コロナ禍でライフスタイルや働き方が変化し、外出頻度の減少やリモートワークの普及によって自宅で過ごす時間が増えた人は多いだろう。そうした変化に伴って新たに増えている問題が、睡眠をはじめとする生活リズムの乱れだ。その原因として、無視できない要素が「光」。光には生体リズムを調整する作用があり、自然光を浴びる時間の減少やオフィスとは異なる自宅の光環境などの変化が、生体リズムや睡眠に及ぼす影響は決して小さくない。
そんな中、照明の専門家でもある東京都市大学 建築都市デザイン学部建築学の小林茂雄教授を招き、睡眠の質を高める光の条件や一般家庭・オフィスにおける適切な照明器具について解説する「Dyson睡眠環境 勉強会」が開催された。
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就寝1時間前から“睡眠に適した光”を作ることが重要

小林教授が全国25歳~59歳のオフィスワーカー男女600名を対象に行ったインターネット調査によると、全体の5人に1人がコロナ禍前と比べて生活リズムの乱れを実感し、同時に睡眠に関するさまざまな悩みを抱えているという結果に。また、睡眠をはじめとする生活リズムの乱れを実感している割合は、リモートワークを導入している人の方がそうでない人よりも高かった。
そうした睡眠の不調の原因を掘り下げるため、就寝1時間以内の行動についても調べてみると、スマホ・テレビ・パソコンの画面やモニターを見ているケースが多いことが判明。さらに、夕方から就寝までの自宅の照明環境について尋ねたところ、ほとんどが時間帯や行動(就寝)に合わせて光の明るさを調整していなかった。
睡眠に影響を与える要因は「寝室環境」「心身の状態」「生活習慣」の3つに大きく分けられ、小林教授が重要なものとして挙げたのが寝室環境。その要素には寝具、音、室温・湿度、そして光(照明)環境などが含まれる。
このうち光環境について、就寝中の光の明るさには気を配っても、眠りに入る前から光の明るさを調整している人は少ないだろう。だが近年の研究では次のような知見が得られていて、良質な睡眠を得るには就寝前から光環境を調えていくことが必要と考えられる。
●波長が460~480nmの光(パソコンやスマホの画面から放出されるブルーライト)を浴びると、睡眠ホルモンのメラトニンが抑制されて眠りにつきにくくなる。
●光量や色温度、光源の配光特性が睡眠へ影響し、暗めの暖色が覚醒度をスムーズに低下させる。
●心身をリラックスした状態に導く副交感神経の活動は消灯の60分前から高まる。そのため、寝る直前ではなく1時間前から睡眠に適した光を作ると、睡眠へと促されやすい。
●睡眠中でもまぶたを通して光が入り、30ルクス以上の明るさになると睡眠が浅くなる傾向がある。逆に、起床直前の30分間から徐々に照度を100ルクスほどまで上昇させると、自然に起きやすくなったり目覚め感の向上が得られる。
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睡眠の質を高めるために必要な照明環境の整え方
こうした知見をベースに、小林教授が2パターンに分けた寝室の照明条件で睡眠の質を実験。すると、就寝1時間前から寝室を通常の明るさの白色光(枕元200ルクス・5000K、K=色温度の単位)で天井から照らしていた人よりも、自然光の明るさと光色に応じて自動調光するモードで暖色光(2700K)を間接照明で照らしていた人の方が、就寝直後に深い眠りに入りやすいという結果が出た。また後者の照明を起床時刻の30分前から自動で徐々に明るくなるよう設定した結果、起床時刻前の光によって自然に覚醒することができた。

この実験結果も踏まえて小林教授は、良質な睡眠に必要な自宅の照明環境を作るために押さえておくべきポイントとして次の3つを挙げた。
①就寝の1時間前から行動と照明をコントロール(天井で照らす寒色光から、暖色光による間接照明へと調光・調色)
②在宅勤務の際は、窓際で照明は白色・明るめが良い
③自身の生活リズムにカスタマイズさせた自動調光・調色できる照明を導入(就寝1時間前から自動で睡眠に適した光の明るさや照らし方に切り替わるタイプが理想的)
睡眠に影響を与える3大要因のうち、「心身の状態」と「生活習慣」は人の手で簡単にコントロールできるものではないが、「寝室環境」は前記の条件に適した照明器具を導入することですぐにでも整えることが可能だ。
ダイソンの「Dyson Lightcycle Morph™ライト」は、自然光を再現し、1 台で 4 つの照らし方に変化するという優れもの。「最近グッスリ眠れていない」「朝の目覚めが悪い」など睡眠の質の低下に悩んでいる人は、照明器具の導入も含め、まずは寝室の光環境を見直してはいかがだろうか。