私の憧れ“寅さん”のように、全国の銘品を求めて旅しています

  • 文:鈴木修司

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日本のこだわりから生まれたモノ・ヒト・コトを繋げる場所こそが「ビームス ジャパン」。総本山は東京新宿に拠点を構え、全国から“日本”の魅力を集め、発信拠点とするユニークなショップとして人気だ。

まず自己紹介から。私の生まれは、三重県の松阪市です。名産品の“松阪牛”が有名ですが、実はそれだけではなく、かつての城下町(梶井基次郎の『城のある町にて』の舞台)、商人の街、ならではのグルメも沢山(ホルモン、鳥焼き、うどん、なぜかエスカルゴ)と、魅力あるところです。松阪の話だけで終わってしまいそうなので、あともうひとつだけ。松阪の隠れた産品として“松阪木綿”があります。簡単に説明すれば、藍染めの縞柄の木綿の生地で、江戸時代に江戸を中心に大流行し、それで財を成した商家のひとつが“三井家”です。一昨年の話ですが、その松阪木綿のリブランディング事業に関わらせて頂き、少しだけですが故郷に錦を飾らせて頂きました。

そもそも私はなにをしている人間かというと、日本各地の銘品に関わらせて頂き、ほぼ毎週で全国を廻っています。セレクトショップ(そんな呼び方も古いですが)“BEAMS(ビームス)”のレーベルでもありプロジェクトでもある、“BEAMS JAPAN(ビームス ジャパン)”のディレクターを務めています。

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ビームス ジャパンののディレクター鈴木。

ビームスのことはよくご存知かと思いますが、ビームス ジャパンのことを知っている方はまだまだ少ないのでここで簡単に説明させて頂きます。かれこれ5年前のビームス創業40周年の節目に立ち上げた比較的新しいものですが、“日本”を切り口にさまざまなジャンルで、“モノ・コト・ヒト”と対象を選ばず、“日本の魅力”を国内外に発信するためのものです。店舗は、東京の新宿と渋谷、そして京都に三つを構え、時には海外(ロサンゼルス、パリ、コペンハーゲン、シンガポール、台北など)、時には伊勢や宮島などの景勝地にも出没する、ビームスの中ではよい意味で浮いた存在です。そこで商品の仕入れや開発、企業や地方自治体との協業案件の企画立案などに関わって、これもよい意味で“なんでも屋さん”です。

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最近は関わる人間も増えてきたので、東京での仕事はなるべく他人に任せて(押し付けて?!)、出来る限りに日本全国を旅しながら、現地現地で仕事をさせて頂いております。そうです! 私の憧れ“寅さん”(映画『男はつらいよ』主人公の車寅次郎)ように。しかし、コロナ禍の中では皆さんと同じく動きが制限され、ついこの前までの約1年間は東京を離れることが難しくなっていました。そんな中で、へこたれてたまるものかと企画したのが、ビームスジャパンを立ち上げてから5年間の軌跡をまとめた書籍でした。その名も『銘品のススメ』です。

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日本全国津々浦々。ビームス ジャパンが足掛け5年にわたる旅で出合ってきた47都道府県の魅力を厳選。モノ自体の紹介はもちろん、生産背景やつくられた場所の歴史、地域性にもフォーカス。ビームス ジャパンの名物バイヤー鈴木がモノと人との出会いを語り尽くす痛快エッセイ。『ビームス ジャパン 銘品のススメ』 鈴木 修司(ビームス) 著 ¥2,200(税込)

47都道府県から一品ずつを銘品と選び、それらを選んだ経緯、それに関わって成し遂げたこと、そして産地の歴史や文化、つくり手の想いなど、モリモリに盛り込んだものとなっています。たとえばで挙げれば、北海道は「ニポポ人形」、宮城県は「鯖缶」、新潟県は「缶切り」、茨城県は「線香」、東京は「キューピー人形」、山梨県は「洋傘」、愛知県は「まねき猫」、滋賀県は「信楽焼の狸」、石川県は「コンロ」、大阪府は「石鹸」、広島県は「しゃもじ」、島根県は「勾玉」、香川県は「手袋」、福岡県は「上履き」、宮崎県は「木刀」、沖縄県は「竹箸」などなど。挙げただけでも多種多様です。気になりませんか? なんでこれらが銘品なのか? 気になる方には、ぜひとも『銘品のススメ』を読んで頂きたいです。

と、自己紹介と前置きがかなり長くなってしまいましたが、次回からは銘品に紐付けて、各地のこと、旅のこと、"脱線やはぐれ上等"で紹介していければと考えています。

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。