佐藤可士和デザインによる、高級老舗そうめんの食感に舌鼓

  • 写真:長谷川 潤
  • 編集&文:小松めぐみ
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細さゆえの優雅な舌触りをもつ「白髪」。薬味も繊細な口当たりのものが合う。キュウリやミョウガも、できる限り細く切り美しく盛り付けたい。45g×16個セット¥5,400(税込)

手延べそうめんの三大産地は、三輪(奈良)、播州(兵庫)、小豆島(香川)。なかでも最も長い歴史をもつのは、奈良県桜井市の三輪である。

三輪山をご神体として祀る日本最古の神社、大神(おおみわ)神社を中心に発展した三輪は、そうめんの発祥地。その起源は、大神神社の大神主が飢饉の際に小麦を挽いて棒状に縛り、乾燥させて麺にしたことだと伝わる。

山から盆地に吹く北風や適度な気温がそうめんづくりに適した三輪の地では、その後さまざまな製麺所が誕生した。その一軒である「三輪山本」は、江戸時代中期に創業して以来、三輪の手延べそうめんの伝統技法を受け継ぐ老舗だ。細くて強いコシをもつそうめんは、寒期に約36時間かけて仕上げられている。

製造工程で最初に行うのは、気温や湿度に合わせて塩と水を配合し、小麦粉を塩水でこねて帯状にすること。そして表面に綿実油(めんじつゆ)を塗ってさらに細く延ばしたら、よりをかけながら4時間熟成させ、約60㎝に延ばす。それを一晩ねかせてしなやかにさせ、さらに引き延ばして乾燥させるという。

手で延ばすことで径1㎜足らずの麺に仕上げる工程に、熟練の技が必要なのは言わずもがな。「細いものほど高級品」とされるのも、製造工程を理解すれば納得だ。

技を磨き抜いて生まれた、直径0.3mmの細さ

篆書体調の漢字のロゴが印のように配されている。シャープなデザインが極細麺をイメージさせる。

三輪山本の手延べそうめんの中でも、腕のよいそうめん師が細さの限界に挑戦して完成した「白髪」の細さは、なんと直径0.3㎜。全国の産地の中でも細さを特徴とする三輪の標準的な手延べそうめんが直径約0.9㎜なのに対して、約3分の1の細さである。ゆで時間は、たった30秒だ。

そんな「白髪」は、絹のようになめらかな舌触りとのど越しのよさに驚く、初体験の食感。つゆにつけて味わえば、想像を超えてつゆがたっぷりと麺に絡み、二度驚かされる。箸でひと口分すくった超極細麺の一本一本の間は、まるでスポンジの目のように細かいからだ。また、薄味の温かい出汁との相性も抜群。実際、高級料亭では椀種などにも使われている。

発売当時は知る人ぞ知る存在だったこの逸品が広く注目を浴びるようになったのは、2017年のこと。きっかけは、三輪山本が創業300年を機に「経営そのものをデザインする」という新コンセプトを掲げ、社名やロゴマークのデザインを佐藤可士和さんに依頼したことだった。スタイリッシュなデザインに生まれ変わった新たな「白髪」は、一躍、人気ギフトとしてその知名度を高めることとなった。自分をねぎらうために手にしてみる価値は十分にある。

10gで約300本。1箱の本数はなんと約1350本に上る。麺一本を手に取ってみると驚くほど軽い。

三輪山本

住所:奈良県桜井市箸中880 
TEL:0120-03-6661
www.miwayama.co.jp

※Pen2020年8/15号「夏の麺喰い。」特集よりPen編集部が再編集した記事です。