好きなことを突き詰め、日々発信し続けている先駆者たち。インフルエンサーと呼ばれる彼らが見出したヒットのツボとはなにか?
1.料理系YouTuber 城二郎/吉田 能
プロ目線で解説するガチ勢向けの内容は、なぜか視聴者の9割が男性(笑)
ステイホーム期間が続き突如、熱い盛り上がりを見せているのが、YouTubeの料理系ジャンル。昨年から、有名レストランのシェフたちが続々と自身のチャンネルを開設。それぞれ本格的なレシピ動画を連投し始めたことによって、これまでの主流だったお手軽時短系レシピ動画とは対極にある、ストイックにこだわりたい“ガチ勢”向けの新ジャンルが誕生した。
なかでも、昨年6月のスタート以来、この1年で急激にチャンネル登録者数を伸ばして話題となっているのが、「料理人城二郎」。元ミシュラン2つ星シェフの吉田能たかしさんが発信する、本格派料理チャンネルだ。
「なかなか外食ができない昨今は特に、もっと料理人から積極的に情報を発信していくべきだと思い、YouTubeを始めました。最初に大きな反響を感じた動画は、魚のポワレです。『プロはこうやる』という切り口で、食材の下処理や火入れの仕方を解説しているのですが、そのシリーズはどれも人気です。今後は商品開発やオンライン上での料理教室など、多角的に展開できる方法を検討しています」
クールな風貌から繰り出されるツッコミどころ満載のトークも、ハマる理由のひとつ。一流の技と、エンタメ要素と学びのマリアージュは、ヒットを生み出す最高のレシピだ。
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2.ゲーム実況者/作家 鉄塔(三人称)/賽助
ゲームの遊び方は自由だから、ヘタだって楽しいんです
YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトにおいて、最も人気の高いジャンルのひとつがゲーム実況。小学生から絶大な人気を誇るカリスマもいれば、eスポーツの最前線で活躍するトップランカー、90代の世界最高齢実況者もいる。同じゲームでも、実況者の個性によって異なる層にアピールできるのが、このジャンルの奥深さだ。
ことに、30~40代の男性3人組である「三人称」は、幼少期からゲームの進化をリアルに体験してきた同世代にとって、最も共感できる部分が多い実況者といえるだろう。メンバーのひとりで、作家としての顔ももつ鉄塔さんはこう語る。
「ゲームはそれぞれが自由に楽しめるものなので、僕らみたいにゲームがヘタなオジサンでも、誰かのプレイを観ているだけの人でも、十分に楽しめます」
そんなスタンスが最も顕著に表れているのが、建築やサバイバルを自由に楽しめるオープンワールドゲーム『マインクラフト』の実況だ。知識やスキルをもたぬまま、自由気ままに道なき道を行く3人のドタバタ劇は、爆笑に次ぐ爆笑を生む。
「何年経っても初心者レベルから一向に成長していませんが、ゲームの攻略ではなく、この3人でプレイすること自体を楽しめているから、いつまでも飽きることはありません」
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3.ファッション系YouTuber なかむ
エンターテインメントを通して、ファッションの楽しさを共有したい
ファッション系のYouTubeチャンネルは数多く存在するが、そのほとんどは、ファストファッションをベースに語られる、着こなしハウツー系の内容がメインだ。幅広い視聴者に届きやすいトピックではあるが、普段からモノ選びにこだわるファッション感度の高い視聴者にとっては、情報として少し物足りないというのが本音だろう。一方で、日本と海外のデザイナーズブランドから発信される、最先端のクリエイションに向き合うチャンネルもある。2017年からYouTuberとして活動する、なかむさんはこう語る。
「もともとブランド古着店で働いていた時に、ファッションとブランドの魅力を伝えていきたいと思って始めました」
彼のチャンネルでは、高感度 なセレクトショップや古着店の 紹介といったショッピングに役 立つ情報から、コレクションブ ランドのデザイナーを招いた対談や、新作コレクションのレビ ューといった、プロ目線に近い 切り口の動画も展開している。
「今後もYouTubeチャンネルというエンターテインメントを通して、より多くの人とファッションの楽しさを共有しながら、もっとシーン全体を盛り上げていきたいと思います」
一歩踏み込んだ、見応えのある企画づくりで、コアなファンを増やし続けている。
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4.ヒューマン・ビートボクサー SHOW-GO
音楽は技術や勝ち負けじゃない、満足のいく作品づくりこそが大事
YouTubeで「SHOW-GO」と検索してみれば、彼が世界中でどれだけ話題を呼んでいる人物であるか、すぐにわかるだろう。SHOW-GOさんがヒューマンビートボックスに出合ったのは、中学生の頃。YouTubeで観たHIKAKINの動画に感化され、独学で技術を磨いた彼は、18歳で日本チャンピオンの座に輝き、翌年には世界大会でベスト8という日本人初の快挙を成し遂げた。ここ数年は、その独自のファッションセンスとともに確固たるスタイルを築き上げ、ますますアーティストとしての存在感を高めている。
「一度、海外の大会の後に、順位的には下位だった友人のビートボクサーが、結果、どの選手よりも注目されたということがありました。要は、音楽って勝ち負けとか技術がどうこうよりも、人の心を動かし、より深く印象に残ることの方が重要ですよね。もとから勝ち負けにこだわらないタイプですが、それ以降はさらに、他の人と比べるよりも、自分がいいと思うことを追求し、自分が本当に満足できる作品を送り出すことだけに集中するようになりました」
オリジナリティを追い求めた彼は、21歳にして、誰にも真似のできない唯一無二のスタイルを手に入れた。彼の身体から生まれるビートにいま、世界中が熱狂している。