スポーツカーは、捨てられない

  • 写真:小野広幸 文:多田 潤

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袖ケ浦の試乗会場で披露されたチューンド新型GR86&スバルBRZ

もしかしたらサステイナブル?

カッコいいから、走りが楽しいから、男らしいから、、、世の中にはいろんな理由でスポーツカーを選ぶのだろうけど、僕がスポーツカーを選ぶ理由のひとつに「長く乗れる」という理由がある。どこにでも乗っていけない不便さ、そして背伸びして買ったから大事にしたい気持ちなどによって、スポーツカーは長く乗ることができるのだ(維持費はかかるけど)。

ポルシェによると1960年代に生まれ50年以上製造する911の7割が現役でいまも路上を走っている、というからセダンやミニバンなどにくらべれば、ロングライフなのは間違いない。

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新型GR86はすでにチューナーと呼ばれるショップがオリジナルパーツを開発している。現行のモデルもチューニングパーツが多数販売されたから、改造の楽しみはさらに広がっていく。

新型GR86、スバルBRZの試乗会に参加して「このクルマも長生きするな」と思った。今年発表されるGR86、スバルBRZは、10年前に登場したトヨタ86、スバルBRZの後継モデル。フルモデルチェンジでエンジンなどは大きく変わったものの基本的なボディの骨格は共通。だから初期型86に新型用2.4ℓエンジンを載せる(大改造になるけど)ことも可能だし、旧86の足回りを新型のパーツを使ってリフレッシュすることもできる。

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リアデフから左に伸びる棒がプロペラシャフト。構造を見直し、強度を増したにもかかわらず軽量化を実現した。こうした地道な進化の積み重ねで新型車は生まれる。

僕が注目したのはエンジンとリアのデフをつなぐプロペラシャフト。これは新型になって1kgほど軽量化することができたという。ジョイント部分の剛性を上げるために構造を見直したら重量が軽くなったそうで、旧型にもそのまま装着できるそうだ。入れ替えるだけで軽量化できて強度も増す純正部品なんて最高!

新型を買ってちょっとずつイジるのも楽しいし、お金がないなら初期型の安いモデルを買ってセミレストア感覚で自分仕様にしてもいい。距離を走っていたって、たとえ事故をしてしまっても、豊富にあるパーツで情熱をもって適切に修理をすれば、クルマは蘇る。

スポーツカーはユーザーの情熱があるから輝く。それはまさに文化のようなものだ。EVや水素燃料になっても、いいクルマを支えるのはそんな情熱だ。

多田 潤

『Pen』所属のエディター、クルマ担当

1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。

多田 潤

『Pen』所属のエディター、クルマ担当

1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。