

ファッション関連の仕事をしている写真好きの人に、「もっとも好きなファッションフォトグラファーは?」と尋ねると、「ピーター・リンドバーグ」と答えを返す人が多い。主に1980年代〜2000年代に掛けてシーンをリードした功績はもちろん、見る人の心を惹きつけるリンドバーグの写真の魅力はどこにあるのだろうか。世相がカラフルだった時代でもモノクロ撮影にこだわった彼は、スーパーモデルを被写体にしてきた。トップモデルを何人も集めてギュッと密集させる集団撮影は、リンドバーグの得意技だ。モデルは高級な服を着ているが、しかし顔は素顔に近いナチュラルメーク。背景も普通の街なかや大自然で、決してゴージャスではない。ファッション写真でも不自然な作り込みをせず、時代の美の象徴だった女性の個性を大切にしたのがリンドバーグだ。彼女らの表情を輝かせ、誰にも媚びずに自立した姿を描き出した。
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2019年に74歳で他界したリンドバーグの往年の名作がこのたび、フォトTシャツとして現代に蘇る。ZARAからリリースされるこのアイテムの収益はすべて、「フランカ・ソッツァーニ基金」(故ソッツァーニは元イタリア版「ヴォーグ」編集長)に寄付される。被写体は日本でも人気が高いケイト・モスをはじめ、ヘレナ・クリステンセン、リンダ・エヴァンジェリスタ、アンバー・ヴァレッタ、リオン・コスターと、通常ならTシャツになることはないであろう豪華メンバー。
さらに写真をキュレーションしたのは、現在に至る40年間近くの活動において世界屈指のアートディレクターの名をほしいままにしてきたファビアン・バロンだ。ファッションを知り尽くした彼が、友人だったリンドバーグとフランカが関わる社会問題を解決するチャリティーアイテムの制作に力を貸したのである。
まさしく“本物” の価値を持つこのトリビュートコレクションの発売は、7月16日(金)よりZARA国内公式オンラインショップにて。価格は税込みで¥4,990から。中身の写真が印刷されたボックスパッケージで手元に届く。男性は女性の写真を着ることにためらわれるかもしれないが、社会貢献できるコレクターズアイテムとして購入するのも一興ではないだろうか。








ZARA
www.zara.com

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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