で、重要な進化なんだ。

911ターボはこうした進化に加えてエンジンの排気量を上げ、マッシブにパワーアップ。リアウイングの形状にふさわしく、高い速度域を主戦場にするライバルのスーパースポーツ群に宣戦布告をしかけている。ワイドトレッド化されたリアビューも最高ですよ。コミック『湾岸ミッドナイト』に登場する“ブラックバード”の911ターボじゃないけど(笑)、ワイドフェンダーとリアウイングは、いつの日も911ターボのカリスマ的なアイコンとして君臨しているんだな。

パワーの進化でいうと、停止から時速100㎞に到達するのは2.8秒(ローンチコントロール使用時)と歴代最速。4500回転付近から7000回転に至るパワーバンドでシフトアップしていくと「大地よ、割れよ」とばかりに加速する。前方の一点に向けて突き進む、低くて太いレーザー光線のようなカタルシスに、思わず「撃墜させてもらおう」というブラックバードの台詞も漏れようというもの(笑)。

タイトなボディスーツに身を包んだような拘束感と精神まで蹂躙されるような緊張感は、911ターボならでは。熱狂と冷静のはざまの没入感が2020年代的スポーツカーでもある。

峠に行くと、このクルマを「レジェンド」と呼びたくなる走行特性が表れる。「スーパーフラット」と形容したくなる乗り味がドライバーにもたらす信頼感は絶大。

コーナーのターンインに向かう前荷重ではノーズがぐんぐんインに入り、逆にターンアウトでアクセルを踏み込むとオーバーステアが消え、フラットな状態に戻されていく。結果、全体の印象は「フラット」なんだけど、一連のステアリング変化が911ターボならではのリアエンジンリアドライブ(RR)のハンドリング特性であることに気づかされる。その印象は他のスポーツカーにはまったく似ていないし、「懐が深い」って思わせられるんだな。

新型911ターボはオールドファンをも熱狂させずにはおかない「レガシー」をしっかり受け継いでいる。スポーツカー電動化待ったなしの2021年においてハンドルを握るべき至極の1台。問答無用、911ターボでフラットシックス(水平対向6気筒)とエアロダイナミズムを味わいつくせ!ってことなんだ。

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エアロダイナミクスも進化。可変式フロントスポイラーも装備。

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930時代の面影が残る水平インテリア。ドライブモードによってウェットやスポーツなど走行性能をセレクトできる。

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4灯デイタイムライトとロービームを統合したLEDヘッドライト。

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特徴的なウイングを備えたリアビュー。ワイドフェンダーは先代に比べて20㎜拡幅されている。

ポルシェ 911 ターボ
Porsche 911 Turbo

サイズ(全長×全幅×全高):4535×1900×1303㎜
排気量:3745cc
エンジン:水平対向6気筒ツインターボ
最高出力:580PS/6,500rpm
駆動方式:RR(リアエンジンリア駆動)
車両価格:¥25,000,000(税込)
ポルシェ コンタクト
TEL:0120-846-911
www.porsche.co.jp