いま知っておきたい「アール・ブリュット」とは? 『ポコラート世界展 偶然と、必然と』展が開催

  • 文:梶原博子

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会場は6つのテーマごとに構成し、作品とともに作家の生い立ちや制作方法についても解説。本展に合わせ、展示作品を網羅した作品集『偶然と、必然と、』¥2,090(税込)も同時刊行される。

国内外のアートシーンで、年々評価が高まっている「アール・ブリュット(アウトサイダーアート)」をご存知だろうか。これは、美術の専門教育を受けていない人が独自の発想と方法で創る芸術を指す。近年はパリやロンドンなどのヨーロッパを中心にアール・ブリュットの展覧会で32万人の来場者を動員。さらにフランスのポンピドゥーセンターに「アール・ブリュット」の展示室が新設され、日本人作家の作品も多数収蔵されるなど、国内外のアートシーンで注目を集めている。


10年前から公募展『ポコラート展』などを開催し、このアートムーブメントを国内で牽引してきたアーツ千代田3331は、今回東京都千代田区とともに、開館10周年を記念した展覧会『ポコラート世界展 偶然と、必然と、―障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つー』を、2021年7月16日(金)〜9月5日(日)の期間、アーツ千代田3331の1階メインギャラリーにて開催する。

「ポコラート」は、アーツ千代田3331の開館と同時に始めた活動で、障害のある人、ない人、アーティストが同じ地平で表現を高め合う場を創造すべく、公募や展覧会、ワークショップ、トークイベント等を10年にわたって取り組んできた。本展はその集大成として、世界22カ国より50名の作家の作品を240点余を集結させ、「アール・ブリュット」の最先端の表現が一堂に会す。なかでも、海外から出展する35名の作家のうち、28名の創作は日本初公開となり、従来の「アール・ブリュット」のイメージを覆す強烈なものばかりだ。

展示される作品は、「アール・ブリュット」「アウトサイダーアート」のカテゴリーに属する創作だけではない。本展では、常識、偏見、社会的判断といったあらゆる既存の価値観から解き放たれた、時に常軌を逸した「生の表現」と出会うことができるだろう。開催を記念として、作品集「ポコラート世界展 偶然と、必然と、」も刊行される。ぜひ展覧会を訪れ、作品集の頁を繰りながら、作家たちが作品に込めた強烈なエネルギーを体感してみてほしい。

1.jpgヨーゼフ・ホーファー『無題』2009年 鉛筆、色鉛筆、紙 44×60cm

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ユリア・クラウゼ=ハーダー 『Juravenator』 2013年 ミクストメディア 51×40×104cm
Foto: Atelier Goldstein

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ローラ・デルヴォー『無題』 1994年 毛糸、布、聖母マリアの石膏像 66×23×23cm
©collection abcd/Bruno Decharme

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イマニュエル・マペウ 『無題』 2015年 木材、塗料
©collection abcd/Bruno Decharme

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ジョージ・ワイドナー『Megalopolis』 2000-2010年 ミクストメディア、紙ナプキン 60.5 ×98cm
©collection abcd/Bruno Decharme

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カルロス・ハビエル・ガルシア・ウエルゴ『無題』 1990年 フェルトペン、アクリル絵の具、段ボール 72.4×50cm photo: MIYAJIMA Kei

『ポコラート世界展 偶然と、必然と、―障害のある人、ない人、アーティストの生の表現を世界に解き放つー』

開催期間:2021年7月16日(金)〜9月5日(日) 
開催場所:アーツ千代田33311階メインギャラリー
東京都千代田区外神田6-11-14 旧練成中学校

※詳細は公式HPで。臨時休館や展覧会会期の変更、また入場制限などが行われる場合があります。事前にお確かめください

https://pocorart.3331.jp/world2021/