【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第133回
新型M4はまるで“ブルックリン・ドリル”、
研ぎすまされたハードコアな個性とは?

  • 写真&文:青木雄介
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最初から最も硬派なコンペティションモデルを設定してきたM4。ベースグレードは6速MT。

BMWの新型M4が日本市場に投入された。現在販売されるモデルはFR(後輪駆動)のみ。最近のBMWは四輪駆動でありながらFRモードをもつ、ひと粒で2倍おいしい乗り味をもつマルチさが魅力だけど、やっぱりベースはFRでいくらしい(四輪駆動モデルも発売予定)。

とはいえ、落胆はしないよね(笑)。自慢の直列6気筒エンジンにFRというBMWスポーツの本道を貫いてきたモデルでいまの時代、逆に矜持を感じるというものですよ。大のBMW党で知られるラッパーのLE$(エルイーダラー)がポップなTikTokカルチャーには目もくれず、頑なに漢気路線を変えないのと一緒(笑)。「俺はこれ」っていう、骨太の魂を感じるよね。

FRの新型M4だけど、「最高」としか言いようがない(笑)。もはやベースの4シリーズとはまったくの別物。ドライバーの目を一瞬で覚まさせる、獰猛なレーシングマシンへと変貌した。そのハードコアな走行性能は、シカゴからロンドンを経由して、ブルックリンでブレイクしたストリートミュージックのジャンル「ドリル」を彷彿とさせる。シーンを変えつつ磨かれてきた、2021年型のストイックな個性が開花しているんだな。

Mモデルの4WDモデルは、どうしてもサーボトロニック(速度やカーブに応じてステアリングの舵角を変化させる)の不自然な介入が気になるのね。でもこのM4はFRモデルだから、よく調和されている。鼻先が軽く感じるFRモデルにクイックな操作感のサーボトロニックが加わって、シャープな挙動のBMWらしい個性になっているんだ。

DSC(横すべり防止機能)をオフにすれば、サーボトロニックの介入もなく、ほぼ素顔のM4が姿を現す。実力がまるわかりの、ラップのヴァースにおける真剣勝負モードみたいなのね(笑)。これは、絶対に味わうべきM4のコアエッセンス。クルマに加えられているドライブエフェクトの凄みもわかるってもの。DSCオフのモードでは「ドリフトアナライザー」が起動するので、横すべりをさせないようにトラクションを調整して、コーナリングできるのもうれしい。この辺はドライバーに選択肢を用意するBMWらしさだと思ったな。

もちろん新型の3L直列6気筒エンジンも素晴らしい。サウンドはとことん低音かつエモーショナル。新型M4はこのエンジン、車体の大きさ、接地感の黄金比とも思えるバランスのよさが秀逸なのね。前のモデルではもて余し気味だったパワーやアフターファイヤーの過剰さも抑えられていて、ドライバーとの一体感は「この上ない」と感じた。

M4はこれから発売される四輪駆動とFRの二者択一になるのだけど、「FRに寄せた四輪駆動」と「四輪駆動に寄せたFR」の違いだから、俊敏さとライブ感をとるならFRモデル、走りの上質さとサーキットでタイムを削りにいくなら四輪駆動モデルって感じ。

個人的にはスリーペダルのFRモデル一択。ハードコアでいきたいし、いかついフェイスデザインも「そうしろ」って言ってる感じがするからね(笑)。

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コンフォートモードでは乗りやすく、街乗りクーペとしても秀逸。

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カーボンパーツを織り込みながら刺激的なカラーバランスが映えるインテリア。

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BMW最新の直列6気筒ツインターボであるS58型エンジンを搭載。

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Mモデル専用のサイド・ギルと、リアエンドの跳ね上げが、クーペボディを強調している。

BMW M4 コンペティション
BMW M4 Competition

サイズ(全長×全幅×全高):4805×1885×1395㎜
排気量:2992cc
エンジン:直列6気筒DOHC
最高出力:510PS/6250rpm
駆動方式:FR(フロントエンジンリアドライブ)
車両価格:¥13,480,000(税込)

BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL:0120-269-437
www.bmw.co.jp