大人になると、友達ができにくくなる理由とは

  • 文:メンタリストDaiGo
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Finn Hafemann-istock

メンタリストDaiGoが、科学的見地から話し方のコツについて解説する『超トーク力 心を操る話し方の科学』(メンタリスト DaiGo/CCCメディアハウス)。

本書の第三章「脳神経学者がオススメする話に深みを出すためのポイント」から、「大人になると友達が作りにくくなる理由」について抜粋してお届けする。

なぜ、大人になると友達を作りにくいのか? 

あなたには今、誰か「この人ともっと親しくなりたい」「関係性を深めたい」と思っている相手がいますか? あるいは、「なかなか人と親しくなれない」「じっくり語り合えない」と悩んだことはありますか? よく「大人になると、友達が作りにくい」といわれます。 

これは、なぜか。じつはアメリカのカンザス大学が行った研究によってある程度、その理由を説明することができます。  

研究チームは新しい街に引っ越し、これまでのコミュニティとは異なる場所に身を置いた429人を対象に、その後の人間関係の変化を追跡しました。すると、誰かと友達になるための時間が明らかになったのです。 

平均して50時間会うとカジュアルフレンド(ときどき顔を合わせ、世間話をする程度の友達)になり、90時間会うと関係性はアップグレードされ、気の合う友達になります。さらに200時間過ごすと、その上の親密な友達へと関係が発展していったのです。   

ただし、親しくなるには1つ条件がありました。それは「選択的人間関係」であったこと。 

選択的人間関係とは、「あの人と話したい」「一緒に過ごしたい」と自分の意思で誘ったり、誘いを受け入れたりする関係。逆に、学校や会社で毎日のように顔を合わせるだけの「閉鎖的人間関係」の相手とは、いくら同じ時間を過ごしてもカジュアルフレンド以上の関係性には発展しません。 

つまり、自分から求めて積み重ねた時間が200時間に達すると、親密な友達になっているということです。

この結果を見ると、なぜ、大人になると親密な友達ができにくいのかがはっきりします。なぜなら、多くの人にとって親しくなりたいと思う相手と自然な形で200時間も一緒に過ごすのは、高いハードルとなるからです。 

学生時代のようにクラスメイトや部活動や趣味の仲間、放課後の膨大な暇を一緒に過ごした近所の友達など、なんとなく一緒にいる時間を共有する相手も極端に減ってしまいます。気が合いそうな人と出会って「この人ともっと親しくなりたい」「関係性を深めたい」と思っても、お互いに忙しく、なかなかうまくいきません。  

第3章で紹介していくのは、そんなジレンマを乗り越える「親しくなるための話し方」です。 

この話し方を身につけ、実践すると、1回4時間で計算すると50日もかかる200時間という時間の枠を共有しなくても、第一印象で好印象を持った相手、なんだか気になる知人、仕事上親しくなっておきたいキーパーソン、うまく関係性を深めておきたい先輩や後輩など、さまざまな人と親しくなることができます。

仲よくなる一番いい方法は、「私はこんな人間です」と伝え合うこと 

よくあるマナー本では、「初対面のときには、当たり障りのない失礼のない会話をしましょう」「政治の話、スポーツの話は避けましょう」といった謎のルールが紹介されています。実際、新社会人向けの研修でそんなことを教えるマナー講師もいるようですが、はっきりいって、何の科学的な根拠もありません。 

第1章で解説した通り、天気や交通手段といった当たり障りのない話をしていても会話は上滑りしていくだけ。もちろん、間を持たせたいだけならそんな雑談もいいでしょう。 

しかし、話している相手ともっと親しくなりたいと考えているなら、なんとなく流布している会話のマナーは忘れてください。 

必要なのは、いかに早く抵抗なく相手とプライベートに踏み込んだ会話ができるかどうかです。そうした会話のやりとりこそが、相手との親密度を上げてくれます。 

そして、大人になってからできた信頼できる友人の存在は、確実にあなたの人生の質を高めていってくれるはずです。   

では、きっかけとなる「プライベートに踏み込んだ会話」とは、どういう内容の話なのでしょうか。 

それは、あなたと相手の心の奥にある本音、考え方、価値観、物事の見方、人生に大きな影響を与えている過去の出来事といったパーソナルな話題をお互いに話し合うこと。心理学では「自己開示」と呼びますが、「私はこんな人間です」と伝え合うことが相手と仲よくなる一番いい方法です。 

お互いに踏み込んだ話ができるからこそ、「この人とは、ほかの人とは違う話ができる」「信頼できる存在だな」「こいつのためなら力を貸したい」と、いい方向に人間関係が深まっていきます。   

ただし、ここで気をつけたいのは一方的に自分のパーソナルな話題を打ち明けるばかりにならないこと。あなたが自己開示するのは、話し相手に「自分のことをわかってほしい」「信頼してほしい」「親しくなりたい」という気持ちからだと思います。

しかし、それが一方通行になってしまって相手が聞き役に徹してしまうと、あなたはスッキリしても、相手に重荷を渡すことになりかねません。 

先に自己開示をするのは、あくまで相手にもパーソナルな話題を打ち明けてもらうため。呼び水として話しているという意識は、忘れずに持っておきましょう。

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超トーク力 心を操る話し方の科学』 DaiGo著 CCCメディアハウス ¥1540(税込)

【執筆者】メンタリスト DaiGo
著書累計は400万部突破、大学教授、企業顧問、慶応卒 、英国のメンタリズムを日本に初めて紹介。心理学を応用し、ITサービスから遺伝子検査まで開発したりしています。実際は2匹の愛猫と一緒に、月300冊の本を読むただの本の虫。