8代目VWゴルフは、デジタルとマイルドハイブリッドで「商機あり」

  • 文:小川フミオ

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全長4295ミリ、全幅1790ミリ、全高1475ミリのボディは空気対抗値が従来の0.3から0.275へと改善

輸入車における鉄板銘柄「フォルクスワーゲン・ゴルフ」がフルモデルチェンジ。8世代めになった新型が、2021年6月15日に日本で発売開始された。最新のゴルフでは、デジタル戦略を進めるというフォルクスワーゲン本社の意向が強く反映されているのが特徴。ダッシュボードのデザインが大きく変わり、大型の液晶モニターが2つそなわったうえに、通信機能もアップしている。

LEDを使ったライティングなどで新世代感が強調されているフロントマスク

いま、クルマが100年に一度の大変革期にあると言われる。いまのクルマの原型が完成したのが1886年なので、過去にあった大きな変革はというと、1908年に米フォードが「T型」を発表して大量生産と、それによる低価格を実現したことだろう。つぎが、今回の電動化、デジタル化、自動運転化、の流れとされているのだ。もっとも、そのトレンドは始まったばかりであるが。

写真の「eTSI R-Line」はエグゾーストマフラー用の角断面(見ためだけ)のテールカッターなどをそなえる

新型ゴルフにしても、動力は従来のような内燃機関(ガソリンエンジン)だ。それでも、今回は排気量を1リッターにしたベースモデルが日本にも登場。これまで高額なクルマにばかり用意されていたマイルドハイブリッドシステムも搭載されている。マイルドハイブリッドとは、モーターを補助的に使い、走行はほぼエンジンが担う。モーターが担当するのは、エンジン回転がごく低い走り出しなど。じっさいにモーターのおかげで、軽快な出足が印象的だ。

10インチのモニターはインフォテイメントシステム用で、オーディオ、エアコン、ナビゲーションシステムなどを操作する

新型ゴルフ(ゴルフ8などとも呼ばれる)は、全長4295ミリとサイズはいたずらに大きくなっていない。むしろコンパクトだ。それでも2620ミリと比較的長いホイールベースを活かした、上手なパッケージングのおかげで、室内スペースは広々としている。運転席からだと、クリーンな造型のダッシュボードが、広さ感をさらに強調。スイッチなど物理的な操作類は極力数を抑え、新しさの演出とコスト削減、ふたつの課題を同時にうまく処理しているといえる。

エアコン操作がいくつかの方法で行えるのが特徴的で、「スマートクライメート」を選べば「足を冷やす」などの項目で操作できるうえ、画面下には物理的なスライド型操作バーもそなわる

室内の気分を変えるのによいアンビエントライトも好みで色の設定ができる

アンビエントライトはいまのドイツ製高級車では”マスト”のようになっている装備

フォルクスワーゲンでは「デジタルコクピット」なる、新世代のコクピットコンセプトをゴルフ8に導入。通信機能を強化した「We Connect」および「We Connect Plus」を搭載して、車内からはストリーミングなどを楽しめるいっぽう、車外からだと「Wireless App Connect」により、「ゴルフ」なるアプリをインストールしておけば、エアコンやナビゲーションやドアロックなどをスマートフォンから操作できる。

オプションのヘッドアップディスプレイではナビゲーションの表示などが見られる

フォルクスワーゲンは、ここ数年、「自分たちは自動車メーカーでなくソフトウェアのプロバイダーになる」としている。今回のゴルフ8日本導入前に、ちょうどドイツ本社ではジャーナリスト向けに記者発表を実施。そこで「これからはソフトウェアこそが商機を生み出すと考えている」と、ラルフ・ブランドシュテッターCEOの考えが紹介された。どういうことかというと、おそらくだけれど、クルマがスマートフォンのようなアプリの受け皿となり、ひとは魅力的なアプリを求めてフォルクスワーゲン車を買うようにしたい、と考えているのだろう。

現在もっともスポーティな「eTSI R-Line」には専用のバケットシートがそなわる

リアシートのスペースもおとな2人に充分な広さが確保されている(写真は「eTSI Active」)

ゴルフ8の走りは予想いじょうに好感がもてるものだ。たとえ81kWの最高出力と200Nmの最大トルクの999cc3気筒エンジンでも、マイルドハイブリッド化によって、パワー不足感は払拭されている。出足もいいし、高速では空力ボディや転がり抵抗の少ないタイヤの採用などで、スムーズにぐんぐん速度が上がっていく。同じシャシーの新型アウディ「A3」とともに、洗練された印象なのだ。

ツインクラッチギアボックス操作用のシフトレバーはシフトバイワイヤーとなり、ポジションを変えるのにストッパーを解除しないシステムに変更された

同時に、1497cc4気筒(110kW、250Nm)のモデルも発売された。1リッター車と同様、前輪駆動である。私が乗ったのは、なかでも専用のリアサスペンションシステムや、やはり専用のプログレッシブステアリングをそなえたスポーティモデル「R-Line」。こちらは、キビキビと走っているのが好きなひと向け。とくに、山道では、積極的に運転が楽しめる。エンジンの時代はそう遠くない将来終わるかもしれないのに、いいクルマづくりをあきらめていないと思わせるところがよい。

ゴルフらしい、と言いたくなるもっとも象徴的な角度からみたスタイリング

380リッターの容量をもち機能性が高いカーゴルーム

燃費は1リッターの「eTSI Active Basic」(291万6000円)と同じく「eTSI Active」(312万5000円)がリッター18.6キロ(実燃費に近い数値のWLTC)、1.5リッター「eTSI Style」(370万5000円)と「eTSI R-Line」(375万5000円)がリッター17.3キロ。いずれにしても、悪くない。どのモデルがいいか。私なら、「eTSI Active」を選びそうだ。1974年の初代いらい、時代とともに手が入っているものの、太いリアクォーターピラーで安心感を与えるベースコンセプトは不変のゴルフ。最新モデルの変わりかたは、小さなエンジンの走りのよさで、よりよく体験できると思う。


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フォルクスワーゲン・ゴルフeTSI Active
●ディメンション(全長×全幅×全高):4295×1790×1475mm
●エンジン形式:直列3気筒
●排気量:999c
●最高出力:81kW(110ps)@5500rpm
●最大トルク:200Nm@1500〜3500rpm
●駆動方式:前輪駆動
●車両価格:¥3,125,000

8代目VWゴルフは、デジタルとマイルドハイブリッドで「商機あり」

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