いまの季節にぴったりな冷んやりとした喉越しが最高のそうめん。ここでは、全国各地から厳選した、老舗・名店の人気そうめんを紹介しよう。
オリーブ素麺
瀬戸内海に浮かぶ小豆島では、江戸時代に奈良から製法が伝わって以来、そうめんづくりが盛ん。いまや「小豆島そうめん」は、日本三大素麺のひとつ。島にある製麺所の数は200軒以上におよぶ。なかでも小豆島手延素麺協同組合が有名で、「島の光」は、小豆島のそうめんを代表するブランドだ。
小豆島そうめんと他の地域のそうめんの最大の違いは、麺を延ばす際に菜種油や綿実油ではなく、胡麻油を使うこと。島の光でももちろん、定番のそうめんは胡麻油で延ばしている。しかし、15年ほど前に開発した「オリーブ素麺」は、胡麻油ではなくオリーブオイルで延ばしたもの。なにしろ小豆島は、日本で初めてオリーブの栽培に成功した“オリーブの島”だ。地元産のオリーブの実をペースト状にして練り込んだそうめんは、ツルリとのど越しがよく、爽やかな色も魅力。つゆはもちろん、オリーブオイルと塩で味わうのもいい。
小豆島手延素麺協同組合
住所:香川県小豆郡小豆島町池田1031
TEL:0879-75-0039
www.shimanohikari.or.jp
みわのにじ
1933年に創業した三輪そうめん小西は、三輪山の麓の水と選り抜きの小麦粉を使い、伝統の技を最新設備で活かす高級そうめんメーカー。三輪素麺工業協同組合の厳正な検査に合格した証しである“鳥居印”の帯を巻いたロングセラー「鳥居 誉」や、極細そうめんの元祖「杉鳥居」が有名だが、近頃人気があるのは「みわのにじ」。2018年にインスタ映えをテーマに発売された、7色のカラーそうめんとスタンダードなそうめんのギフトセットだ。
素材の品質を追求するメーカーらしく、7色のカラーそうめんは合成着色料不使用。シソやショウガ、トマトなどの天然素材をパウダー状にして練り込み、虹のような淡い色合いが表現されている。着色用の素材は視覚的効果を狙ったもので、味への影響は気づかない程度。三輪そうめんのコシとのど越し、華やかな彩りを満喫したい。
三輪そうめん小西
住所:奈良県桜井市芝363
TEL:0744-43-3113
http://miwasoumenkonishi.co.jp
手延五色そうめん
お座敷唄の伊予節で「おとに名高き五色そうめん」と唄われる、松山名物「五色そうめん」。その生みの親は、1635年創業の老舗だ。8代目市左衛門の娘のアイデアをきっかけとして1722年に誕生。五色そうめんは、時の将軍や朝廷に賞賛され、冒頭のお座敷唄の流行とともに全国に知られるようになった看板商品。手延べならではの強いコシとなめらかな食感が特徴だ。
厳選した小麦粉を使用した白麺に、もち麦、抹茶、梅、蜜柑を練り込んだ色麺をほどよく混ぜて小箱に詰めた「手延五色そうめん」とオリジナルめんつゆの詰め合わせは、自宅用としてもギフトとしても人気の品。ほんのり甘めのめんつゆには、瀬戸内海伊吹島産の煮干いりこと北海道産の真昆布がたっぷり使われている。カラフルな色彩と、愛媛らしいつゆとの相性のよさをお楽しみあれ。
梅肉や抹茶を練り込む製法は難易度が高く、長年の研究の末に確立された。正岡子規などの文人にも好まれたという。
五色そうめん森川
住所:愛媛県東温市南方2283-1
TEL:089-966-5511
https://goshiki-soumen.co.jp
梅にゅうめん
京都の老舗料亭「菊乃井」がオンラインショップなどで販売するにゅうめんは、3代目の村田吉弘さんが開発した人気商品。「身体に悪いものが一切なく、簡単に調理できる麺があったらええな」という思いから開発された商品だけあって、優しい味わいが好評だ。
村田さんのこだわりは、麺と出汁。国産小麦粉を丹念にこね上げてつくったそうめんは、特殊乾燥によって生麺に近い食感を実現したものだという。その麺を丼に入れてお湯を注いで3分待ち、液体出汁を加えて混ぜれば本格にゅうめんの出来上がり。すっきりと澄んだ出汁は、料亭らしい上品な味わい。大きな梅干しを箸で崩せばやわらかな酸味と旨味が出汁に広がり、穏やかに食欲を増進させる。
湯を注ぐだけで楽しめる即席麺なのに、味わいはまさに本格的。嬉しいことづくめの逸品なのだ。
菊乃井オンラインショップ
住所:東京都港区赤坂 6-13-8
TEL:0120-64-1237
https://kikunoi-shop.jp
※Pen2020年8/15号「夏の麺喰い。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。