OLYMPUS PEN E-P7/オリンパス ペン E-P7
〈デジタルカメラ〉

ミラーレス一眼カメラ「オリンパス ペン」は、初代E-P1から、E-P5、PEN-Fと、歴代モデルを愛用してきた。フルモデルチェンジしたE-P7を持ち、まず軽さに衝撃を受けた。標準ズーム装着で430ℊと、保有しているすべてのペンより圧倒的に軽い。気軽に持ち出せて、首にかけても快適だ。デザイナーは「軽さとペンならではの質感の両立」に腐心した。手に馴染むボディ、グリップや手がかりの確実さ、リジッドに回せて、目的モードを確実にセットできる金属ダイヤルの感触など、軽量化に励んでも上質なペンの記号性はそのままだ。ボディ上部は、これまで金属製だったが、E-P7は軽量なエンジニアリングプラスティック。でも懇切ていねいに塗装され、感触はなめらかだ。
画質もいい。従来のものから約400万画素増え2000万画素になり、豊穣な精細感だ。感心したのが、色の濃い部分(たとえば赤いバラ)の解像感。高彩度部分は、細部や階調感がスポイルされるものだが、E-P7はベースの輝度信号が明瞭に再現されている。
そんなハイファイさに加え、自分の感性を活かした縦横な絵づくりができる。「プロファイルコントロール」というコントラスト、階調、色……を変える細かな画調アジャスト機能が採用された。カラー版とモノクロ版があるが、特にモノクロは硬調、軟調、カラーフィルターの調色、粒状効果など、実に面白い。まるで印画紙現像技法のデジタル版だ。「モノクロで撮りたい」と思ったら、ボディ前面のレバーで、即座にプロファイルモードに変更できるのも、いい。
「カメラは持ち出さなければ意味がない」とは伝説のカメラ技術者、かつてのハーフサイズ・ペンの生みの親、米谷美久の口癖だった。その精神が見事に息づく最新ペン、使う快感が味わえる名カメラだ。

麻倉怜士
デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。近著に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)がある。
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